熊瀬川直也

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熊瀬川直也

エンジニアになりました笑 React node.js TypeScript Shopify Liquid github.com/momonoki1990 zenn.dev/naoya_kuma qiita.com/momonoki1990

マガジン

最近の記事

「足場」

 Twitterを覗くといつでもひとがいる。本を出しているような有名なひとがいれば、誰かに「いいね!」されて表示される、僕の知らないひとたちがたくさんいる。そこでは常に会話が行われていて、始めたばかりの頃は勢いのあることを言っていた有名なひとが、厄介なひとたちに絡まれたのだろうか、「なんて厄介な奴等が世の中にはいるんだ!」と愚痴を言いながら、格闘している。賑やかで、じぶんもタイムラインに表示されるひとたちのように「いいね!」されるようなことを発言しようと思って辺りを見回すのだ

    • アンパンマンのカレンダー

       「なにかを書こう」と思うと、周りを眺める目つきが変わる気がする。いわゆる「ネタを探す」ということかもしれないが、「ネタ」と言ったときの嘘のようなひとを騙すような感じとはちょっと違う気もする。たしかに、「なにかを書く」ということは誰かに感心してもらおうと思って始めたことだし、そこにはたしかにわざとらしさやいやらしさが含まれている。だけど、そう思って見上げたアンパンマンのカレンダーの絵は、いつまでも心に残りそうなかたちで印象的に見えてくる。  アンパンマンの世界の太陽はどうし

      • 冷や飯がおいしい

         ファミレスで食べたライスが、冷や飯のように固まっていた。珍しく忙しく過ごした午前中の緊張をとるように、テーブルに料理が載せられた後もしばらく携帯をいじってぼんやりしていたからだろう。  食べ始めは「冷えちゃったか」「まあいいや」くらいだったのだけど、最後のほう、こんもりと盛られたライスの中心部にフォークが達した頃、ライスは常温で放置されたご飯特有の固さを持ち始め、最後の数掬いはほとんど餅のようになっていた。ここで僕が驚いたのだが、その冷や飯が僕にはおいしかった。奇をてらっ

        • 冬の朝の公園

           冬の朝の公園には学校や会社へ向かうひとびとが歩いていた。日はやわらかく、気温こそ1年でいちばん低い時期にさしかかっていたが、あたたかみのある陽光がひとびとをやさしく包み込んでいる。空にうっすらと張りついた雲には光の筋ができていて、向こう側には雲の白と空の青が混ざってきれいな水色の空ができあがっていた。2羽のつがいが空中をくるりと舞って、どこかへ飛んでいった。  おしまい

        マガジン

        • ノウハウ
          1本
        • タカハシと僕
          17本

        記事

          大きいビルのエントランス

           さむい。肩のあたりを冷気が漂っている。何十階もある大きなオフィスビルのエントランスホールは、外の信号が青になるたびにひとびとが群れのように行進してくるので入口のドアがほとんど開けっ放しになっている。入口とは反対向きに椅子に座ってのんびりしていたのだけど、振り返ってみたら奥にあるエレベーターに向かって長い行列ができていた。エレベーターがやってきて行列が短くなるとまた外から群れがやっきて商品かなにかのように行列にひとが補充される。もちろんひとりひとりの人にそれぞれの顔や表情があ

          大きいビルのエントランス

          雪山とアフロヘアーの犬

           むかし、頭が痛くなるほど高いところにある温泉宿に泊まったことがある。季節は冬で、露天風呂からは雪山が見えた。朝に夕に、湯船を何度も出たり入ったりしながら、その雪景色をいつまでも眺めていて飽きなかった。  「都会は自然が少ないから、情報量が少なくて、困るんですね」とTwitterで誰かが言っていた。自然というのは含まれいる情報の量、ディテールが物凄いんだということは、なにかの本で読んだことがある。その本の著者は、たしか、試しに葉っぱの葉脈を観察してみてください、と言っていて

          雪山とアフロヘアーの犬

          オンオフ

           なにかを書こうと思った途端に周りの音や物に注意を傾ける。それまでダラダラとTwitterを見ているだけだったのが、耳を澄まして辺りを見回し、「なんかおもしろいものないかな」と観察し始める。それはスイッチをインプットからアウトプットに切り替えているというより、「OFF」から「ON」にしているという感じ。すると、大事なのはやはり「OFF」のときにいかに弛緩できるかということで、その具合で「ON」したときの張りも変わってくる。  「オンオフが大事」というけど、オフは他人に求めら

          キャラクターとは

           見慣れないうさぎがいろんな意味を詰め込まれてこちらを向いている。耳には火が灯っているし、頬から「ぴょん」と飛び出しているヒゲはイナズマの形になっている。赤い鼻はTの字になっていて、そのお陰でこのうさぎは微笑を称えて鼻血を流しているように見える。赤いふっくらとしたマフラーを巻いているから温かそうにみえるけど、夏はまた違う格好をするのだろうか。  キャラクターとはいったいなんなのだろうか。昔働いていた会社にはくまのキャラクターがいた。キャンペーンなんかをやるときにチラシや広告に

          キャラクターとは

          Twitterやnote

           Twitterを眺めているこの時間はなんなんだろうとふと思った。有名なツイッタラーの講義を受けたという漫画家のひとのツイートがなんだかよくわからないけど以前とは明らかに違ってうまく、面白くなっているのを見たり、いろんな面で「完璧だ」と思われていた少女の投球フォームが明らかにおかしくて吹いてしまったり。40年前の矢沢永吉はとめどなく早口で、不器用で、それでも、40年後のいま引用されるようなシンプルで強いメッセージをそこに残している。  noteを書いているこの時間もなんなん

          Twitterやnote

          刺激

           むかし、大学生だったとき、「これからは『やりたい』と思ったことしかやらないぞ!」と頭でっかちに意気込んだら、一日中部屋に引きこもって漫然とネットサーフィンをするような生活になっていた。しかも、当時、ひさしぶりに外に出てひとと会ったら、延々と独り言を言い続けるような話し方になっていて、いっしょにいたひとに「ちょっとおかしいよ」と心配された。身体は凝るし、昼夜もわからないような状態になると、意識もほとんど朦朧とするようになった。それで、気がついたら床に寝っ転がってノートパソコン

          贅沢

           突然降り始めた雨が止んで、夕日が顔を覗かせた。きのうから急に悪くなった体調がちょうど良くなり始めたときだった。ラジオでは思い切り贅沢をした話がテーマになっていて、高級ホテルで贅沢をした話や、新婚旅行で「一生に一度だから」と勇気を出して贅沢をした夫婦が、「もう一度したい」と思って10年後の旅行に向けて貯蓄をしているという話があった。天気も良くなるし、体調も良くなるしで、力が抜けてなんとも言えない幸福な気分に浸っていたから、僕も漠然と「家族で贅沢したいなぁ」と思った。  おし

          拝啓神様

           ひどい風邪をひきました。まるで自転車で走っていたらすれ違った見知らぬひとにいきなり思い切り殴られたかのように、突然でした。じぶんが風邪をひくかもしれないという当たり前の可能性をすっかり忘れていたように思います。そういえば、医者に「一年に一回くらいは高熱を出します」と言ったら、「呼吸器系が弱いんですね」と言われたことがありました。普通に走ったり運動したりするのに困ったことがないから、そんなことをすっかり忘れていたのだけど、もしかしたら、一般より用心深く生活するべきだったのかも

          さようなら、2018年。

           カラフルな色で恐竜たちが風船を持ったりラッパを吹いたりして、パーティーをしている絵のランチョンマットを妻が買ってきた。おしゃれな家具と安っぽいおもちゃのちょうど真ん中といったような代物で、裏にはきょうの夕飯に使ったというのにまだ値札が貼り付けてある。  引っ越してからほとんど毎日夜更かしをしている。まるで連休のときの特別感が正月気分から引越後のそれに変わっただけでずっと続いているかのように、落ち着かない。しかし、その高揚感もきょうまでと冷静に区切りをつけているじぶんもいて

          さようなら、2018年。

          寒い冬のなんでもない一日

           壁掛け時計が針金にくくりつけられて部屋の壁のレールにフックのようなものがついたところにぶら下がっている。そのフックのようなものが衣類をかけるためのものなのか、インテリアをぶら下げるためのものなのかわからないが、壁掛け時計をかけるところでないのはわかる。ただ、他にかけられそうなところもないので一時的にそこにぶら下げているのだが、その中途半端な様子が引っ越したばかりの家にはなんだか似合っているようにも思えるから面白い。  新しい生活を少しでも落ち着かせようとして、きょうは忙し

          寒い冬のなんでもない一日

          一年前のランニングコース

           アタマがぼんやりとしてまともに考えられないので外を走ってきた。寒いかと思って用心して出たが、きょうは案外手袋を外しても大丈夫なくらいだった。そういえば、昼にすれ違ったサラリーマンが連れ立って歩く同僚に「風がないとあったかいね」と幸せそうに言っていたのを思い出した。  一年前に歩いたり走ったりしていた景色をからだはまだきのう通った道のように覚えていた。ただ、いまの新しい家から一年前までよく走っていたランニングコースまで接続する最初と最後の道だけは、まるで脳の神経回路が繋がっ

          一年前のランニングコース

          新しい街

           ドン・キホーテしかない街からスタバもエクセルシオールもある街に引っ越した。元々近くに住んでいた街だし、勤め先があったから毎日のように通っていて土地勘もある街なのだけど、からだがまだ慣れない。帰宅した後でまた外にひとりで出かけてみたのだけど、どうしていまの時間にこの街の駅前のカフェにじぶんがいるのか理解できない。この街の駅前は僕にとって基本的に朝と夜の通勤の際に通り過ぎるだけの場所だったのだけど、いまじぶんが家族と自宅で食事をしたあとにここにいることが信じられない。ひとは思っ