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サブスクリプション・CRM担当マーケターにオススメしたい15冊+3冊 #読書バトン

ピースオブケイク CXOの深津さんから始まった「#読書バトン」が盛り上がってますね。私は誰かから指名されたわけではありませんが、面白そうですし、自身の振り返りのためにも参戦してみます。

noteでの私のフォロワーさんは、おかげさまで現在1,126人。そのうち99.9%は、私がサブスクリプションの記事を書き始めてからの方たちです。ですので、今回もこの分野を中心にお伝えしたいと思います。

ただ、紹介する本は直接サブスクリプションを取り扱ったものはありません。リピーターが大切なEC業界やアクティブユーザー数がものをいうインターネットサービス業界など、契約者との長期的なリレーションが必要なさまざまな業界で使える、「CRM」や「カスタマー・エクスペリエンス」、そして、これまで私が分析の記事を書いてきたような「分析・論理思考」といったテーマを中心に紹介します。

私自身もまだまだ勉強中の立場ですが、何かの参考になれたらうれしいです。




入門者にオススメの3冊

後述する「CRM」「サービス・マネジメント」から1冊ずつと、「デジタル・マーケティング」の入門書を1冊選びました。


CRMの基本(2014)

データの収集・管理から、識別・分析・施策の立案まで幅広く学べます。


売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門(2015)

カスタマージャーニーマップ(顧客の感情の可視化)、NPSをはじめとした顧客満足指標の選定や解釈など、カスタマー・エクスペリエンスの入門書でありながら適度な深さもありオススメです。


デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(2017)

ECの話しが中心で、広告、SEM、サイト改善など広い範囲の入門書ですが、前半の章に「新規売上/継続売上の分解」や「2度目のリピート客の獲得を目指す施策」に紙幅を割いていて、CRMとしても興味深いです。




CRMの実践に向けてオススメの3冊

CRM(顧客関係管理)は、物が売れない時代にデータを有効活用し、1to1のマーケティングを実施できる仕組みを作り、顧客生涯価値(LTV)を高めようとする戦略・手法です。
20年前からある考え方ですが、最近では、Marketing Automation などツールも進化していて、古くて新しくなっています。私自身も、仕事でCRMを担当し、馴染みが深いテーマです。


CRM―顧客はそこにいる(2001)

国内で最初のCRM本の改訂版にして、私のバイブルです。事例が古くなっても、ロジックやフレームワークは普遍的です。


ネット・プロモーター経営 〈顧客ロイヤルティ指標 NPS〉 で「利益ある成長」を実現する(2013)

アンケートで顧客満足を測る方法は色々ありますが、アップルやアメリカン・エキスプレスなど、多くの企業がに採用している指標がNPS(ネット・プロモーター・スコア)です。このNPS提唱者の本人による著書で、たった1つの指標(質問)から、サポート部門だけでなく、全社で取り組む経営戦略に落とし込まれているところが非常に面白いです。


売れる仕組み―こうすれば顧客は離れない(2004)

タイトルで損をしていて、Amazonのレコメンドにもほとんど引っかかりませんがすごくまっとうなCRM論です。RFM分析を発展させた「グレードアップ分析」(←このネーミングも…)というフレームワークはすごく汎用性が高いです。




サービス・マネジメントでオススメの3冊

直近の #読書バトン では「ユーザー・エクスペリエンス(UX)」の議論は活発ですが、似た単語に「カスタマー・エクスペリエンス(CX)」があります。その違いは、前者がプロダクトやデザインに特化しているのに対して、後者はセールスやサポートなど、人や組織と全方位的な特徴があります。(もちろん優劣の話ではありません)

私が得意なのは後者で、ここでは、カスタマー・エクスペリエンス(=感動体験を提供すること)を目指すための、サービス・マネジメントの本を3冊紹介します。


顧客体験の教科書―収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方(2016)

グッドマンの法則(クレームを申し立てて解決した顧客は、クレームを申し立てない顧客よりもリピーターになりやすい。や、クレームへの対応に顧客が不満を抱き批判的な口コミをした場合は、好意的な口コミよりも2倍影響を与える。など)の提唱者本人の著書です。400ページを超える厚さですが一気に読めました。


ハーバード・ビジネススクールが教える顧客サービス戦略(2013)

サービス・マネジメントは「すべての分野で最高」を目指そうとしても無理があります。また、「やらないことを決める」というお話しならどこにでもある内容になってしまいます。この本では、「あえて下手にやる」「あえて顧客の期待を裏切る」選択をするという逆転の発想が面白いです。


コールセンターマネジメント 戦略的顧客応対[理論と実践](2008)

サービス・マネジメントの中でも、コールセンターに特化した本。原書の初版は1997年と20年前の本ですが、古さを感じさせません。今でこそ、「カスタマー・サポート」から「カスタマー・サクセス」へ。「コスト・センター」から「プロフィット・センター」へ。といわれていますが、その走りのような本で、CSの仕事はアツくて面白いと思わされます。




ブランディングでオススメの3冊

分析や顧客対応がどんなに素晴らしくても、顧客の事前期待が高すぎたり、誤った方向に向かっていれば、顧客満足度はあがりません。ここでは、ブランディングの定番の3冊を紹介します。


ブランディング22の法則(1999)

ポジショニング戦略で有名な、アル・ライズのブランディング論で、22個に小分けされていて非常に読みやすいです。


物を売るバカ売れない時代の新しい商品の売り方(2014)

今回の中で唯一の新書です。物語(ストーリー)を語りブランドを形成することがテーマです。ストーリーがつくビジネス書は山ほどありますが、野菜や果物、新幹線のワゴン販売とか、ものすごく身近な事例を、「人類共通の感動のツボ」「価値を見える化する3本の矢」などうまく一般化している点がポイント高いです。


ブランド論---無形の差別化を作る20の基本原則(2014)

ブランディングの大家で定番の1冊ですが、「ターゲットを定めて1点に注力すべし」となりがちなブランディングの中で、ブランドの拡張やポートフォリオ、組織のサイロ化にも焦点をあてているので、複数のブランドを持つ大企業の方にも参考になると思います。




分析・論理思考を鍛えたい人にオススメの3冊

ここから先はサブスクやCRMと関係ありませんが、noteに4000文字~6000文字の分析記事を垂れ流し、分析が趣味の私が影響を受けた3冊を紹介します。3冊とも非常に面白いです。


イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」(2010)

定番ですので説明不要かもしれませんが、前半には、「イシュー度(問題に答えを出す必要性の高さ)の見極め」などのマインドセット、後半は分析やプレゼン資料作成の how-to まで非常に秀逸な1冊です。


意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法(1998)

分析の切り口と方法論を整理・体系化した本で、各章が以下のように分かれています。専門書に分類される本だと思いますが、非常に読みやすいです。

分析の基本4つ「大きさ」「分解」「比較」「時系列」
そのバリエーションとして3つ「バラツキ」「仮定/プロセス」「ツリー」
さらに「不確定/あやふやなもの」「人の行動/ソフトの要素」の取り扱い


観想力―空気はなぜ透明か(2006)

突然ですが、タイトルの「空気はなぜ透明か」に答えられますか?
私は答えられませんでした。最初の回答はこうです→「透明かどうかは人間が定義しているから」これはこの本のなかで、天動説に等しい自己中心的な「怪」答と切り捨てられています。正しい解答はネタバレになるのでここには書きませんが、「正しい問いの立て方・答えの得方」を「視点」「視座」「切り口」の面で論じているのがこの本です。




行動・思考パターンに大きく影響した3冊

ここまで15冊。お付き合いいただきありがとうござます。最後の3冊は、完全に私の個人的な好みの選定です。特に2冊はマーケティングですらありませんが、私の価値観や思考パターンに大きく影響した本を紹介します。


マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?(2009)

ブランディングのところでも登場したアル・ライズの著書。合理的な選択を好む左脳型のマネージャーと、直感的で右脳型のマーケターの交わらないジレンマを書いた本です。(マネジメント脳の失敗への風刺が中心です。)
私自身は放っておいたら合理主義/現実主義のマネジメント脳なのですが、心理学や行動経済学の側面から紹介されているマネジメント脳の失敗には、これまでの価値観をズタズタに引き裂かれるような衝撃でした。


MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方(2006)

こちらも、MBAに対する強烈な風刺がきいているのですが、ここで批判されている内容には全面的に賛成です。しかし、この本で批判の対象になっているのは、現場を軽視して机上の空論を並べる評論家人間とそれに高いポストを与える企業側の価値基準です。つまり、本質的に資格の有無は関係ありません。また、それは、現場に立つことがない分析屋だったとしても、現場とコミュニケーションをとり、現場の視点を持てば防げる問題なんですよね。そういう意味で、批判の内容にならないためにどうするか?を考えさせられる良書でした。


ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法(2014)

私自身がピクサー映画の大ファンなのですが、彼らが映画製作でぶち当たる困難な問題に正面から立ち向かう紆余曲折や失敗談が非常に面白く、何度も読み返しています。
納期も予算もギリギリの状態でも製作には一切妥協しないという価値観で形成された組織文化はかなりストイックで、『トイ・ストーリー3』(←私の中でも最高傑作)はピクサー映画で大きな危機に見舞われなかった唯一の作品で、本来であれば褒められるべきものが、「自分たちはほかの作品のクルーに比べて努力が足りなかった、限界に挑戦していなかった」と解釈してしまったほどだったそうです。アツいです。


*    *    *


以上、15冊 + 3冊。書き始めたら楽しくなって、ついつい長く、多くなってしまいました。

バトンは特に指名を受けたわけでもありませんので、指名はしませんが、誰かのオススメした本を知るのはその人の価値観を覗いているようで楽しいです。 #読書バトン がますます盛り上がったらいいなーと思っています。


今回は後半で話しが脱線しましたが、サブスクリプションモデルに関する記事は、以下のマガジンに書いています。不定期ではありますが、少しずつ書いていこうと思いますので、フォローしていただけたらうれしいです。


サブスクリプションの記事をまとめたマガジン(すべて無料)
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