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拉麺ポテチ都知事31「政治の季節の終わり/ネオバブル」

2022年は現状、取材よりも原稿を頼まれることの方が多い。自分としてはインタヴューの方が得意なのだが、これはこれで勉強になるから食らいついている。そのための練習が「拉麺ポテチ都知事」だったはずなのだが、今は息抜きがてら書いているところだ。

ひとまずリリースされたのは、SixTONES『CITY』のレヴュー記事。それにしても、お気付きの方が多いかもしれないが、当欄は<ブ/ヴ>の表記揺れが多い。媒体向けの記事は各々のルールに準じるのだが、個人的な文章の場合は未だに彷徨う子羊だ。ヴはインテリに見えるがスノッブで鼻に付くという欠点があり、使いながらも何となく違和感がある。私は普通でいたいのだが、これはどうしたらいいのだろう。

話を戻すと『CITY』については、徹底してCDに情報が閉じ込められているので、外付けドライヴと本体を買うところから始まった。TSUTAYAでCDを借りて、ひたすらiTunesに落としていたのが、ほんの10年前なのが信じられない。加速度的に時代が変わり、フィジカルへの反動が強くなれば、さらにレコードはクールなものとして求められるだろう。CDの復権さえも予感させると記事にも書いたが、私はそれより先に喫煙と運転のカウンターが起こるんじゃないかと思っている。

そんなことを久しぶりに思わせてくれたのは、Shurkn Pop『CALL ME MR. DRIVE 2』だ。コンセプトアルバムとして素晴らしい出来で、恐らく今年の邦楽ベスト3に入るだろう。作品で全体をひと言で言い表すなら「バブリー」。サンプリング感覚だけでなく「Ms.摩耶」とか「走る喫茶店」などのワードセンスも含め、漂うのは日本の80年代やバブルの空気感。国内外のシティポップ復興とは違う、本当のバブルみがある。以前も書いたが、やはり政治の季節の終わりが来るのだろうか。

20代の頃、バブル時代の話を聞くのが好きだった。諸先輩方の六本木で豪遊した話、スキーでの恋は現地調達でウェアを脱いだら幻滅する話、渋谷はそこまで発展してなかった話などなど。そんな浮世離れした過去を知っては「信じられねえー」とゲラゲラ笑っていた。それとクロスフェイドするように私は生まれ、低賃金で楽しく暮らしている。

これから好景気が来るとは現状思えない。しかし今のデフレのままバブル文化のみが復権したとしても、東京には車と煙草が少なすぎる。車が自転車に、もしくは煙草がウィードに置き換わるのだろうか。それにSNSでの政治的な言説が納まるというのも考えづらい。ならばファスト風土やモータリゼーションなどの懐かしい言葉を思い出しつつ、都市ではなく郊外にキラキラした80年代がやってくるのか。

うーん、わからない。でも確かに『CALL ME MR. DRIVE 2』そんなバブルみが詰まっていて、私をワクワクさせ、生まれて初めて運転免許をほしくさせてくれた。まあ、当分は自転車なのだが。

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