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NY美大サマープログラム体験談(+申込手順から渡米まで)

2019年7月8日~7月26日の3週間、アメリカ・ニューヨークにある美大 School of Visual Arts(通称SVA)のサマープログラム「CDFNY(Culture, Design and Fine Arts in New York)」を受講してきました。

(空が広い大都会)

そこで体験したことの記録です。今後SVAで受講する予定の方や、アメリカの美大のSummer Programってどんな感じか知りたい方の参考になれば良いなと思っています。

かんたんな自己紹介・・2019年9月からニューヨーク工科大学でFine ArtsとTechを学ぶアラサー日本人。思春期にスイス留学を4年間、東京のIT業界上場企業やベンチャーで社会人を5年間経験した後、アート・デザイン経験0でも海外美大を色々合格した為、へんな自信だけ持って世界のNYへ挑戦しに行く。

受講した理由は、9月からNYでアートを学ぶ前に同じ街で一定期間生活し環境を知るため、そしてトップクラスの美大で世界各国から訪れるクリエイターを目指す人たちと交流し共に学びたいと考えたためです。

SVAは評価の高いアメリカのアートスクール

SVA(略称のまま”エスヴィーエー”と皆呼んでいる)はレベルの高いアートスクールとしてその名が世界で知られています。QSランキングArt & Design部門2019では24位で、毎年上位にランクインする学校です(ちなみに日本の最高位は九州大学で150~200位、前年2018年では武蔵野美術大学が同じく150~200位)。卒業生にはKeith HaringやKAWS等がいます。

前回のRISDサマープログラム記事でも書いたことですが、評価の高いアートスクールの学士や修士プログラムに入学するのは簡単ではないかもしれません。ただサマープログラム自体は基本全ての人に門戸が開かれているので、最低限の英語スコアを提出できれば、誰でもトップレベルの美大のクラスを受けることができます。

サマープログラム申込みフロー

アメリカにある美大のサマープログラム(サマースクール)に興味ある方に向けて、学校を探すところから渡米するまでの流れを以下にまとめました。

1.学校とプログラムを探す
2.申込要件を確認し申込む
3.審査合格、追加書類を用意する
4.渡米!

ステップとしてはこの4つだけです。またサマープログラム出願は、9月入学出願に比べれば用意する提出物は少ないので簡単です。ただ要件や追加書類でチョット手間な部分があります。

1.学校とプログラムを探す
学校探しはぼくの場合全てネットで完結しました(良い時代)。前述したQSランキングなどのリストを使って探します。「私はNYにしか興味がない!」など、場所がすでに決まっている人はそこをベースに最初ざくっと絞れるので楽ですね。例えばニューヨーク市のアートスクールリストはWikipedia英語ページがあるので、そこから片っ端から各Websiteに飛んでローラー作戦です。中には高校だったりすでに廃校のところもありますが。

アメリカは6月~8月頃までが夏休みで、この時期にサマープログラムが実施されます。1週間だけのものや1か月超のものなど色々あるので、自分に合った選択肢が見つかると思います。
もし比較的マイナーな分野のプログラムを探しているのであれば、直接キーワードで調べることが一番の近道かもしれません。

もし海外美大経験がある方を身近で知っているならば、学校探しや現地での生活など話を聞いてみることをおススメします。色々な視点があると思うのできっと参考になると思います(詳細ご質問あったらお気軽にご連絡ください)

2.申込要件を確認し申込む
学びたいサマープログラムを見つけたら、自分が申し込めるか要件(PROGRAM ELIGIBILITY:申込資格)を確認します。

ちなみに、もし申込締切が過ぎていても、アメリカなので学校によっては事情を伝えれば検討してくれる可能性が十分にあるので一回連絡してみることをおススメします。

英語スコア(English Proficiency
基本どの学校でもアメリカ人以外はInternational Studentsとして、英語スコアの提出が求められます(English Proficiency)。例えば今回のSVAのCDFNYでは、TOEFL iBTで65以上またはIELTSで6以上、といった具合です。基準は学校によってまちまちなので確認しましょう。

〇最終学歴(Educational Background)
SVAのCDFNYではもう1つ要件がありました。Educational Background(最終学歴)なるものです。以下リンクに詳しく書いていますが、とどのつまり、アートやデザイン分野の学歴がないやつはまず個別にオフィスに連絡してこい、という内容です。正にぼくのような人ですね。連絡したら3~5点のポートフォリオを送れと言われました。おそらく何も描いたことがない、アートやデザインに実際は興味ないようなやつには来てほしくないということでしょう。ごもっともですね。ぼくもそんなプログラムには行きたくないです。素直に自分の作品を送りました。もちろん審査が通って先月行ってきたので今こうして記事を書いているわけですが、定員オーバーの状況だったり、SVA批判するような作品でない限りは、どんな作品でも審査が通る肌感覚でした(保証はしないけど)。

3.審査合格、追加書類を用意する
申込完了し、「審査通過しました!ようこそ!的なメール」が届き、メインの支払いが済んだ後にも用意すべきものがあります。学校によって違いますが、ぼくの経験上から2つ存在します。

〇学生ビザ(F-1)
SVAのCDFNYでは学生ビザの取得が必要でした。学生ビザがないと学校で授業を受けさせてもらえません。以下ビザ取得の流れです。

一、審査通過メールから幾日か経った後に「I-20」という学校が発行する入学許可証が届く
二、この「I-20」に記載されている情報を基に、ビザ関連の支払い、オンラインビザ申請書「DS-160」の作成、アメリカ大使館でのビザ面接を予約する
三、大使館でビザ面接を受ける
四、幾日か経った後にピザが届く

この中で二番目の手続きに骨が折れますが、詳しくはアメリカ大使館のYouTubeを見ることをおススメします。さすがアメリカというべきか、ドラマは見やすく細かいところも丁寧に説明されてあり、とても参考になります。

ビザは時期によって面接を受けられるまでの日数や発行までの期間が変動するので、早めの行動をおススメします。(実体験として、5月は面接まで2日待ち、8月は7日待ちでした。そこから1週間くらいでビザが届きます)

6月に行ったRISDサマープログラムでは、学生ビザを申請する必要はありませんでした。ただ来年は変わっているかもしれないので確認しましょう。

〇予防接種証明書(Immunization)
SVAのCDFNYからは何も求められませんでしたが、RISDサマープログラムでは予防接種証明書の提出が必要でした。これは州や学校によって要件が違うようです。Tuberculous ScreeningやMMRなど色々な種類があるので、対応できる病院×英文で証明書を書いてもらえる病院を探しましょう。以下リンクから調べられます。予防接種によっては、他の予防接種を打つまでに1ヵ月のインターバルが必要なものもあったりするので、早めの行動をおススメします。

4.渡米!
パスポートとスマホとクレジットカードさえ忘れなければなんとかなります(紙の航空券だった時代が懐かしい)。
あと、「I-20」を持参しないとアメリカの入国手続きの時に面倒なことになるので、ちゃんとランドセルに入れておきましょう。

TIP:学校の担当者によってはメールの反応が遅いところがあります。遅いというか単純に返事が来ない場合もあるので、そういう時はSkypeなりで電話して確認することをおススメします。

寮にチェックイン

7月6日土曜日、RISDでのサマープログラムを終えて寮をチェックアウトしたぼくは、ロードアイランド州のProvidenceから電車でNYへ向かいました。
3時間くらいかけてマンハッタンど真ん中のペンシルベニア駅(Penn Sta.)へ到着。そこからタクシーで寮へ。

この1ヵ月近くのアメリカ滞在でずっとLyftやUberを使ってきましたが、初めて従来のタクシーを利用(イエローキャブ)。海外に行って最初に乗ったタクシーで住所を言うときはドキドキしますね。マンハッタンの住所は言いやすくて、どの辺にあるかもイメージしやすいので好きです。「215 E 23rd St」これだけで分かるのは素晴らしい仕組み。

(寮の正面 on 23rd St.)

寮のドアを開けたらすぐ目の前に座っている警備員の方に「CDFNYのサマープログラムにキマシタ」と英語で告げると、Program Assistant(PA)という3週間お世話をしてくれる現役SVA生の人が迎えに来て、部屋を案内してくれます。

ぼくの部屋は20階にあり、こんな感じで広々としていました。
1人部屋の選択肢はなかったので2人部屋です。ここですでに着いていたルームメイトと初めてご対面。建築やデザインをブラジルで学んでいる23歳ブラジル人でした。2人部屋はルームメイト問題で心配でしたが、気配りができるいいやつだったので良かったです。
レイアウト的な観点で言うと、リビングルームにぼくのベッドがあるのは中々面白いなと思いました。右奥の個室がルームメイトの部屋なので、ぼくには実質プライバシーが存在しなかったという意味です(もしかしたらこういうこともあろうかと、早めの到着を目指し土曜のお昼過ぎには着いていたのですが、彼の方が早く着いて個室を確保していました)。

後で分かったことですが、全体で30人ちょい参加していたこのプログラムの中で、男性はなんとぼく含めて3人だけ。ぼくとブラジル人だけが寮住まいだったので、特に割り振る必要もなく同じ部屋ということです(もう1人のメキシコ人は兄がNYに住んでいるとのことでそこに滞在)。

地下には洗濯室(ランドリー)とプレイルームがあります。

(Foosball!取っ手の多くが無い)

夜は、ルームメイトのブラジル人と他すでに寮に到着していたブラジル人や韓国人と一緒にごはんを食べに行きました。”ロブスターサンドイッチ”という人生で1桁回しか食べなそうなものを堪能しました。その後はカフェでコーヒーを飲みながらみんなで自分の作品をインスタ等で見せ合うという時間に。ネットですぐに見せれる状態にしておくことは重要です。

夜、部屋に戻ったら・・

帰った後部屋に戻って明かりをつけたら驚きました。

激暗いです。知らないけれど1950年代の部屋のように感じました。
「2019年」「マンハッタン中心部」「20階」この3つのキーワードから、この光度は想像できていませんでした。最初の数日間は、メンテナンスの人に「蛍光灯のワット数上げて+シャワーの水圧強くして+WIFIどうにかしろ」メールを送るか悩みましたが、結局慣れました。

太陽の力

7月7日日曜日、目覚めが良すぎる朝でした。

東から上がる太陽が眩しすぎるくらいに素晴らしいです。汚い窓で緩和されていそうですが、そんなことは全然ありません。3週間ずっと目覚めに困ったことはありませんでした。太陽の光の力を思い知りました。

オリエンテーション

さて、授業前日のイベントはサマープログラム恒例のオリエンテーションとキャンパスツアーです。

朝の何時だかに寮の地下のプレイルームに集められました。初めて全生徒と顔合わせになるので緊張感があります。天井も大して高くない地下の部屋であることも相まって、なんか空気が重いです。
海外映画・ドラマで、”AA Meeting(匿名のアルコール依存症者たちの集まり)”のシーンが時々ありますが、あのように円を作ってみんなパイプ椅子に座っている状況です。

(奥がプレイルーム)

1つの文章をみんなで作るゲーム

そんなやや重い空気の中、このサマープログラムの概要説明が担当者から行われた後、みんなでゲームをやりました。

一人ずつ単語を言っていき、みんなで文章を作るゲームです。例えば、最初の人が「we」で始めたら、次の人は「will」、次の人は「rock」とつなげて文章を作るシンプルなゲームです。誰か1人がみんなが言っていた言葉をメモしておいて、文章がいくつか出来た切りのいいところでストップし、出来上がった文章を読み上げます(今回はアシスタントの人が実施)。
出来上がったものは基本文章として成り立っているけど、自分1人では思いつかないような単語の組み合わせがこのゲームの面白いポイントです(共創)。
英語という言語が、単語同士が日本語のようにくっついていないからこそできるゲームですね(日本語でできなくもないが)。

傍から見たら簡単なゲームで、実際簡単なゲームなはずですが、みんなが作ってきた文章を崩してはならないという緊張感があるので、前の数人が言った言葉と文章をしっかり追う必要があります。つながらない単語を言うと文章の流れを壊すので、場が白けてしまいます。

このゲームを乗り切る”チートワード”

そこでぼくは考えて、前の人が作ってきた文章を見失った時でも使える単語を思いつきました。「anyway」です。前の人が何を言おうが、自分で新たに文章を始められるスーパーワードです。

かなり細かいことを言うと、言い方だけはかなり気を付ける必要があると感じていました。自分が今動詞を言うべきか名詞を言うべきかもちろん分かっていますけどあえて”anyway”を言います、というテンションで言う必要があるのです。分からないからただ”anyway”と邪険に言ってしまうと、あいつ全然追ってないじゃん、となってしまいます。実際追っていなかったのですが。

さて、実際にぼくの出番が来たので、気持ちを込めて”anyway”と言ったら、ややウケました。ただ2周連続はきついと判断したので、2周目はちゃんと文章を追って無難につなぎました。他にも万能な言葉があるかもしれません。

キャンパスツアー

ゲームを終えた後はキャンパスツアーです。SVAは校舎が1つではなく、マンハッタン中に散らばっています。回った校舎2つは全て徒歩圏内に収まっていたのでみんなでぞろぞろと歩きました。

キャンパスツアー最中の写真。男女比を説明した通り女性が大多数です。奥の紫Tシャツがルームメイトのブラジル人。

授業初日にアニメーションコースへ変更

7月8日月曜日、授業初日です。

CDFNYプログラムには2つのコースがあります。「Art & Design」と「Animation」です。ぼくはプログラム出願時に「Art & Design」で登録していたのですが、当日になって「Animation」コースに変更しました。

変更したのにはいくつか理由があるのですが、一番は前日に「Animation」の先生の名前をググって調べた結果、3DCGのソフトを学ぶことができると判明したからです(アニメーションの解釈をぼくが間違えていた+コースの詳細をよく知らなかった)。

ぼくが一番興味ある分野が3Dです。そしてそこから広がるVR・ARなどの技術を学んで表現していくために、9月からニューヨーク工科大学・修士のFine Arts & Technologyに通うことを決めています。

結果、「Animation」コースに変更して本当に良かったと感じています。新しい表現のアイデアそしてキャリアパスを知ることができたためです。
当日という急なタイミングでも変更を受け入れてくれた担当者には本当感謝しています。Thank you, Sarah!

アニメーションコース概要

3週間、がっつりAutodesk社のMAYAを学びました。

習ったのはモデリング、リギング、テクスチャー、UVマッピング、アニメーション、レンダリングといったMAYAの基礎です。とても濃い3週間です。

Nukeもちょっと学びました。

配布されるテキストやノートはありません。先生がMAYAを操作しながら、その内容を口頭で説明します。操作画面はプロジェクター通してスクリーンで生徒が見るスタイルです。

(ドラえもんを知らないアメリカ人先生が作るドラえもん)

MAYAというソフトの存在自体は知っていましたが、完全初めて触ったので、0からのスタートです。3週間で取ったノートはけっこうな枚数になりました。自分が大学1年生のときの1年間よりもノートを取った気がします。

(iPadのProcreateという絵描きアプリで書いた全44ページ)

制作した作品

最終日に「Art & Design」と「Animation」コースの全員が3週間の中で制作したものを見せるエキシビションが実施されます。それに向けて提出した作品は以下の2つ(共に無音声)。

1つ目はサメが2羽の鳥を追いかけるアニメーションです。

このサメはクラスの学習素材として各生徒が最初にモデリング制作したものです。
これをどのようにアニメーションするかは自由制作だったので、ふつうに海で泳がすのではなく、空の海で泳がしてみました。
理想は雲海で、下に美しい雲を敷き、モフモフの白い”綿”の中をくぐりながらサメが2羽の鳥を同時に追いかける、背景では朝日が昇り、夕日が落ち、星が輝き、また朝日が昇るといった時間の経過を美しく感じるといったシーンを作りたかったのですが、時間と技術が単純に足りませんでした。


2つ目は手のキャラクターのアニメーションです。

2週目のとある日、メキシコ人と話していたら、同じハンドジェスチャーでも文化の違いによって意味が違うことに気づき、そこに無限の面白さを感じて作った作品です。
肌の色の違いを白、黄、茶、黒と徐々に変化させることで、違いを見せると同時に皆一緒であることも伝えたいと考えました。
手の甲の笑顔の表情は、目が”2”、口が”7”といった数字で構成してあります。数字は真にユニバーサルな美しい言語であり、その美的な価値を表現に用いました。
授業最終日7月26日は母の誕生日だったので、メッセージを手のひらにUVマッピングで載せて感謝を伝えました。

(これから改善しみんなが楽しめるキャラクターにしたい)

裏話:実のところ、クラスの最終的な制作物としては、頭胴体腕足がある一般的なキャラクターをベースに、自由にモデリング、テクスチャリングする内容でした。でもなんか違うなぁと勝手にモヤモヤ感じていたときに、手のキャラクターを思いつきました。
先生がモデリングした先のドラえもんの写真は、ぼくが手のキャラクターを思いつく前に、先生に対して「ドラえもんってモデリングするとどれくらいの時間がかかりますか?」と質問したことから始まっています。
そこからクラスの方向性がキャラクターモデリングに変化した気がします。その年の生徒の趣旨に合わせて、クラスの内容というか最終的な制作物のテーマを変えているかもしれません。アメリカっぽいですね。

最終日:エキシビションでお披露目

みんなが制作した作品のお披露目会です。別の校舎で実施されました。人によってはここで家族を呼んで一緒に見ていたりしてました。

「Animation」の作品はこのようにプロジェクターに映し出され、ループで再生されます。壁側には「Art & Design」コースの作品が飾ってあります。

「Animation」コースの生徒からは、部屋が明るすぎてうちらの作品が見にくいという声がありました。同感です。

最終日:お別れパーティー

これまた別の校舎のテラスでお別れパーティ(farewell party)が行われます。
みんなでピザを食べて、修了証書もそれぞれもらって、写真を撮って、またいつ会うか分からないね、3週間あっという間だったね、またいつか会おうね、などを言い合う時間を共有する場です。

(ぼくのとなりに立つ赤色は、ハンドジェスチャーのアイデアが生まれたきっかけのメキシコ人。感謝)

学校が主催するイベント:

CDFNYプログラムの一環として、生徒が参加できるイベントを学校がOrganizeしてくれています。ぼくは4つの内、3つに参加しました。

Chelseaギャラリー巡り

アートギャラリーが集まったオシャレエリアChelsea。そのギャラリーをみんなで巡るイベントです。当日はあいにくの雨でしたが、みんなで楽しくアートとその雰囲気を楽しみました。以下はSVAのCDFNYが管理するInstagramの投稿。

リュック抱えているぼくが写っています。いつのまにか撮られていました。アート談議に花を咲かせているようです。会話を生まない作品はアートじゃないとぼくは思っているので、そういう意味でこれはアートと捉えています。Chelseaのギャラリーでオープニングパーティーを開いて人を集められるアーティストの作品なので当然アートという認識が一般的ですが。

MET(メトロポリタン美術館)

セントラルパーク東側に位置する非常に大きい美術館です。有名ですね。

入る前に館前で撮った集合写真。一番左上の白ポロシャツがぼく。その隣が男性3人の内3人目、将来映画監督を目指しているメキシコ人です。
ピースサインはどの国でも強いことが分かります(とはいえここの8割が中国韓国ブラジル)。

館内では写真をたくさん撮りました。

(Alberto Giacometti | The Cat)

WICKED(ミュージカル鑑賞)

ブロードウェイでミュージカルのウィキッドを観るというものすごくNY的なことをしました。
注意点は2つあります。館内は寒いので上着を忘れないこと。そして座席番号システムが破綻していることです。

以下6つの小話:

3週間NYで生活した中で体験した話をまとめました。気楽に読んでください。

①交渉は身近な生活にも存在する

初日にあったブラジル人ルームメイトとのやり取りです。

ブラ「ヘイNari、明日何時に起きる予定?」
日本「(少し考えて)いつも7時半にアラームセットしてる」
ブラ「(ちょっとニヤけて)8時くらいにしない?」

どういうことかというと、ブラジル人はできるだけ遅く起きたい想定だったということです。逆にぼくは次の日あまり遅くに起きたくないと思っていたので、8時には起きられて良かったです。仮に8時とぼくが最初答えていたら、結果8時半以降になっていた印象を強く受けました。
どこでも交渉だなと感じたワンシーンでした。

②お会計に細かいのに計算が遅いブラジル人

とある日のお昼、ブラジル人2人、インド人1人、韓国人1人と一緒にインドカレーを食べに行きました。このランチのハイライトは美味しいナンでも、インド人の英語の訛りが強すぎて理解できないことでもなく、お会計でした。
ランチのお会計に15分かかったのです。お店が個別会計を受け付けないのは理解しますし、それが問題ではありませんでした。5人でどう代金を分割するか。この計算にブラジル人が異常な細かさを出してきたのが15分かかった理由です。
5人共似たようなメニューを頼んでいて金額にほとんど差はなかったので、ぼくはシンプルにチップ含めて1人15ドルと提案、これにインド人も賛同しました。正直これで話は済んだと思いました。計算最強のインド人と世界的に見て計算得意な方な人種っぽい日本人が合意したアイデアだからです。
でも甘かったです。ブラジル人にはそんなの関係ありませんでした。自分たちが納得しないと聞く耳を持ちません。なぜかブラジル人は細かく計算したがりました。その計算の遅さたるや。1人当たり13.60ドルに異常にこだわります。そしてチップに関してはその後また計算して払おうとする謎のプロセスを希望。結果お店にお金を崩してもらって、細かい小銭がテーブルを飛び交って、会計地獄は終わりを迎えました。
その間韓国人は終始何かにぷんぷんしていました。それはそれで面白かった。

③ 2ドルホームレス

ある日、街を歩いていたらホームレスの人に声をかけられました。

「Excuse me, do you have 2 dollars?」

驚きました。2ドル持ってるか?と、恵んでもらいたい金額をあちらから指定してきたのは、新しいなと思いました。
へんなプライドを持っている人だったら「に、2ドルくらい持ってるわ!」と額面通り受け取って、恵むこともあるかもしれません。

「No」

とぼくは言ってその場を去りました。

④Warby Parkerではイケメン店員が名乗ってくる

偏光レンズの眼鏡を探しに、Warby Parkerという今アメリカでイケイケの眼鏡屋さんに行きました。場所はオシャレSOHO地区。
入ってうろついていると、イケメンな白人店員が「何かお手伝いしましょうか」的なノリで話しかけてきました。ぼくが「調光レンズ(Transition lens)の眼鏡を探しているんだけど」と言うと、「良いね、どうぞこちらへ。ぼくはJules」と名乗ってきて、握手を求めてきました。「(おぅAmericanな接客、Jules珍しい名前、でも人生そして今年で2人目、と思いながら)Julesって言うんだ、実は知り合いの日本人女性がEnglish NameでJulesなんだ」と返すと、oh!とhmm...の中間の微妙な顔をされました。握力強い。

⑤ラーメン初体験は、しゃくれる

コロンブスサークル近くのラーメン屋さんにて。黒人親子(30代後半お父さんと小学生くらいの娘)がラーメンを食べていました。
黒人お父さんと店員さんとの会話を聞いていると、どうやら女の子は人生初のラーメン。麺をすするということ自体も知らないようで、麺をお箸で天高くに掲げて、下から食べようとしています。その時のしゃくれながら食べようとしている顔が、個人的にかなりツボにハマった、っていう話です。

ここのラーメンはとても美味しいです。

⑥教える日本語を考えておこう

メキシコ人2人とChipotle(マクドナルドより多いんじゃないかくらいよく見かけるファストメキシカンチェーン)で、授業終わりに世間話をしていました。
日本語とスペイン語の発音は似ているといった流れから言語がトピックになったとき、何か日本語でわるい言葉を教えて、と聞かれました。
ん、どうしようと思い、色々考えたのですが良い塩梅の言葉が全然見つからないまま、これ以上は引き延ばせないタイミングでぼくの口から咄嗟に出てきたのは「くそったれ!」というぼく自身一度も使ったことない言葉でした(他は色々言ってきたはずだけど)。
「くそったれ!」を出来る限り可愛く言わせるようにして、未来の被害者を少なくしようと最大限努めました。教える日本語を準備しておこうと思いました。

●まとめ(海外の美大に興味ある人へ)

・サマープログラムを受けると、学校の雰囲気はもちろん、現役在学生(次の年にもしその学校に入るなら先輩になるような人たち)や先生方と知り合うことができる
・世界各国のクリエイティブ分野で将来働くであろう人たちと知り合うことができる
・SVAは少なくとも3D関連PCまわりの学習設備はしっかりしていたので、重視する人は申し分ない環境だと思う
・MAYAが最初分からなくても(実際他の学生の多くも初体験だったらしい)、やる気もってちゃんと質問すればニコニコと教えてくれる優しい先生だった
・学校がどんな街の中に存在するかは、Bachelor, Masterを目指す人にとっては数年以上過ごすからこそとても重要だと思っていて、都市型郊外型田舎型どのタイプが合うかは人それぞれであり、何のプログラムでも1週間以上興味ある学校がある街に住んでみることは、結果どうであれ良い判断材料になる(直前に受講した田舎ロードアイランド州にあるProvidenceと比較して、ぼくはNYマンハッタンの方が好みであることがよく分かりました)

今後の予定

2019年9月からNYへ移住し、ニューヨーク工科大学(NYIT)でFine Arts & Technologyを学びます。と同時にNYで働いていきます。

アーティスト、アニメーター、デザイナー、ギャラリスト、マーケター、または今存在し得ぬ何か、、、今後どのような道を進んでいるかはその時にしか分からないですが、「好きなことを好きな人たちと」できることをずっと続けていける自分でいられるように、そのための一つとして感じたこと共有したいことを色々綴っていきたいと思います。

nari

P.S. 9/11

ニューヨークで一番行くべき場所は「9.11 Memorial Museum」です。

チケット売り場は混んでいますが、列さばき係の人に聞いたら50m位離れた所にひっそりと置かれているガラガラの券売機を教えてくれて、結果売り場で待っている30人分(30分くらい?)得しました。



大好きな横浜名物シウマイ弁当を食べる時、人生であと何回食べられるんだろう。。と考えます