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【2016松本山雅】知っておきたい「アルウィン」の芝生の難しさ

 ご覧頂きまして有難うございます。ご無沙汰しておりました。ちょっと本業が多忙過ぎて書く暇を逸しているうちに秋ですw

 さて、試合の話や昨年度決算(経営情報)の詳報の話などもあるのですが、清水戦で浮き彫りになった芝生のコンディションについて、山雅な皆様が知っておいと良いかなというお話を先に。

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「何故アルウィンは芝生養生(育成や管理など)が難しいのか?」

●必要なのは「通風」(風通し)

 芝生養生に必要な物は何か。

 イメージ的には日照とか肥料とか土を想像される方が多数とは思うが、日照と同じくらい大事なものは「通風」…風通しの良さだったりする。
 一般に芝生適正に養生等メンテナンスをされていると、通風や日照が確保され、表に出ている葉などが成長する。またメンテナンス時の刈り込みで古い葉が刈り取られるので、芝のリフレッシュも可能になる。

 ここがまず基本。「芝生を育成したいなら」まずは日照と同じくらい風通しを良くすることが肝要。

資料:

芝生管理の基礎
芝生と上手に付き合おう(植文造園)
http://www.geocities.jp/uekiya_uebun/sibafu.html

●アルウィンは芝生に酷なスタジアム

 ところが、この「風通し」についての認識が高まったのはここ10年強。現在の球技場設計では、通風や日照などの芝生養生が設計に織り込まれているが(南側屋根の透明化などの工夫や、スタンド下部の通風口などの設置・こういう設計が織り込まれたのは、記憶が確かならフクダ電子アリーナが最初)、アルウィンが竣工した頃はまだそういう概念が一般化していなかったのだろうと思うし、それ故に「地表より掘り込んだ状態で、フィールドへの通風機能がなく、構造も球技場なのでフィールド面積が陸上競技場より狭く、結果、フィールド上の通風性がかなり悪い」スタジアムになってしまったのではないだろうか。

資料

フクアリについて
フクダ電子アリーナ視察レポート(2)内部編(All For Hiroshima応援ブログ)
http://peasta.blog105.fc2.com/blog-entry-121.html

施工側
高性能天然芝育成技術(竹中工務店)
http://www.takenaka.co.jp/solution_manage/purpose/sports/service09/index.html

※なおアンダーヒーティングは一般には暖地芝(オーバーシード含む)向けであり、アルウィンは恐らく寒冷地芝なので、アンダーヒーティング導入には工夫が必要とみられる。

●段階としては対策が必要な時期

 アルウィンの芝生の現況は厳しく、従来の管理手法や隣のグラウンドの芝生の移植で賄うのも、正直限界が来ているのでは。
特に今年は夏の酷暑もあり、夏の高温多湿に弱い寒冷地芝にダメージはあっただろうし、オープン以来全面張替えはしていないと聞いているので、長年蓄積したストレスも相当なものだろう。
そろそろ土壌からリフレッシュすべき時期と思われる。

 但し、構造の問題がある以上、本当に根本的対策を考えるなら、それこそ南北ゴール裏を改築し通風を確保しない限り、芝生養生はうまくいかないはず。
そうなると当然多額の改築費を必要とするため、残念ながらそれらは現実的ではない。

 今後としては、短期的には全面的な張替えで保つとしても、中長期的は天然芝を少量の人工芝等で補強する「ハイブリッド芝生(DESSOグラスマスター等)」となることも予想される。勿論、日本サッカー協会がハイブリッド芝生をトップカテゴリー用として認可すればの話ではあるが。

 既にUEFAの主要スタジアム(サンシーロやウェンブリーなど)ではハイブリッド芝生の導入は進んでおり、日本向けの芝との組み合わせで環境に合わせたハイブリッド芝生さえできれば、認可に大きな障害はないと考える。
一部報道では、同じように芝生養生で苦しむ神戸のノエビアスタジアムにハイブリッド芝導入という噂もあるので、注意深く見守りたい。

資料
DESSOグラスマスター(株式会社パルカ・代理店)
http://paruka.jp/

●とにかく1回張替えを

 これだけ芝生がダメだとプレイは勿論だがケガ防止という観点からも心配する。張替えが不可避な現実は来季を考えるとどうにかしたい部分である。

 アルウィンはサッカーそのものだけではなく、年間50週あまりある1年の中で20週前後で発生する「アウェイツーリズム」としても重要な場所。
行政(県)としては、既に今季はトイレ(工事中)や大型ビジョンのリニューアル(今季終了後工事)のための予算が執行されており追加執行となってしまう張替え予算の確保が簡単ではないのは事実だが、放置も不可能な問題になってきているだけに、県と松本平のサッカー界の動きに期待したい。

 アルウィンは地元松本平のサッカー界が、約四半世紀前の「やまびこ国体」時の県庁との約束の履行を約20年にわたって粘り強く求め交渉した結果(http://yamagaja.net/sp/humanities.html)、建設されたスタジアム。
その経緯や、「市営のはずの」南長野運動公園総合球技場建設時の「県の約5億円の予算執行」に対する松本平のサッカー界や山雅サポ他の不信感は根強いだけに、神戸のような「三木谷激怒→やっと張替え」みたいなことになる前に、是非早めにアクションを起こして欲しいと願う。

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※注意:専門性の高い話題故に、詳細について当方の認識の間違いがあるかもしれません。資料となるリンクも併せてご確認くださいませ。

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 6月以降の振り返りと、2015年経営情報の詳細については来週以降頑張って書きますw

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