地方都市における「頑張らない」勉強会を主催するコツ
このエントリーはエンジニア転職のLAPRAS/エンジニア採用のLAPRAS SCOUTを提供する、LAPRASのアドベントカレンダーの22日目のエントリーです
はじめに
LAPRAS株式会社でSREをしているnappaです。
月に1回主催している Mito.dev という勉強会コミュニティが無事に4年目を迎えたのですが、どうやってそこまで継続できたのか教えてほしい、という声を頂いたので、今年は Mito.dev を継続するために大事にしていることをまとめました。
地方はどうしても勉強会自体が少なく、参加したくてもできない状況にあることが多いと思います。かといって都内などで開催されている勉強会へ何度も足を運ぶのも大変です。
無いなら自分で勉強会を主催してみたい!とは思いつつ、ちゃんと続けられるかどうか不安でなかなか踏ん切りがつかない・・・そんな人の背中を少しでも押せればと思います。
なお、自分が主催しているのはいわゆる「もくもく会」ですので、それを前提とした内容となる点にご注意ください。
※ 記事内の画像はChatGPTによるAI生成画像です。
Mito.dev について
茨城県水戸市で毎月1回もくもく会を開催しているコミュニティです。
「水戸でエンジニアが交流できる場作りがしたい」という趣旨で、主催は私 nappaと @KawamataRyo さんの2名で行っています。
いまから5年近く前、当時私は東京に住んでいたのですが、結婚を期に地元である茨城に移住することを考えていました。
そんな時期に偶然訪れた勉強会で茨城在住の @KawamataRyo さんと出会い、「茨城って勉強会少ないですし、我々で勉強会やりませんか?」という一言から Mito.dev は始まりました。
まさか4年以上も続くとは思いませんでしたが、メンバーはのべ97名。実際に参加してくださった方は60名以上となりました。
Mito.dev におけるもくもく会の流れ
下記が実施に使用しているタイムテーブルになります。よくあるもくもく会とそれほど大きな違いはありません。
Slackへのやることと自己紹介を投稿する方法に関しては @KawamataRyo さん謹製のBotを使用しています。一度入力された自己紹介は永続化されているので非常に便利です。
15:00からは「LT or テックトーク」の時間を取っており、任意参加で各々思い思いの話題をお話いただいています。「テック」と銘打っていますがお題に制限はなく、美味しいラーメン屋情報、みたいなものもOKというゆるいルールになっています。
なお「テックトーク」自体はLTのような事前資料を必要とせず、気になった記事や情報などを持ち寄って共有する、といったものになっています。
弊社でも毎週月曜日のお昼に「LAPRAS Tech Talk News」を配信しているので、そちらをご覧いただくとイメージがつきやすいかと思います(私は出演していません)
最後に当日のやったことを共有して締めですが、その後希望者を募って懇親会を開いています。
参加率はかなり高く、毎回皆さん懇親会へ参加くださっています。とはいえ車で来られるかたが大多数なのでソフトドリンクでの乾杯が恒例です。
勉強会を開催するまでに大事なこと
一緒に主催してくれる人を見つける
これが最難関にして最重要です。継続する上で一番大事だったと言っても過言ではありません。
個人が主催する勉強会などは基本的に無償であり、継続されるかどうかは主催のモチベーションに大きく左右されます。
参加人数があまり振るわなかったり、仕事が忙しくなってきたなど、「もうやめちゃってもいいかな」と思ってしまうのはどうやっても避けられません。
そんなときに共同主催者がいる場合、モチベーションの低下を相互にカバーできたり、そもそもとして運営の手間を分散することができます。
私の場合は運良く @KawamataRyo さんと出会うことができましたが、もし一人で始めていたら早々に挫折してしまっていたでしょう・・・。
まずは知人を巻き込む、もしくは同じ地域でエンジニアの知人を探すことをおすすめします。
開催規模もなるべく小さくし、最悪主催だけが参加すれば成立する、程度のサイズ感であれば「人が来なかったらどうしよう」に必要以上に怯えなくて済むと思います。
間口をなるべく広くとる
実は Mito.dev は当初「水戸エンジニアフロントエンドもくもく会」という会を開催していました。
これ自体に特に大きな理由はなかったのですが、実際に初めてところ「バックエンドなんですけど大丈夫ですか?」「組み込み系なんですが(略」といった声を多数いただきました。
元々は「水戸でエンジニアが交流できる場作りがしたい」という趣旨だったのに、意味もなくフロントに限定してしまうという愚行に気づき、すぐに「水戸エンジニア勉強会」という名前に変えた経緯があります。
私の場合はそういった声を直接いただけたので良かったですが、そうでなかった場合せっかく参加意欲がある人にリーチできても「気になるけど参加しちゃいけなさそうだな・・・」と思わせてしまうかもしれません。
もちろん主催として、特定分野に絞ったコミュニティにしたい!というWillがあるのであればそれは大事にするべき事です。
ただ地方ではエンジニアの絶対数は少なく、絞った結果全く人が来ないのでは本末転倒ですので、許容できる範囲で間口は広くとると良いかと思います。
勉強会を続けるために「頑張らない」
前段でも触れましたが、個人主催の勉強会の継続性は主催のモチベーションに大きく左右されます。
勉強会開催に対して必要な精神的、時間的リソースに対し、モチベーションがそれらを上回らなかった段階で継続性は失われてしまいます。
「頑張らない」によってこの精神的、時間的リソースを下げ、モチベーションが低下したとしても継続性を保てるようにすることが肝要です。
勉強会を開催した直後はモチベーションが非常に高く、「こうしたほうがいい」「あれもやってみよう」といった「頑張る」にベクトルがどうしても向いてしまいがちです。
しかしその熱量を同じ水準で保ち続ける事は相当に困難なので(少なくとも自分は無理です)、長期運用をするという前提で現実的な運用フローを設ける事をおすすめします。
いくつかおすすめの方法があるのでご紹介します。
場所やタイムテーブルは完全に固定してしまう
特に開催場所を都度探すのは本当に手間ですし、参加者の方にも負担をかけます。
より良い場所を頑張って毎回探したり、タイムテーブルをいちいち調整するより、一度安定したらよっぽどのことがない限り固定化してしまうと良いでしょう。
勉強会の当日に次回の場所を抑える
後から連絡を入れて予約をするのは手間ですし、後回しにしがちです。
可能であればですが、勉強会当日にそのまま次回の日程を決めて場所の予約まで入れてしまうことでスムーズかつ強制的に次回の開催日を確定することができます。
できたら開催日も毎月x週土曜、みたいに固定化できれば脳死で予約ができるのでおすすめではあります。
告知における手間を最小限にする
connpassの内容は汎用的なものにし、複製して日付を変えれるだけの状態にしてあります。Mito.dev のメンバーに参加していただいているSlackへの告知も含めて5分もあれば終わります。
告知文を頑張って工夫すること自体はとても良いことなのですが、Mito.dev では割り切ってしまっています。
事前準備を最小限にする
任意参加のLTタイムを設けている場合、主催のいずれかはスライドを作って発表することが暗黙的に期待されがちだったりします。とはいえコンスタントに毎月事前準備するのはとても負荷が高くなります。
そのため Mito.dev ではテックトークという形を取っており、事前準備の手間を省いています。
スライド不要なので直前に気になる記事をちょこっとピックアップするだけで済んでしまいますし、なにより参加者の方も参加のハードルが低く、LTは無理ですがテックトークなら・・・と発表してくださる方もいらっしゃいます。
スライドに限らないですが、事前に主催が準備すべき事は可能な限り最小限にとどめておくのが良いかと思います。
おわりに
もともと意図的にやっていたこともあれば、今振り返ってみると結果的に良かったね、といったものまで、勉強会を運営していく上でのコツ(といって良いのかわからないですが)をいくつか紹介させていただきました。
より高い熱量で最良を追い求めることは理想ではあるのですが、残念ながら「継続して勉強会を開催する」という長距離走を、短距離走のペースで走ることはできません。
長期運用を前提とした無理のない範囲で、コミュニティ運営を「楽しめる」やり方を見つけていただければと思います。
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