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【片想い】脱力アート系オトナ男子なO先輩 #5

前回#4はこちら↓

Tちゃん事件のあと、わたしは極力先輩を避けるように。
1週間くらい口をきかず、先輩からのメールも返さなかった。

1週間後にサークル飲み会があった。
K先輩のうちでの20人くらいでの宅飲みだった。

わたしはO先輩への当てつけのつもりでウェンツの隣で飲んでいた。
(必殺魔性返し)
ウェンツの肩にもたれかかり、写真を撮ったりもした。(ウェンツは大喜び)

途中お酒がなくなり、O先輩が「酒かってくるわー」と言い出した。

すると、Tちゃんがすぐに「手伝いますっ!」と手を上げて、てててと先輩についていった。

要は2人で、買い出しと言う名の恋のラビリンスに消えていった。

もう、しーらね。勝手にしろ!!

そう思いながら、周りの話が頭に入らないくらい、めっちゃ気になっていた。


-次の日-

先輩から1通のメール。

「ゆびちゃんに伝えたいことあるから今から家行っていー?」

O先輩がうちにくる?!

急展開だった。


ウェンツとラブラブしてるところを見せつけられて、「ヤベ!取られる!やっぱりゆびちゃんが好き!」と思ったに違いない。

謝りに来て、その後告白か?!ついに!!

ドキドキしながら先輩を待った。

ぴんぽーん

ガチャ

「ごめんよ、急に」

「なか、どーぞ?」

「あ、ここでいいわ。すぐ帰るし」

?!

手短な告白なのね!?

そう思った。(あくまでプラス思考なわたし)

先輩は真顔になって言った。

「ゆびちゃん、この前はほんっっっとうにごめん!!」

O先輩は思いっきり謝ってきたのだ。

「え、なんのこと?」

わたしはワザと、とぼけた。

「オムライス作ってくれた日の時。俺、ゆびちゃんの気持ち、全く考えてなかった。ほんとにごめん!!ずっと気まずいままなのも嫌だったから……」

「謝ってくれたらもういいよ。ま、かなり傷ついたけどねっ!(笑)」

「もう絶対あんなことしないよ」

「うん、たのむよ」

「はい、仲直りの印で握手しよ」

先輩が握手を求めてきた。

おずおずと握手に応じる。

うん、ちゃんと仲直りできて良かった。
この後なのか、告白は。ドキドキ

と、思ったのも束の間。

そのあと、先輩から出た言葉はこうだ


「あとさ、Tちゃんと付き合うことになった」

「うん。え?」

!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?


ビックリマークとクエスチョンマークが脳裏を駆け回った。


謝罪の後に付き合った報告。これはなんの仕打ちだろうか。
むしろ付き合った報告のついでが謝罪なのでは?と思わざるをえない。

「そ、そうなんだー。おめでと〜!えー全然気づかなかったー!」

わたしは思いっきり笑顔で強がった。

こんなことある?!

わざわざご丁寧におうちまできて「振る」って。
涙も出なかった。

O先輩の言い分はこうだ。

「ゆびちゃんは妹みたいで、一生人として付き合っていきたい存在。ほら、彼女になったらさ、別れたら他人になっちゃうでしょ。君はそういう次元じゃないのよ」

「そ、そうか」

「ウェンツとこの前の飲み会でイイ雰囲気だったし、ゆびちゃんのことは安心してウェンツに任せたいなと思った」

「あいつめっちゃいい奴だよ。男の俺からもそう思うからさ」

なぜかウェンツを猛プッシュしだす始末。

「そ、そだね…付き合うのもアリ…かもね」
それが精一杯の返しだった。

完全なる敗北感。

わたしはTちゃんに恋愛で負けたんだ。
優勢だと思っていたのは、わたしだけだったんだ。

というかその前に、

いつのまに同時進行で恋を進めてたんですか!?

恐るべき魔性の男……。

器用すぎるO先輩にも呆れていたが、勘違い乙な自分が恥ずかしすぎた。

こうして先輩への片想いは、電光石火の如くビリビリとはじけ飛んで行ったのだった。

-片想い編おしまい-

ウェンツ編はこちらに収録↓

※リライト前の素人文章なので、超低価格でご提供します


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