書く書く詐欺のクズライターを生む原因は編集者にもある

締切を守らない、無視する、ばっくれる、すっぽかすライターの多さにいつも頭を悩ませていますが、これは実は編集者がそういうクズライターを量産しているとも言えるのです。

先日、あるベテランのライターと入稿から掲載までのスケジュールについて打ち合わせをしました。

「特に大きな修正がなければ、校正・編集長チェックなど含めて、入稿から3日、遅くとも5日以内で考えています」と伝えました。するとライターが「なるほど。いや、入稿してから3カ月経っても掲載してくれない編集部もあるので、安心しました」と言われました。

確かに私も受託で編集の仕事を受けているので、最終的な掲載日の決定権はないため、ライターに明確な掲載日を伝えることはほとんどありませんでした。もちろん企業のオウンドメディアなどで月1〜2本程度もので掲載日が明確に決まっている場合もあります。しかし、毎日5〜10本くらい公開するメディアでは内容によっても流動的で、なかなか明確に「○○日です」と伝えることができないのも事実です。中には掲載されても連絡をしてくれない編集者もいるので、掲載されているかどうか毎日確認して、掲載されていたらライターに伝えることも多々あります。

入稿から掲載まで1カ月かかるのはアリか?

いま私がライターとして月一度納品しているメディアは、いつも入稿してから掲載されるまでほぼ1カ月かかっています。なぜ掲載までにそんなに時間がかかるのか? 理由を尋ねても「忙しいから」と言われるのですが、これは根本的にスケジュールの組み方に問題がある以外に理由は考えられません。なぜなら、たかが3,000字程度の1本の原稿の整理に1カ月かかっているということは、業務が正常に回っていない証だからです。

原稿のチェック・整理にかかる実質の時間などたかがしれています。担当編集者が原稿をチェックしてタイトルや見出しをつけて修正をしたとしてもせいぜい2〜3時間です。外部に校正を出すとしても1日あれば十分です。つまり本当に原稿整理に1カ月かかっていたら、1本の原稿料が2万円だとしても、実質20万円くらいかかっている計算になってしまいます。それではビジネスは成り立ちません。つまり実態はただ「寝かせている」だけなのです。

掲載までに時間がかかる理由のひとつに、校正のチェックに出すまで予約待ちで1週間かかるという話も聞きました。お粗末ですね。つい校正の会社って1社しかないの? と聞いてしまいました。毎日20本の記事を配信するメディアでも、1本の原稿を校正にかける時間はせいぜい1日です。編集部チェックも普通は中1日で処理するので、たいていは3日〜4日で掲載に至ります。

最も迷惑千万な「書く書く詐欺」

雑誌のような紙メディアの場合は、ページ数も発売日も決まっているため、原稿の締切日が厳密に決まっています。締切に遅れると編集者、デザイナー、オペレーター、印刷会社すべてのスタッフにしわ寄せがきます。だから編集者は遅れたときのために、ある程度のバッファをとるものの、ライターも緊張感をもって締切を意識します。

ところがWebメディアは、毎日10本、月300本の記事を公開する予定だとしても、10本が9本になろうが、翌日に11本、あるいは月300本が維持されればいいので、締切も非常にゆるく設定されます。するとライターも「自分が遅れても大丈夫だろう」「自分が書かなくてもたいした影響はないし」となってしまうのです。だから、書くと約束しておきながら、平然とすっぽかすライターが大量に発生するのです。ライターも1本の原稿料が安いので、さほど生活に影響はないと考えるのかもしれません。編集者も雑誌みたいに「穴が空く!」という危機感はあまりありません。

もちろん、締切がゆるいのはWebメディアの特性なので、締切日が明確でないこと自体が問題なのではありません。

一番の問題は締切がゆるいことを口実に、いい加減なクズライターが増えることで、企画・計画が大きく崩れることです。

最初から依頼を無視するライターは、むしろそんなに大きな痛手にはなりません。私は返事をもらうまでに3日以上は待たないし(3日経っても返事が来ない人はほぼ永遠に返事はない)、費やすコストは依頼書を送る時間だけですから。むしろ3日以上経ってから連絡してくるライターは、その後も連絡が取りづらい人が多いめ、関わってうまくいった試しがありません。

そして、本当に痛手を被るのは、依頼して返事があってから、会って、内容を詳しく説明して、企画を考えて、月何本書くと約束をしてから、ばっくれるライターです。それまで費やした時間がすべてムダになります。でも、この手のクズライターが大量発生しているのは、やはり「気が向いたら書いて」「締切は都合のよいときでいいよ」「あなたじゃなくても別にいいけど」というスタンスの編集者が多いからなのかもしれません。

私は、人は人を見下ろした時点で、必ず相手にも見下されると信じています。仕事相手を見下ろすことで生まれるメリットなんて一切ありません。

しかし、見下され続けてきたライターは「見下され癖」がついてしまっているのかもしれません。だから、返事をしない、言い訳が多い、逆ギレするライターが増殖しているのかもしれません。だから、目の前の利益がはっきりしていれば、「ま、とりあえずつきあってみるか」というスタンスで、実際にやりとりして、ちょっとでも高い要求をしたり、厳しい注文があったりすると、「面倒臭えなあ」と、すぐ逃げ出すのです。

編集者とライターはお互いの信頼関係があって、はじめて成立するパートナー同士です。良質なコンテンツを生み出していく過程は、いつも簡単で楽しいことばかりではありません。むしろ苦労や面倒臭いことのほうが多いでしょう。それを一緒に努力して、苦労して、協力しあって、はじめてゴールを目指せるのだと考えています。


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#編集 #ライター 記事まとめ

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コメント2件

コピーライターを社員として在籍させている広告制作会は少ないです。これはもちろん、仕事量が圧倒的にデザイナーの方が多いのが大きな理由ですが、「コピーライターには神経をつかう」と聞いたことがあります。デザイナーより遥かに難しい性格の人間が多いようです(何となく納得)。
成田さんのこのnoteは、リアル過ぎるほどリアルで大変面白く勉強になりました。
それにしてもインターネット上の(成田さんのお仕事は別にして)原稿料は凄まじいレベルになっていますね。一方で成田さんが指摘されている"クズライター"の存在も、この連鎖の一因なのかもしれませんが、一度、野党に国会で取り上げてほしいほどの"働き方"を生んでいる、と思っています。
コメントありがとうございます。フリーランスは国にとってマイノリティで支持基盤になりえないので冷遇するのが基本ですからね〜。お花畑には蝶やミツバチが集まるけど糞溜めにはハエやウジ虫が集まるということなのだと思います。
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