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編集者の心得【禁句編】

編集者に限らないことですが、ふだん仕事をしていると具体性がないため、相手に伝わらないノイズの言葉があります。そんな口癖をいくつか挙げてみました。乱用している人は気をつけましょう。

「なるはや」
1時間後なのか、今日中なのか、明日までなのか、わかりません。すべてに最優先してすべきことなのか、依頼した相手の優先順位をきちんと考慮したうえで正確な期限設定をしましょう。

「なるほど」
なるほど〜!と語尾を延ばしてトーンを上げれば1回はOK。語尾を延ばさないでなるほど(ピシャリ)。と連呼すると話を聞いていない、と意思表示をしているようなものです。相手にすごく上から目線な印象を与えるので控えましょう。

「変な話」
「ところで」「じつは」という程度の接続詞として使う人が多いようですが、「本当に変な話」をするとき以外は意味がないので無駄に使わないように。期待してしまいます。名作アニメ「シロバコ」では、超いい加減なダメ編集者が「変な話」を連呼するキャラとして描かれています。きっと作者の周りにも「変な話」を連呼するダメ編集者がいたのでしょう。

「任せるよ」
これを言って本当に任せる人は皆無です。ディレクション(要望)はすべて最初に明確に洗い出して伝えましょう。

「はいはい」
上司から指摘されたときなど、プライドの高い人に多く見られます。「早く終わらせろよ」という意思表示になるので二つ返事をされると上司はますます苛立って、さらに話が長くなります。本当に早く終わらせたいときは返事は元気に1回だけにしましょう。

「オレ的にはない」
自分が面白くて企画力があると勘違いしている人に多い発言です。「お前的にあるかないかはどうでもいいんだよ」と言いたくなりますね。「それやったら負けだね」とか「あるなし」といった二者択一的な言葉を使いがちな人は、たいてい自分がバカだと気づいていません。

「個人的には」
あなたに意見を聞いているのだから、個人的に決まってます。あえて個人的にはと言い訳をする人は責任をとりたくない、という意思表示になります。特にあなたが上司の立場にいるときは絶対に使ってはいけません。仕事において個人的も一般的もありません。「みんなはどう言うかわからないけど、個人的には」というのは、逃げでしかありません。

「なんか違うんだよな〜」
最初にきちんとディレクションができない人に限って多用します。「なんか」ではなく、「なにが」違うのかを理論的に説明しましょう。そして、それは出来上がってから言うのではなく、最初の指示と違った場合にのみ言うことです。

「まあ、えーっと」
文章を書くときに「まあ、えーっと」を使う人はいないと思います。同じように会話の中でもノイズでしかありません。会話をスムーズにするための「間」にすらなり得ません。特にプレゼンや企画会議のときは厳禁です。「まあ」は偉そうな、「えーっと」は頼りなさそうな印象を与えます。

「すごい、サイコー」
言葉を扱うプロとしてはこれほど意味のない言葉はありません。クライアントや上司をおだてるときに使用する場合も「ここぞ!」という場面のみに限定しましょう。多用すると価値が下がります。そして感想や意見はできるだけ具体性のある言葉を使いましょう。こういう言葉を使って許されるのはスポーツ選手くらいです。

「カッコよく、オシャレに」
人によって、カッコよさもオシャレもセンスも基準は違います。特にデザインの指示においてこの言葉は禁句です。そのデザイナーに発注した時点で、どうしたいのか決まっているはずです。共通認識がもてない言葉は使わないようにしましょう。


(文・成田幸久)

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