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漢字で感じる人間学68(神・いま生きていることの不思議)

「神」シリーズ。前回に引き続いて、宇宙で一番の神秘をみていきます。
前回は、この宇宙に地球という星が存在していることの不思議さをみていきました。

地球という星は、この宇宙全体でみてもとても特別な存在な訳ですが、さらにそれにプラスして、この宇宙の中で最大の神秘があります。

それは、「人間としての私がいま生きていること」そのものです。

「それのどこが神秘なんだ? 当り前じゃないか」と思われるかもしれませんが、もう少しみていきます。

私たちが持っている肉体をずーっと遡っていくと、受精卵。お母さんのお腹の中でひとつの粒だった時期がありました。それが、細胞分裂を繰り返していって人の姿、形になっていき、人間の姿で誕生を迎えます。約10か月前まで粒だったものが、誕生するときには、皮膚、筋肉、内臓、神経、骨など必要な組織、器官を備えた人間の姿になっています。

よく考えてみると、とても不思議なことです。

「それはDNAの働きによるものだ。身体の情報も遺伝子としてDNAに書き込まれている」と思われるかもしれませんが、DNAはA、T、G、Cという記号が延々と書かれているだけです。唯の記号の羅列からなぜ、この様な高度な機能を備えた生命体が出来上がるのか? 一つの細胞がなぜ、骨になり、筋肉や内臓になれるのか? 数十兆ある細胞のそれぞれが、「自分は○になる」ことを知っているのは何故なのか? ただ、組織に分化するだけではなく、個体として、人間として必要な機能を備えられる様に成長するのは何故なのか? ということまで含めて考えると、単にDNA、遺伝子情報だけでは、説明がつかないように思えます。

そして、生まれてからも不思議な現象は続いていて、身体を構成する細胞もどんどん入れ替わっています。皮膚の細胞は約3週間ですべて入れ替わると言われています。とてもそうは思えませんが、3週間前の自分の皮膚はもう残っていません。別人です。

他にも血液の中の赤血球も毎秒200万個と呼ばれていますが、骨の中の骨髄からものすごいスピードで生成されています。同時にその分だけ役割を終えて分解される赤血球もあるということですが、身体の内部で起こっている生成と消滅は私たちの想像を超えるレベルで進行しています。その小さな「生と死」がもっと大きな生命体である、私たちの個を生かしているということになります。

自分の身体をよーく観察してみると、神秘にあふれていることが分かります。もともと身体は「小宇宙」とも呼ばれており、宇宙のしくみが、人の姿として投影され、この身体が存在している様なものだと思います。

そして、この生きていることの不思議さをじっくりと味わい、かみしめた時、しみじみと「生かされていることのありがたさ」も感じられてきます。

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