特集・ソロアイドル Peach sugar snow プロデューサー・小林清美インタビュー


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        Twitter Peach sugar snow 公式

Twitter 小林清美K&Mミュージック代表


——以前はシンガーソングライターとして活躍されていたそうですが。

 19歳の時にコロンビアレコードからデビューしました。

 その後はシングル7枚、アルバム3枚を出させていただき、主に『モジャ公』や『湘南爆走族』といったアニメの主題歌を、歌わせていただきました。

 23歳ぐらいまではレコード会社に所属していたのですが、自分が作家として人を育てていきたいと思って、地元の山梨に戻り、K&Mミュージックを設立して、そこから、育てる方の活動をはじめました。

——それは、いつ頃ですか?

 今から15年くらい前ですかねぇ。K&Mミュージックは、最初は音楽スクールからはじまっていて、アイドルを作っていこうとはまったく思わずに、みんなが楽しめるダンスや歌やピアノを習える学校を作れたらいいなと思ってはじめました。

 参加者は4人くらいで、今みたいにたくさんはいませんでした。

 当初は「楽しくやればいいかなぁ」と、思っていたのですけど、結成して1年後か2年後ぐらいにPeach sugar snow(以下、PSSもしくはPeach)が習いに来るようになって。

——あいなさんは、3歳から通っているそうですね。

 本当にその頃は子犬みたいにコロコロしていて。

 ステージ上から転げちゃうこともあって、今と変わらず天然のドジッ子でした。

——PSSを結成したきっかけについて教えてください。

最初はスクールの中で、目立っている子を三人ピックアップしてはじめました。

 ずっと続けていると、子どもたちも夢に向かってやっていきたいと、思うわけで「夢を形にしてあげないといけない」というところから、PSSはスタートしました。活動をはじめたのは2012年で、ご当地アイドルブームが盛り上がっている時だったと思います。最初は手探りだったので、お披露目した時も、普通の発表会みたいな感じでした。

 東京の吉祥寺にあるスターパインズカフェさんが私のホームグラウンドで、毎年ライブさせていただいているのですが、「出させてください」とお願いして出させていただきました。

 そこでの模様を、ツイッタ—で拾ってくださる方がいて、それを見た山梨のライターさんが記事にしてくださってその音源を「南波一海のアイドル三十六房」(※)に持ちこんでくださったんです。

 そしたら嶺脇(育夫)さんと南波(一海)さんに紹介していただいて、今至るという感じです。

南波一海のアイドル三十六房 タワーレコード主催のストリーム放送、音楽ライターの南波一海とタワーレコード社長の嶺脇育夫がパーソナリティーを務めるアイドルの楽曲を紹介する番組で、一般流通しているものから、ライブ会場でしか買えないCD-Rまで幅広く流している。ゲストもいるのだが、ファンや運営、あるいはアイドル本人から持ち込まれたCDをかけることも多く、PSSの1stシングル「ひとときでも」も、ここで紹介された。このことが後にPSSのCDがタワーレコードで全国流通するきっかけとなり、2015年からはタワーレコード内のアイドル専門のレーベル・youthsource recordsに所属している。


  主催ライブ「SUGAR PARTY」をおこなうに至った経緯

——「SUGAR PARTY」を主催するに至った経緯について教えてください。

 PSS主催のライブに、個性を持ったアイドルさんを呼んで、定期的にライブをやりたいと考えたのがきっかけです。

 VOL 1は、PSSと同じ境遇の方(※)、修羅場をくぐりぬけてきて、それでもがんばろうというメンバーでやりたかったんです。運営さんもアイドルさんも同じ思いの方が多いんじゃないかと思って。(信岡)ひかるちゃんには主催イベント・ガーリーナイトに呼んでいただいたりして、その縁を大事にしていけば何か励みになると思ったんです。だから、これからも、お互いに呼んだり呼び返したりして、何回もずっと続けていこうと思いました。

同じ境遇の方 PSSは3人のグループとして始まったが、2015年の4月からあいなのソロとなった。3776はグループアイドルとしてはじまったが、現在は井出ちよののソロとなっている。信岡ひかるはアイドルラップユニット・ライムベリーに所属していたが2015年2月に卒業してソロアイドルになった。つまり、三人は元々グループで活動しており、現在はソロとして活動している。

——主催ライブは「SUGAR PARTY」が、はじめてですか?

 「山梨あいどるフェス」はあったのですが、Peachの主催ははじめてです。天空馬を拠点に関東や関西でもやっていけたらと思います。

——手ごたえはどうでしたか?

 各グループでコラボをしたのがよかったですよね。アイドルさんのファンしか知らない曲も違うアイドルさんのファンの方がみると、良さとか違いもわかって新たな発見にもつながったみたいで。あれは嬉しかったですね。


プロデューサーと演者の関係について

——小林先生はあいなさんとの関係について、どのようにお考えですか。

 厳しいだけだとやっていけないし優しいだけでもやっていけない。そこが凄く難しくて、自分でも言いたくないけど言わないといけないこともあるので、すごい葛藤が大変です。

——当日のリハ(※)で、あいなさんが涙ぐんでるのを見て、毎回泣かしてるのかなぁって思いました。

(あいなさんを見て)笑ってる、笑ってる(笑)

あの日、途中でそういや成馬さんもいたなぁ。ヤバァって気づいて。いつも通りやってるけど、変えるわけにはいかないからって。

 やっぱり、こっちがリードしなきゃいけない場だったので、あの時は、「笑ってダメじゃん」って言う場じゃなくて、みんながちゃんと覚えてきている場なんだから、そこは緊張してても、ちゃんとやる場だよって伝えました。

(※)リハの最中、あいなさんと井出ちよのさんのコラボの場面でお互いに遠慮して、ステージで固まってしまう場面があった。小林先生はインタビューで語っているように、あいなさんを厳しく叱ったり、逆に優しく語りかけたりと、様々な表情をみせていた。

——信岡ひかるさんが2人をリードしていたのも面白かったですね。年齢が一番上ということもありますが、アドリブが効く人だなぁと思いました。

 そう、すごくよかった。ひかるちゃんの合間々々に見せる場をまとめる力が凄くて、あれはズキュンって、きちゃったの。知らない人は見た目でクールな子かと思うけど、全然違うの。すごく優しくて、カッコよかったです。

ソロアイドルとしてのPSS

——PSSは3人のグループからあいなさんのソロになりましたが、大きく変わったことについて教えてください。

 今までは三人で統一した世界観を作っていたのが、一人に凝縮して世界観が出せるので、すごくやりやすくなりました。その子の良さを引き出せるようになったので、100%を超えた150%のものを楽曲としても作れるし、歌もすごいゆっくりレコーディングできるので、音楽的にはこだわり深く関わることができるようになりました。だから音楽的には、いいものがどんどん作れますね。

 その中の一曲が「さよなら惑星」です。みなさんに「いいよね」と言ってもらえる楽曲になったのはそこだったのかなぁ。私も一人になったからこそ楽曲に力を入れないといけないという勝負の曲だったのでよかったです。


——作詞作曲は小林先生で編曲は違う方ですよね。PSSでエレクトロ路線を打ち出している理由について教えてください。

 私はピアノの講師で、三歳の時から曲を作っていたらしくて、小学生の頃には作詞作曲をしていろいろなところに応募してたんですよ。邦楽では辛島美登里、洋楽ではキャロル・キングのようなシンガーソングライターの方が好き弾き語りの曲を作っていました。でも、アイドルだとメロディラインだけだと弱くなってしまうので、そこにアレンジの強さが必要だと思いました。それで、デビューの時から関わりのある宇田隆志さんに相談したら、宇田さんはベルハ—(BELLRING少女ハート)も担当していると言われて、じゃあ面白いかも、と思って「人魚」や「じゅもん」を編曲していただきました。

——アレンジに関しては、小林先生から細かい指定はするんですか?

 宇田さんの性格は知っているので、宇田さんに関しては何も言わないです(笑)

 『さよなら惑星』は違う方が担当しているのですが、シングルに2バージョン入っているのには実は裏話があるんですよ。

 弦の音が入る「さよなら惑星~かぐや姫の涙~」は、最初は辻拓哉にアレンジを頼んでたんですけど、彼はDJで、元々音を作るということをやってこなかったので「じゃあ、いっしょに作ってみようよ」と言って、共同でアレンジをしていたんですけど、発売までに間に合いそうになくて、「ヤバい」と思って、和田洋平さんにお願いして同時進行で進めていたんですけど、あがってきたのが意外とよくなってきたから、両方入れちゃおう。って、話になりました。

——PSSのプロデューサーとして、小林先生の役割について、どのようにお考えですか? 

 表現者がPeachだとして、私の役割は表現者のまとう洋服みたいなものだと考えてみます。とにかく、あいなを中心として曲を作っていて、彼女がいなかったら、ああいう楽曲は作らないと思います。

——あくまで、あいなさんありきなんですね。

 あいなが残ったのはたぶん、必然だったのかなぁと思っていて。歌に関しては圧倒的に彼女が表現をしていたので、あいながいなくなっていたら、Peachはなくなっていたと思います。

——新メンバ—を入れることは考えていますか?

 Peachの世界観が広がるのなら、ありえるかもしれません。

 ただ、ウィスパーボイスやダンスを、幼い頃からいっしょにやってきたあいなと同じレベルで教えることは簡単なことではないと思います。もし新メンバーが加入するとなったら、教えないといけないことがたくさんあるから私、寝れないかもしれません。でも、未来のことはわからないですよね。Peachにとって一番良い選択ができれば、と考えてます。 

——ローカルアイドルの楽しさ、むずかしさについて教えてください。

  Negiccoさんが愛されてる理由って、ずっと新潟から通ってるからじゃないですか。それって忘れちゃいけないと思うですよ。だから、Peachが上京したら違うのかなって思っていて、山梨から通うことは変えちゃいけないと思います。


 今後の夢・目標

——今後の目標について教えてください。 

 やっぱり、ローカルアイドルという括りなので、まずは、ウィスパーボイスと言ったらPeachだと、いろんな人に知ってほしいです。年齢的なものの関係で今はアイドルという括りになっていますが、私はアーティストとして育てているので、今後、アーティストとして呼ばれる現場が増えていけば嬉しいです。その転機がいつになるのかは、まだわからないですけど。

——年齢によって考え方や音楽に対するスタンスも変わってくると思うのですが……。でも3歳からと考えるとすごく長いですよね。

 わたしの中では、ずっといっしょにやっていきたいと考えています。親子さんとも話しているのですが、夢ってたくさんあっていいし、何かをやりながらでも続けてほしいと思うんです。例えば医者を目指すなら、夢にむかってがんばってもらって、それでも無理のないスタンスで詰め込みすぎずに音楽を続けていければと思います。

——今はグループアイドル全盛ですが、ソロアイドルに可能性はあると思いますか?

 アーティストの世界観さえ確立してしまえば、絶対に大丈夫だと思います。

 ただ、人それぞれ音楽の趣味って多様なので、どこのジャンルにハマるのかはわからないですよね。だから、好きになった人が絶対に掴んで離さないような楽曲を提供していかないといけない。私たちって表現者だから、そこにこだわっていかないといけないと思っていて、音楽を極めていくことで、一人ずつでもいいから、ついてきてくれる人が増えればいいなぁと、思います。

——あくまで、音楽を含めた表現が、先にあるという感じですか?

 それは絶対ですね。逆に言えばそれしかない。私は音楽だけで生きてるから。変にこだわるとかじゃなくて、自分で作り出したものをとにかく聞いてほしいだけだから、それをいいなぁと思ってくれる人が一人でも増えてほしい。

 今ってすぐに数字で判断されてすぐに終わっちゃうけど、実はもっと先のことが大事だったりするじゃないですか。

 タワーレコードさんにも、もっと貢献できればと申し訳なく思うのですが、今がゴールじゃないから。まぁ、ゴールなんてないんですけど、すごい先を見据えてるので、みなさんには温かい目で見守ってもらえればなぁと思います。

——ありがとうございました。

(2016.1.31 池袋ルイードK3にて収録)


「SUGAR PARTY VOL.1」のライブ動画はこちらでご覧になれます!


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