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【投資家×創業者対談】VC視点で見る、AquaAgeの将来性とは?

AquaAgeは2023年1月までに合計5200万円のシード期の資金調達を行い、事業加速と人材採用に乗り出しています。今回はVCであるLifetime Venturesの代表パートナー木村亮介さんと、AquaAgeの代表の包娜仁(hona)とオンラインで対談しました。

AquaAgeの創業経緯、今後の会社の展望を説明した記事が以下のnoteにまとめています。

そしてなぜ、木村さんが投資家としてAquaAgeへの出資を決めたのか、マーケットや当社の成長可能性などの観点から教えてもらいました。

投資家×創業者対談

目次

  1. 名古屋のオンラインピッチイベントをきっかけに出会った二人

  2. エッジの効いたエキスパート×競争力のある領域が出資の決め手

  3. 起業家に求められる成長可能性や人を巻き込む貪欲さ

  4. 「スキンケア」という普遍的なニーズに誠実に応え続けたい

  5. ユーザーオリエンテッドな時代の到来に向けて

名古屋のオンラインピッチイベントをきっかけに出会った二人

木村:僕がhonaさんに最初にお会いしたのは、名古屋市主催のオンラインピッチイベントでしたよね。僕自身はこれまで東京・横浜を中心に活動していましたが、名古屋という地域に面白みを感じ初めていた時期でした。
そういう期待感の中で出会ったのが、honaさんだったんです。
AIやコンピューターサイエンス領域のエキスパート系の創業者であり、なおかつ大手化粧品メーカーでビューティアドバイザーの研修を受けるほど、勉強熱心。ここが一番印象に残りました。エンジニアや博士号を取得しているレベルの専門家は、自分の専門領域以外の勉強を避けるイメージもありましたしね。

hona:私から見た木村さんは、初めてお会いしたときからとにかく理解力が高い方という印象でした。私は日本語が母語ではありませんし、自分の話に夢中になってしまう傾向があるのですが、木村さんはすごく心地よく会話のキャッチボールを成立させてくれていました。
最初にお話ししたときも、ものの30分足らずで当社の事業のことを素早く理解して、将来的なアドバイスまでいただけて。この人にいろいろ教えてもらえば、事業をもっと成長させられそう!と直感しました。

エッジの効いたエキスパート×競争力のある領域が出資の決め手

木村:AquaAgeさんへの出資を決めたポイントは2つです。一つは、エッジの効いたエキスパートが創業者だったこと。我々は「その人が事業を牽引すること」自体が競合優位性になる、タレントドリブンを重視して投資を行っているからです。
もう一つが、AquaAgeさんが手掛けようとしている領域です。30年後に駆逐されてしまうのか、それとも生き残れる領域なのかという視点でビューティーテックを考えると、非常に普遍的かつ、フィジカルな領域だと捉えられます。さらに、日本の化粧品産業は世界的に見ても強い競争力を有しています。今後、世界的に伸長する可能性が高い地域はアジアやアフリカ、中南米が中心であることも考えると、日本なら地域性を意識した商品開発ができる地政学的なアドバンテージもあります。一方で、「肌」というテーマは言語に依存しません。こうしたポテンシャルを加味して、ぜひご支援したいと思いました。
もちろん、マーケット的に見て懸念材料がなかったとしても、スタートアップが必ずしも前進できるとは限りません。創業者の方がどのようなアイデアを生み出し、ビジネス的なアプローチができるのか。投資家はここに対してリスクを取りながら支援を行っていく形になります。その点でいうと、honaさんが最初に乗り越えていくべき壁は、組織づくりだと認識していましたね。

起業家に求められる成長可能性や人を巻き込む貪欲さ

木村:実際に企業が投資を受けて成長できるかどうか、判断する要因は大きく3つあります。
一つは、当然のことながら起業家個人が成長できる人かどうかです。もう一つは、起業家が人の助けを借りることに意欲的かどうか。事業は一人ではできませんから、外部人材の活用も含めて、誰かにチームにジョインしてもらうことに対して素直で謙虚、かつ貪欲である必要があります。最後の一つは、結果を出すことに集中できるかどうかです。
honaさんを見ていると、非常に向上心があって、お会いするたびに大きな成長を見せてくれます。私はhonaさんに対して僭越ながら投資家視点で事業に関するアドバイスをさせていただきますが、次の打ち合わせのときにはお伝えした内容をしっかり咀嚼して、明確な意思決定や方向性の変化として示してくれるんです。
これは、私に「見せよう」と思ってできることではありません。普段から自己変革をして前に進もうとする意志を、強くお持ちなのでしょう。

hona:ここ半年の間、自分が能動的に変わっていくべきだと強く感じています。特に現在の課題であるチームづくりの部分では木村さんからもアドバイスをいただきながら、今どんな人材を求めるべきなのか、採用をどう進めるべきなのかを学んでいる最中です。やはりトップレベルの人材が集まらないと、組織として将来的に大きく成長するのは難しくなりますから、自分よりも優れていて、なおかつ信頼して仕事をお願いできる人を探していきたいと思っています。
もちろん、自分が5点満点中5点出せるような得意領域には私が集中します。逆に、1点や2点しか能力を出せない部分を補ってくれる人を揃えるというのが、今後の方針ですね。十分な人材が集まったら、各人の専門領域以外の部分はどんどん仕組み化し、素早く開発を回す。これが、現在の当社が目指す組織づくりです。

木村:具体的に私がサポートしているのは、作りたい組織の理想像、哲学に基づいて、どんな人と一緒に働けばスムーズに事業が推進できるのか、アイデアをお出しする部分です。VCなので、人脈は豊富ですしね。

「スキンケア」という普遍的なニーズに誠実に応え続けたい

木村:投資家視点で見たときにもう一つhonaさんの特別性を挙げるなら、バランス感覚でしょうか。テクノロジー系の方はその領域に偏ってしまうことが多いのですが、honaさんはテクノロジーもユーザーも、どちらも同じように大切にできる非常に稀有な存在です。
例えばテクノロジーの観点で面白そうな技術があったとしても、それがユーザーにとって意味のないものなら、自社には不要だと割り切れる。だからこそ、ビジネスサイドもエンジニアサイドも、非常に働きやすいのではないのではと思います。これは、単なる業務領域の話だけにとどまりません。日本人でも外国人でも、「スキンケア」という普遍的なニーズを解決するために、同じ会社で一緒に頑張る。そういうカルチャーを作っていける方だと、この半年を過ごして強く感じています。
一方で、AquaAgeにはまだいわゆる事業の「勝ちパターン」がありません。スキンケアはデータサイエンス的には発展途上の分野であり、その中で奮闘するAquaAgeは今後グローバル規模にスケールしていく「新しい組織」なんです。これまでの自分の成功体験を活かしつつも、アンラーンして新しい世界に飛び込みたい――。そんな人は、AquaAgeにすごくフィットすると思います。

hona:木村さんは本質的かつ、経済的に合理性のある投資活動をされる方です。だからこそ、ビューティーテック分野やスキンケアに対する価値観を共有した上で、30年先まで意味を持ち続けられる投資活動として、当社に出資してくれるのがうれしいです。
私自身もこの期待に応えて、ただ単に出資を受けて事業的に綺麗な数字を積み上げるのではなく、データサイエンスを活用した「本当に良いプロダクト」を、ユーザーのみなさんに自信を持ってお届けしたいと思っています。今後当社にジョインしてくれる方にも、同じような価値観を持っていてほしいですね。

木村:honaさんが手掛けるのは、「人の肌を健康にする」という行為によって人をハッピーにする、誇りを持てる仕事ですからね。特に、良いものを誠実に作っている事業者と消費者をテクノロジーの力で結びつけるハブになるのは、とても楽しいだろうと思います。
AquaAgeにジョインした方が、10年、20年先の未来で「自分たちは良い会社を作ったな」と家族に言えるようになっていたらうれしいです。

ユーザーオリエンテッドな時代の到来に向けて

hona:今後AquaAgeが乗り出そうとしているのは、「肌の健康状態を定量的に測定する」現状のプロダクトの一歩先の段階です。具体的には、使用するスキンケア商品のデータベースを自動的に構築し、商品を利用することでユーザーの肌がどうなったのかをデータ化、将来予測まで行うプラットフォームの開発を目指しています。
こういう世界を実現できれば、最終的にユーザーは自分がどんなスキンケア商品を使えばいいのかを、購入前から予測できます。これまでは商品が自分の感覚や広告頼りで購入していたところから、アプリで商品をスキャンすることで、どんな成分が入っていて、それを使うと自分のシミがどれぐらい消えるのか、美白効果はどれぐらいあるのか、またアレルギーの危険はないかなどを、数字ベースで判断できるわけです。本当の意味でのユーザーオリエンテッドな時代が到来するでしょう。
木村さんがおっしゃったように、日本は化粧品産業、とくに基礎化粧品の分野でさまざまなメーカーさんが膨大な技術を蓄積していて、高品質な商品を提供しています。この優位性は、今後10年は他国が追いつけないレベルです。この時間差を大いに利用し、日本から世界中に対して自分に合ったスキンケア商品を届けられるような仕組みを構築していきたいと考えています。

木村:今現在存在する基礎化粧品は、honaさんの言う通り高品質なものが多い一方で、それがユーザーと正しくマッチングされていたのかは別の問題だったんですよね。生物学的に見たときに、スキンケアによって人の肌がどうなるのかは深く研究されていますが、最後に商品として消費者が手に取るときの部分で大きな断絶が起きている。だからこそ、消費者が自分に合わない商品を使い続けてしまう現象が起きるわけです。
良い製品を作っているのに、適切な消費者に届かない。AquaAgeのテクノロジーなら、こうした問題を解消し、作り手と使い手を正しくマッチングできるのです。まだ特定の人の肌に合ったものが開発されていないのなら、メーカーと一緒に商品開発をする選択肢もあります。
ただ単に流通を最適化するだけではなく、化粧品開発まで巻き込んだ事業展開ができるのも、AquaAgeの大きな可能性ですね。


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