コンテンツの質の計り方

コンテンツマーケティング施策をお手伝いしていると、必ず直面するのがコンテンツの質と量についてです。

では質の良いコンテンツとは何でしょうか? 
質の悪いコンテンツとは何でしょうか?

一般的に質の良いコンテンツとは、「ユーザーが求め、ユーザーの役に立つ情報」と定義して差し支えはないでしょう。

しかし、それは新聞や雑誌、テレビなどメディアによっても基準が違いますし、同じ雑誌でも「週刊文春」と「Newsweek」の求める質が違うことは明らかでしょう。企業のオウンドメディアなどでは、クライアントと制作を担当するディレクター、編集者とも違うことは多々あります。編集者とライターで「質」に対する考え方が異なることもあります。

特にWebメディアでは数字至上主義に偏る傾向が強いので、「PV数を稼ぐ」コンテンツが、すなわち「質の良い」コンテンツとなりがちです。

ことほど左様にコンテンツの質を「良し悪し」で計るのは難しいのです。なのでコンテンツの質は「良し悪し」ではなく、「濃淡」あるいは「重軽」で計ることをオススメします。

「濃淡」で計る5つのコンテンツ 

下記はコンテンツの種類を質の「濃淡」で(A)〜(E)に分類してみたものです。(A)が最も濃く、(E)が最も淡くなります。もちろん(A)の取材記事でも「淡い」コンテンツは存在します。ここではあくまでも「濃さ」を極めることができる手法と考えていただければと思います。(E)のコンテンツがどんなに工夫しても濃くはならない、という意味です。

(A)オリジナル(自分の足を使って書く)
(B)オピニオン(自分の専門分野を独自の切り口で書く)
(C)キュレーション(Webで集めたネタに独自の切り口を添えて書く)
(D)アレンジ(Webで拾ったネタを編集し直して書く)
(E)コピペ(Webで拾ったネタを
適当にコピペして書く)

(D)アレンジと(E)コピペの場合

最近、ある健康メディアの仕事で「汗、涙、声、おなら、射精」が健康とどんな関連性があるか、Webで調べていたのですが、ほとんどが(D)アレンジと(E)コピペの記事ばかりでした。探していた情報はたくさん出てきたものの、どの記事も同じような内容で、しかも出典元や著者がほとんど明記されていません。みんなお互いにコピペし合っているのが容易に想像できます。

特に健康に関する記事は消費者の利益を守るため、「医薬品医療機器法」の制約で記事にするうえで表現がとても神経質にならざるを得ません。ゆえに記事にするのがとても難しいのですが、わたしが目にした記事のほとんどは、署名も出典元もないまま、まことしやかに書かれているのです。真偽の確かめようがなくコンテンツとしてはかなり質が低いと言えます。

(A)オリジナルの場合

その中から、わたしは書いた著者が明記されている記事を見つけ、その記事を書いた医師に取材アポをとって直接お話を聞きに伺うことにしました。それは責任の所在を明らかにするためと、できるだけオリジナルの貴重な情報を読者に提供したい、という意図からです。それが上記で言う(A)オリジナルのコンテンツになります。

では、あらゆるメディアは(A)オリジナルのコンテンツを揃えるべきかというと、予算やリソースなどの問題で簡単にそうすることができない現実があります。わたしは上記のテーマについて、まずgoogleで検索して調べたのですが、上位に出てきた記事のほとんどが、この(D)アレンジもしくは(E)コピペに相応する記事だったわけです。googleはユーザーの利益になる良質なコンテンツを優先して表示するように進化・発展していますが、(A)オリジナルのような記事が少ないテーマやジャンルの場合は、(D)アレンジや(E)コピペが上位に表示されてしまいます。

(B)オピニオンの場合

(B)オピニオンはエッセイやコラムなどで自分の専門分野について書いたり、独自の視点で意見を述べるコンテンツです。(A)オリジナルの次に濃いコンテンツとしましたが、これは必ずしも「良し悪し」で計れない典型的なコンテンツです。特にインフルエンサーと呼ばれる人が書く記事は、その内容の良し悪しに関係なく、コンテンツ力がとても高いことが多いからです。

たとえばWeb上で人気の高い、はあちゅうさんのエッセイは、文章が稚拙で紋切り型の内容が多く、決して質が高いとは言えませんが、商品化する価値の高いコンテンツではあるのです。いわゆる「稚拙な表現」が炎上マーケティングと言われる話題喚起を狙って計算されたものであれば、「濃い」という言い方はできると思います。

たとえば、はあちゅうさんが最近書いたエッセイで、プチ炎上した「旅で人生が変わったとか言う人は中身がゼロなのです」に見られる「中身がゼロなのです」という紋切り型の稚拙な表現は、小学生が言う「お前の母ちゃんで〜べ〜そ〜!」というレベルに等しいので、反論する人たちも同じ次元で「お前の母ちゃんのケツの穴に頭を突っこんで死ね!」という、さらに下劣な表現で相手を貶めようと応酬しちゃうわけですね。これは質の良し悪しはともかく、多くの人を刺激し、読ませる吸引力があるので、質は濃く、コンテンツ力は高いと言えるのです。

「愛する」の反対が「嫌う」ではなく、「無関心」と言われるように、はあちゅうさんのエッセイのように「嫌われる」ことも、高いコンテンツ力のひとつと言える典型例でしょう。

(C)キュレーションの場合

(C)キュレーションは現在メディアの主流となっているコンテンツです。SmartNewsやGunosy、antennaをはじめ、多くのターゲティングメディアがこの手法でコンテンツを配信しています。自らが取材したオリジナル記事ではありませんが、新しい視点や切り口で既存の記事を違ったアプローチで紹介する形式です。低コストで済むのが最大のメリットです。スマートフォンの普及の影響もあり、世の中のコンテンツの消費の仕方が「つまみ食い」が主流になってきているのも、キュレーションメディアが全盛期を迎えている理由のひとつでしょう。

オウンドメディアを運営する場合のコンテンツ

では、あなたが実際にオウンドメディアを運営し、コンテンツを配信していくとき、どの種類のコンテンツを制作していけばよいのでしょう。

たとえば毎月50万円の予算で記事を作成するとします。
あなたは下記からどれを選びますか?

(A)超濃厚なオリジナルのコンテンツを10本
(50万円=5万円☓10本/1万字)

(B)インフルエンサーによるオピニオンコンテンツを10本
(50万円=5万円☓10本/3,000字)

(C)ほどほどの濃さのキュレーションコンテンツを50本
(50万円=1万円☓50本/3,000字)

(D)(E)Web上でかき集めた淡いコンテンツを100本
(50万円=5,000円☓100本/2,000字)

わたしならたぶん(C)を選びます。(A)ではリーチしたいターゲットに届くのに時間がかかりすぎるし、(B)はエンゲージメントにつながりにくい、(D)(E)ではユーザー離れを引き起こすリスクが伴うからです。できれば(A)と(C)を下記のように組み合わせる方がよいと考えるでしょう。

(A)濃厚なオリジナルコンテンツを5本
(25万円=5万円☓5本/1万字)
(C)ほどほどの濃さのキュレーションコンテンツを15本
(15万円=1万円☓15本/3,000字)

長期的には(A)、短期的には(C)が有効だと考えるからです。特に(A)はバイラルコンテンツでない限り、流入数確保の効果がすぐには期待できません。(B)インフルエンサーコンテンツは集客力が強く、短期的にユーザーを集めることができるかもしれませんが、あなたの会社の商品・サービスと親和性が高いとは限りません。そのため集客ができてもエンゲージメントにはつながらない可能性もあります。(C)は、ある程度コンテンツの量が蓄積しないと効果は出てきませんが、ある分野で競合がまだ(A)〜(C)のコンテンツを配信してなければ、手っ取り早く(D)(E)を安く大量生産することも、施策としてはある程度の効果は期待できるでしょう。

ストーリーあってのコンテンツ力

ただし、(A)(B)(C)のどのコンテンツを制作するにしても、コンテンツに強い力を与えるためにはストーリーが欠かせません。人は何も起こらない事実や無機質な情報にはすぐ退屈します。それが心を動かすストーリーであれば、人は心に留めます。ストーリーはそれほどまでに人の心を動かし、記憶に残るものなのです。はあちゅうさんのエッセイがどんなに稚拙でも人気があるのは、そこにストーリーがあり、強いコンテンツ力を発揮しているからなのです。Web上でかき集めた薄い(C)(D)のコンテンツでは、どんなに大量生産しても人の心を動かすことはできません。

ストーリーは心を動かすスイッチであり、伝えたい情報を心に刻む記憶装置なのです。

同じ悩み、同じ葛藤、同じ怒り、同じ苦しみ、同じ喜び、同じ幸せ、同じ楽しみーーユーザーのストーリーとあなたのストーリーが同期したとき、そこに共感が生まれ、ユーザーはあなたに心を許し、ファンになるのです。

(文・成田幸久)

コンテンツマーケティングやオウンドメディアのお問い合わせはこちらへ。
narita.yukihisa@gmail.com

職歴はこちら


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

27

SaaS企業のマーケターが気になったnoteまとめ

SaaS企業でマーケティングを担当する うみみ( https://note.mu/umimi0425 )と竹前太朗( https://note.mu/tarotakemae )が気になったnoteの記事をまとめていきます。
3つのマガジンに含まれています

コメント2件

いい記事!
antennairさん、ありがとうございます!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。