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写真が掲載になった話と、「予測と期待」の話

どうも、高橋直哉です。

つい数日前のことです。RICOHがオフィシャルに運営しているBlog「GR official」で開催していた企画の中で、自分の写真を掲載してもらいました。
こういった機会もなかなか無いと思うので、自分がGRを手に入れた経緯なども多少含めつつ、今回掲載してもらった写真の撮影プロセスなど書いてみたいと思います。
スナップを撮る人間が、GRというカメラを手にして間もない時に、どういった思考で撮影を行ったか、みたいな事が伝わると良いなと思います。


RICOH GRを手に入れた

スペックなどは公式サイトで見てもらうと良いと思いますが、自分が今回手に入れたのは今話題のGRⅢではなく2世代前の無印GRです。初めてAPS-Cのセンサーを積んで2013年発売になったGR。手ブレ補正はおろかWi-Fi機能もありません。このGR、もともとは妻が長く愛用していたのですがGRⅢ導入の際に手放すかどうかが検討に挙がり、某マッ○カメラに安く下取りに出すくらいなら自分がそれより少し高く買うことを条件に譲り受けることとなりました。
普段撮影の際にはFUJIFILM製のカメラ(2019年5月時点だとX-T3)を持って出るのですが、スナップという瞬間の判断を求められる場においてレンズ交換が何より億劫で、かと言ってもう1台X-Pro2を一緒にぶら下げた撮影姿はあまりに怪しいですし、サブとしてサッと取り出せるカメラが欲しかったのでお互いに良いだろうと。何より妻の愛着がまだまだ強いという事も後押ししてめでたく家庭内下取りという事に相成りました。

自分はフルサイズ換算35mmに苦手意識があるので、それよりやや広いGRの28mmも果たして使いこなせるだろうか、という心配は若干あったものの、今にしてみるとただの杞憂でしかありませんでした。
結果論ではありますけれど、ミニマルなスタイルで撮影に出かけるのにとても重宝していて、スナップで一番使用する換算85mmのレンズ(XF56mm F1.2 R)の相棒的なポジションを担おうとしつつあります。

GR official と GR SNAPS Vol.6

まずはGR officialの基礎知識から。
GR officialとは、RICOHが公式に運営しているBlog形式のサイト。過去10年の歴史をもっていた旧GR BLOGが一旦の終了を迎え、その後2年の充電期間を経てユーザーとの架け橋を担うかのごとく2018年に新たなスタートを切りました。

自社メディアとして情報発信を担うブランドサイトは世の中にたくさんありますが、私たちはこのGR officialを、様々な企画自体をファンのみなさんと一緒に考えて、生み出していく場にしたいと思っています。
単に情報を集めて発信するメディアではなく、ここを起点に、リアルとWEBを横断した様々な活動が広がっていくイメージ。
販促という枠を超えて、この活動やサイトそのものがGRだねと言ってもらえるような、商品以上に、GRらしい場にしていきたいです。

引用:https://www.grblog.jp/article/27

GRの情報を発信すると共に、上記のようにユーザーとの距離を縮めるよう「GR meet」や「GR Live」などといったユーザー参加型のイベントも行っているようです(「ようです」という書き方なのは、そのイベント実施当時は自分はGRを持ってないので良く知らなかった)

そんな運営の一環として行われているのが「GR SNAPS」という企画です。あるテーマに沿った写真に指定のタグをつけてSNSに投稿することでエントリーが出来、運良く運営の方の目にとまると記事内で紹介してもらえる…といったもの。タイミングによってはプレゼントも頂けるようです。

GR SNAPS Vol.6 テーマは「瞬間」


撮影プロセス

さて、前振りが長くなってしまいましたが、今回の本題に参りましょう。今回のGR SNAPS、テーマ「瞬間」で紹介してもらった写真の撮影プロセスについてです。
ここからいきなり読む人もいると思うので、まずは紹介してもらった写真から。

我ながら、なかなかの瞬間を撮ったのではないかと(自画自賛)
以降の文章ではこの写真が撮れるまでを振り返ります。


この日、外部の打ち合わせがあって荷物が多く、いつもの機材を持っていませんでした。ただ、手にしたばかりのGRをポケットに忍ばせてあったので、操作感やレリーズのラグ、手ブレなどの感覚に慣れる意味でも、少しだけ撮って帰ろうと考えました。
場所は有楽町。東京で少しでも写真を撮っていれば誰でも知っている場所、と言ってしまっても過言ではないと思います。到着するやいなや、この光るタイルが俯瞰で見えるポイントを目指します。

時間は19:30。俯瞰ポイントに着きました。灯りと暗がりのコントラストが強くなる時間ですが、より強調するのはどうだろうかと考え、いくつかあるGR固有のエフェクトの中から「ハイコントラスト白黒」を選択。仕上がりがハマるようであればJPGままでも良いかな、というイメージを頭の片隅におきつつとりあえず数枚撮影し始めます。

「ハイコントラスト白黒」の絵の出方がこの段階ではピンと来なかったので、エフェクトを「クロスプロセス」に切り替えます。この時点で色を気にするのは撮影時の気分の乗り方が違うからだけれど、色に関する操作に注力するとシャッターチャンスを逃しかねないのでRAW現像を踏まえた撮影に意識を変えます。と同時にこの時間では、人が来て欲しい場所のイメージづくりと構図づくり、道行く人のリズム/歩調を意識したシャッタースピードの選定作業を行います。「なるべく人がぶれていない、輪郭のはっきりした写真」という完成イメージのもとに設定を詰めていきます。

ここまで準備できてしまえば、後は自分がいかにすばやく反応できるかだけ。カメラのモニター(あるいはファインダー)だけに注力せず、来てほしい場所に来てほしい人が現れた時に反応できるよう、周囲の流れ/導線も見ながら気持ちの準備を行います。
そうして撮られた写真がこちら。足の開き方のタイミングも良いし、足そのもののシルエットもきっちり押さえられています。この段階ではこれを決定カットとし、GR初日だし今日はこんなところかな、という気分にもなってきたので、この場所を後にします。この時の時間は19:39。

フロアに降りました。駅に向かう傍らシャッターを押しただけの、どう見ても失敗の写真です(笑)あえてこれを載せたのには理由があって、この場所を知ってる方はわかると思うのですが、ここからJR有楽町駅までは若干1.2分足らず。その1.2分の視線の先からスケートボードを持った青年2人が歩いてくるのが見えたのです。
彼らの歩調から予測するに、方向的には駅に向かう自分とすれ違うことになりそうです。そして、この予測の先に言えることは「光るタイルのところで滑ったりしそう」という期待。人の流れを考えても俯瞰写真で言うところの奥側より手前側のほうが人通りが少ないので、ここで滑るのではと考えました。

期待を胸に、急いで先程の俯瞰ポイントに戻ります。相手はスケートボードなのでいつ滑ってきてもいいように、各種設定は戻りながら再確認。写真でいうところの左下、視界の外から「カッ」という軽いものが叩きつけられる音が聞こえ、その直後には彼は飛んでいました。「滑ったら良いな」と期待していたら「飛びました」。
そういった一連の流れで「期待以上の結果」が得られた写真がこちらです。さすがに手の角度とかスケートボードの跳ね具合は狙ったとは言い切れませんが、狙った角度・位置で捉えられたかなとは思います。時間は19:41。全体通してもわずか10分の中でこれだけの事を考えながら撮影しています。

スナップは「予測と期待」の繰り返し

長くなりましたが、ここまでがこの写真の撮影プロセスでした。
後にも先にも、彼らが飛んだのはこの一度きりで(さすがにここで滑るのはまずそうだ、と判断したみたいです。自分もそう思います。)結果としてリハーサルみたいな扱いになった事前の撮影はあったにせよ、このシチュエーションに会えたことそのものは予測と期待があって成立したものです。

何メートルも先の周囲の情報を察知しその動きを予測して、その過程の中でイメージしたシチュエーションが起こる事に期待しながら準備を行うことで、撮影の成功率はぐっとあがります。
そもそもイメージをしていないものは撮れないと思っているので、少し意識してみるだけでだいぶ写真も変わります。ご自身のスナップがあまり良い瞬間が捉えられてないな、と思う方がいたらこの点を少し意識してみると良いのではないかなと。

じゃあその「イメージ」というのは具体的には何かというと、そういったTipsも多少あるのですが、だいぶ長くなってきたので、それはまたの機会に。

感想などあればnoteのコメントかTwitterのDMなんかでもお気軽にいただければ嬉しいです。では今回はこのへんで。




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