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なぜ「ニュースのしくみ」が必要なのか

テレビの現場にいた合計18年間を振り返ってみて、今あらためて思うのは、テレビのしくみは意外と知られていないということです。例えば、近年ではテレビと広告がどのような関係にあるか、についてはよく知られるようになり、見る人のリテラシー(読解能力)も高まっていると思います。番組の中で、これは広告費が出ている企画かな?と気づくこともあるのではないでしょうか。

それでは、ニュースはどうでしょう。報道と情報番組の境界があいまいになりどのように区別して見たらいいかわからない、というケースも増えています。「テレビのニュースとワイドショーを、区別する必要なんかない」といえば、それもその通りですが、これらをしっかり分けて考える「分別」ができたならある程度、情報を整理しながら受け取ることができるようになると思います。

テレビのニュースの見方が変われば、社会の見方も変わってくると思います。例えば、そのニュースが誰のどのような意図で作られているか想像がつけば、ニュースや社会を、今までとは違った視点で「読み解く」ことができるようになります。実際に私がテレビ局の記者をしていた時は仕事柄、このニュースの情報源は誰なのか、情報を出すタイミングを図ったのは誰なのか、というように、少し斜に構えて各社のニュースを見ていました。

・ニュースの内容はだれがどのように決めているのか?

・ニュースとニュースでないもの、その判断基準は?

・ニュースの情報はいつどこから入手するのか?

・スクープはどのようにして生まれるのか?

・どこにいけば記者とコンタクトが取れるのか?

・報道機関の立ち位置はいったいどこにあるのか?

・なぜプレスリリースを出しても効果がないのか?

・どうしたら大きく取り上げてもらえるのか?

・上手な取材の受け方と断り方とは?

・かかりつけの報道記者を持つとは?

現代では、あらゆることが表に出るようになりましたが、ニュースについてはまだブラックボックスの中です。テレビ局で報道の仕事に就く人にとっては、ニュースのしくみを公言することは一種のタブーです。だから、ニュースのしくみはいまだにほとんど知られていないのです。例えば、テレビ局の記者が上の各質問について、詳しい解説をSNSなどに投稿している例がありますか?そもそも、一部の新聞社などを除いて、報道記者はSNSでの発信すら制限されているのです。この時代に。

私たちがスーパーで野菜や肉を買うときに、生産者の顔が見えていたり、添加物の内容が記されていたりすることは、当然のことになりました。食品のトレーサビリティが確保されていなければ、消費者には振り向いてもらえません。これと同じことが、ニュースにも当てはまる時代になっているのではないかと私は考えています。ニュースにもプロセスの透明性が求められているのです。もはや、そのしくみを隠している場合ではないのです。

さて、話を戻して、あなたは上に挙げた質問に全て答えることができますか?報道経験のない人には難しい質問です。広告会社やPRの会社、企業の広報担当者なら答えられるでしょうか?なかなか難しいと思います。役所や捜査機関の幹部、議員や首長なら一部の質問には答えられるかもしれません。このマガジンでは私の記者経験に基づいてニュースのしくみを惜しみなく解説します。

なお、このマガジンはニュースの裏側を暴露することが目的ではありません。ニュースが一般的にどのように作られていくか、その工程や意思決定のしくみを広く知ってもらうことによって、みなさんのメディアリテラシーの高まりを期待するものです。それは、ニュースの送り手と受け手の双方に恩恵をもたらすものと考えています。今後はそれぞれの記事を有料にて公開していきますが何卒ご購読のほど、よろしくお願い申し上げます。シェア拡散も大歓迎です。



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