三流編集者の無くて七癖


最近、ライター、カメラマン、編集者など、フリーランスの人たちから「いい加減なWeb編集者に泣かされた」という声をよく聞きます。もちろん昔から編集者とクリエイターとのトラブルは少なからずありました。私もライターやカメラマンと揉めたことは何度もあります。

しかし、最近はWebメディアの編集者とクリエイターとのトラブルが、本当に増えている印象を受けます。

今回は周りからよく聞く話と私自身の経験から、コンテンツ制作者を泣かせる三流編集者の「七癖」について、ご紹介します。ただ、残念ながら対処法はありません。事前に察知し回避するために、観察する目を養っていただければと考えています。

三流編集者の七癖とは…

① 忙しがる

② メールを溜める

③ スケジュールを立てない

④ 原稿を勝手に直す 

⑤ 後出しジャンケンが得意

⑥ お金の話を好まない

⑦️ 高学歴だけが頼り

① 忙しがる

世の中には3種類の人間がいます。

「忙しい人」と「忙しくない人」、そして「忙しがる人」です。

「忙しい」をアピールする三流編集者は、段取りが下手なだけのことがほとんどです。たとえばあなたがライターとして、原稿を送ったのに、ずっと返事がない場合。どうなっているか確認をしたら、「忙しくてまだ見れてません」と言われたことはありませんか。その言葉を素直に受け止めれば、「忙しいから、あなたは後回しにしています」と宣言しているようなものです。これも失礼な話ですよね。

自分からライターに締切を設定しておいて、見られないのであれば締切を設定する意味がまったくありません。しかし、その「忙しい」編集者は、あなたを後回しにしているのではなく、すべてのライターを後回しにしていると思って間違いないでしょう。もし優先順位をつけているのであれば、優先された人がいるはずですが、私は三流編集者に優先された人を見たことがありません。

本当に忙しい人は、「忙しい」と言い訳をしません。「忙しい」と言い訳をして周囲に迷惑をかける人はただの「忙しがる人」なのです。

「忙しい人」と「忙しがる人」を見分けるためには、原稿を渡してから24時間以内に返事をくれるか、どうかでわかります。「忙しい人」は、ただ一言「受け取りました」とだけでも返事をくれます。「忙しい人」は5秒を有効に使いますが、「忙しがる人」は、5秒の使い方を知りません。つまり5秒で済むことに5日かかるのです。

② メールを溜める

三流編集者のメールフォルダには未読が3日分くらい溜まっています。溜まってから慌ててチェックするため、見落とす率も高くなり、返信したつもりがしていなかったりすることも増えます。「あれ?もらってましたっけ」とか「あ、すみません返事したつもりでいました」とか言って。

夏休みの宿題を8月末ぎりぎりになってから、やっつけで雑にやるタイプです。この手の三流編集者は、短期集中で一気にやることを自慢する傾向がありますが、精度に欠けた雑な仕上がりでも気にしないだけなのです。

③ 原稿を勝手に直す

三流編集者はライターが書いた原稿を素材にしか思っていません。だから修正があっても、いちいちライターに戻して書き直しを依頼しません。「書き直してもらっている時間がない」「自分で直すほうが早い」というのが、その理由です。

その昔、私が勤めていた会社に自分で原稿を書いたり、デザインしたり、写真を撮ったりすることが大好きな編集長(社長)がいました。あるとき、ある著名なイラストレーターにロゴデザインを依頼したことがありました。そのロゴが上がってくると、編集長は筆ペンを取り出して、いきなりロゴを勝手に書き換えたのです。ふだんからライターへの扱い方に疑問を抱いていた私は、これを機に「この人についていったら、編集者として終わってしまう」と思い、この会社を辞めました。編集者がクリエイターの創作物を素材にしか思っていないと、やがて素材しか上がってこなくなります。よって、その三流編集者からは、自分のスキル以上のコンテンツができることはないのです。

④ スケジュールを立てない

Webメディアや書籍は、締め切りがあっても、変更可能なことが多いため、ルーズになることが多々あります。雑誌や新聞のように締切厳守という緊張感がありません。

そのせいか、Webにはスケジュールにルーズな三流編集者がとても多くいるのです。

私はフリーになってから、2年間で約10人の編集者とお仕事させていただきました。その半分がスケジュール感覚がマヒした三流編集者でした。

【ケース1】

原稿の締切が毎月10日の案件がありました。公開日が20日だったので、締切日から公開日まで10日間ありました。それでもなぜか、いつも公開日に遅れていました。原稿の修正はほとんどなかったものの、10日間で校了できないのです。これはスケジュールを引かず、「まあ遅れてもいいや」という三流思考だからです。ひどいときは締切日の10日に「なるはやで上げてください」と原稿発注をしてくることもあったのです。その三流編集者は社内でも〝地雷〝と呼ばれていたようです。

【ケース2】

月1本というルーズな発注で、締切日も決まっていない案件でした。締切日も特に指定されなかったので、私は自分で締切日を前月末に設定して納品していました。しかし、原稿のフィードバックが1週間後だったり、2か月後だったりとバラバラで公開日も月1回は守られず、私の原稿料もいつ支払われるかロシアンルーレットのようにわからず。常にもやもやしながら仕事をするハメになりました。

【ケース3】

コラム1本で、発注日から締切日の期間が1週間。締切日に納品しても、なかなか返事がもらえないので、ボツになったのかと思って数日後に確認すると、「忙しくて見れていない」との返事。そして、返事があったのは納品から45日後。戻しがあってから修正原稿を渡す日の期限は翌日正午。24時間ありませんでした。翌日に戻せと言われても、もし私が旅行中だったらどうしたのでしょう。

【ケース4】

1月中に公開するというスケジュールで、12月15日に納品したのですが、返事があったのが1月5日。しかし、その返事は「これから確認します」というもの。つまり20日間確認すらしていなかったのです。そして「確認します」と言った1月5日から1月30日まで返事なし。1月中の公開だったので心配になって連絡をすると「いろいろ直したい箇所があるので時間がかかっています」との返事。私はこの三流編集者と一緒にやっていく自信がなかったので、1月末で辞退させていただくことにしました。もちろん原稿料も辞退しました。

【ケース5】

書籍の執筆のお仕事でしたが、なぜあれほど頑なにスケジュールを引いてくれなかったのか、いまでも理解できません。この書籍では原稿を書いてから初校→再校→三校と確認する機会が3回あったのですが、初校→再校→三校がいつ出るのかまったく教えてもらえませんでした。いつも当日に突然出てきて、「○○日以内に戻してください」と言われ、スケジュール調整にすごく苦労しました。

私は月火はほかの仕事で手がつけられないので「月火を避けて出校するスケジュールを組んでほしい」と何度もお願いしたにもかかわらず、「オペレーターの都合もあるので、スケジュール通り出せるとは限らない」と、意固地になってスケジュールを立ててくれませんでした。だからこそスケジュールを立てるべきなのに。

⑤ 後出しジャンケンが得意

企画主旨を明確に定めていない、もしくは説明するのが面倒だと思っているのか。原稿や写真が上がってから、あれこれ細かいことを要求してくる三流編集者がけっこういます。あるカメラマンから聞いたのですが、写真がフィルムからデジタルに変わってからは、写真の後出しジャンケンも増えているようです。

デジタルカメラでは、レタッチが前提(タレントなどは白髪や毛穴を消す、肌の色を白くするなど、当たり前なので)なのは、カメラマンも承知で作業をします。しかし、撮影時に指示すべきことを、写真が上がってから修正指示する後出しジャンケンが本当に増えているそうです。あるものをなくしたり、ないものを付け足したり、色を変えたり・・・とにかく思いつきで原型をぶち壊す指示が多いそうです。デジタルならなんでも加工処理できると思っているのでしょう。

これは撮影時に立ち会って、出来上がりのイメージを想定しながらディレクションできない三流編集者がいかに多いかを示唆しています。

後出しジャンケンが多いのは、単純に「最初に言えよ!」ということをディレクションしないことが元凶なのです。

⑥ 金の話を好まない

これはWeb業界よりむしろ出版社に多いかもしれません。原稿を依頼して、書き終わってから原稿料を伝える三流編集者。ライターの原稿料はさすがに最初に確認するようになっていますが、編集の仕事の場合は、あいまいなことが多々あります。作業量が読めないことが多いからです。本来なら企画料やアポ取り、キャスティングなど、事前につめておくべきなのですが、「まだどういう動きになるかわからないので、ちょっと待ってもらえますか」とかなんとか。

で、これが予想より良いギャラになることはまずないので、フリーの編集者はストレスが溜まります。

一流編集者は発注時に稼働量とギャラを最初に相談しますが、三流編集者は稼働量とギャラを最後に伝えるのです。

⑦ 高学歴だけが頼り

編集者には、有名大学の出身者が多くいます。高学歴の人が三流編集者という意味ではありません。三流編集者と学歴に相関関係はまったくありません。しかし、三流編集者は有名大学出身をアピールすることがとても好きです。「忙しがる人」と同じです。仕事が三流のため、それしか拠り所がなくなるからでしょう。ドラマ『ハケンの品格』のように、社員であることしか拠り所がないのと同じですね。

昔、『アエラ』という週刊誌の編集記者に捏造記事を書かれたことがありました。テーマは「結婚できない症候群」とかなんとか。私一人の話がまるで6人〜7人に取材したかのように、証券マンや銀行員や営業マンなどに化けていたのです。その編集記者を知る友人に「あんなインチキ記事書いたらダメでしょ!」と伝えたら、その編集記者は「これでも一応、東大出てるんですけど」というのが口グセだったそうです。

以上、三流編集者の七癖を紹介しました。三流編集はインフルエンザのように一度感染したら発熱は避けられません。ふだんから観察眼を養って、せめて三流症候群に罹らないように予防を万全にしましょう。

イラスト:タナカケンイチ

 


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