展覧会レビュー:コレクション展 第2期 特集:作家たちの20代@岩手県立美術館
初・岩手県立美術館。
行った日は企画展はやっておらず、常設展しか行けなかったが、結果的にはそれで十分に満足だった。
普段、常設店だけのために美術館に行くことはかなり稀だが、常設展の良さを改めて実感できる良い機会となった。
値段も安いし、ボリュームも快適だ。岩手県出身の萬鐵五郎や舟越保武の作品をたくさん見ることができて、良い思い出になった。
駅から離れていてアクセスはあまり良くないが、キュレーションも”ちょうど良く”、盛岡に来た人は観光として選択肢の一つに是非入れてほしい。
常設展は3部屋から構成される。
1つ目は、「作家たちの20代」として岩手県出身のアーティストが20代で描いた作品が並ぶ。
主に1900年前半から後半までに作られており、時代背景も垣間見える。
奈知安太郎などは、新印象派の影響をモロに受けただろう。
中でも寺島貞志「スカーフを巻いた女」が一番好みだった。理由はわからないが、誇張された大きい眼や、角張ったタッチが力強く、生命力を感じた。
その他、部屋は「萬鐵五郎」「松本竣介・舟越保武」の部屋がある。
7月に初めて平塚市美術館に行ったが、そこにも萬鐵五郎の作品があった。
萬鐵五郎は茅ヶ崎で療養したことから、平塚市美術館に作品が収められていたのだが、萬鐵五郎が岩手県出身だとは知らなかった。
このように色んな美術館に行った際に、点と点が繋がる瞬間は楽しい。
「松本竣介・舟越保武」の部屋では、特に舟越保武が良かった。
中でも「R嬢」は、ツヤツヤしていて顔の大きさ、形など、とても現実的な上に、イソップ童話の絵本に出てきそうな美人で見惚れてしまった。
キリスト教の影響を受けた作品群は、彫刻に興味が薄い私でも神聖な気持ちに浸ることができ、偶像化する価値を身をもって感じることができた。
全体的なボリュームやキュレーションもちょうどよく、岩手の知識が薄い私にとっては勉強にもなったし、とても良い時間を過ごすことができた。
建築も美しくシンプルで、駅から遠いが訪れる価値はある。
一方、この日は常設展のみの営業だったため、(人手削減のため?)ミュージアムショップを営業していないのは非常に残念だった。
金銭管理などの業務を増やしたくないのだろうが、ポストカードくらいはチケットカウンターで発売してほしい。
展覧会名:コレクション展 第2期 特集:作家たちの20代
場所:岩手県立美術館
満足度:★★★★☆
会期:2022年7月29日(金)ー10月16日(日)
アクセス:盛岡駅から徒歩約20分
入場料(一般):ともに410円
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間半
展覧撮影:可能
URL:https://www.ima.or.jp/exhibition/collection/2022_2nd.html
Thank you for your support!