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三流編集者の3つの口癖「忙しい」「任せます」「使えない」

フリーで仕事をしていると、ときどき運悪く三流編集者に遭遇します。

三流編集者は、「忙しい」「任せます」「使えない」という3つの口癖を使う傾向があります。

本当に忙しい人は「忙しい」とは言わない 

「忙しい」と言う編集者の100%が時間管理にルーズで、返事が遅い、寝かせるタイプです。

クライアントをはじめ、現場のライターやカメラマンなどからのクレームのほとんどは、時間のルーズさから起こります。クリエイター気取りで、スケジュール管理は二の次、と考える編集者が多いのです。

どんなビジネスでも同じですが、スケジュールは絶対です。止まない雨はないように締め切りのない仕事はありません。

編集者はむしろ締切に苦しむクリエイターの支援をするのが仕事です。時間を管理できない編集者は、ミイラになったミイラ捕りです。

締切が迫ってきてから慌てて帳尻合わせするのを得意げに自慢する編集者もいます。しかしそのしわ寄せは、ライターやデザイナーにきているだけです。「とりあえず間に合えばいい」とギリギリまで寝かせたりすることで、多くのスタッフに負担がかかることを勲章のように考えているのです。これは制作スタッフのモチベーションが下がるのはもちろん、時間に追われることで品質管理がおざなりになるケースがほとんどです。

三流編集者に最も多い“時間ルーズ病”は、ガンのようにあっという間に編集者を蝕み、気づいたときには治療不可の末期症状に至っています。締切日になってから発注したり、納品遅れや納品ミスをする末期症状の三流編集者はもはや手遅れです。そういう手遅れの編集者になる前に早期発見・早期対策・早期治療をしなければなりません。

“時間ルーズ病”の初期症状の編集者は、まずメールの返事に2〜3日かかります。ただイエスかノーかの返事をするだけなら5秒で済ませられるはずですが、「あとでいいや」となって、数日経って忘れることがしばしば。改めてリマインドされたり、催促されたりして慌てて返事をするタイプです。

この手の編集者はメールの内容もちゃんち読んでいないことが多く、すでに伝えていることを繰り返し尋ねてくることが多々あります。しかし、ライターがわざわざ文句を言うわけでもないので、やがて返事の遅さが習慣となり、やがて1週間から1カ月とずるずる返事をしなくなっていきます。

そして、ライターをはじめとするスタッフの締切だけが短くなっていきます。

私は以前、締切日に納品してから45日ほど寝かされたことがあります。納品しても返事はなし。ボツになったのか心配になって、1週間後に「どうなっているのか進捗を確認したのですが「忙しいのでちょっと見られてない」と一度返事があったのみでした。

そして45日後に突然、原稿の修正指示があったのです。それも翌日の正午までに戻せ、と。45日寝かせた挙げ句に、戻し期限が翌日。仕事相手の都合をまったく考えない編集者でした。

締切だけではありません。

たとえば編集者の代わりに取材先にアポをとることがありますが、日程調整をするときに返事が遅い編集者も“時間ルーズ病”の初期段階の典型です。

通常、取材先にアポをとるときは、都合のよい候補日時をいくつか出してもらいます。

そのときに返事が遅いと、取材先も他の予定が次々と入っていく可能性がありますし、カメラマンが必要なときは

カメラマンの日程も抑えなければなりません。そんなアポとりのとき、何日も返事をしてこない編集者がいます。そうするとせっかく挙げてもらった候補日が埋まってしまい、改めて日程調整することになります。一人の怠惰な三流編集者によって、取材先だけでなく、調整をしている自分やカメラマンにも迷惑がかかるわけです。そういう意識がまったくない無神経な三流編集者は意外に多いのです。

いつ返事が来るかわからない編集者には、メールだけでなく、メッセージやLINEなど、つながるルートをすべて使って連絡しなければなりません。

三流編集者は自分の怠慢を必ずライターの負担に還元します。

だから締切から何日後に戻してもらえるのか、戻してもらってからリライトするまで何日あるのか、事前に必ず確認するしか防御策はありません。三流編集者はとにかく自分が楽をしたいので、気が向いたときにゆっくり原稿を読み、その遅れた分をライターに詰めさせるのです。

特に締切が厳密に決まっていなくて、月に数百本の記事を掲載するようなWebメディアには末期的な“時間ルーズ病”の編集者がうようよいます。

ステージ4の末期の編集者は年齢も中堅以上の人に多く見られます。Webメディアの三流編集者は編プロで役に立たなくても、編集者不足に悩むWebメディアに流れているケースも多々あります。すると社内に“時間ルーズ病”の検診をしたり、叱ったりする人もいなくなっているので、早期発見が遅れ症状が急に悪化することになります。

【例1】

たとえば、2月末公開の原稿の締切が1月15日だとします。しかし、返事があるのが20日後。しかも、返事の内容は「これから確認します」というもの。つまり20日間確認すらしていない。そして「確認します」と言った2月初頭から2月末までまた返事なし。2月中の公開だったので確認の連絡をすると「まだ確認中です」との返事。結局数カ月経っても進んでいる気配なし。

【例2】

あるいは、絶対にスケジュールを引かない編集者。いつ初校が出て、いつ戻すのか当日にならないと一切教えてくれない。いつも当日に突然出てきて、「○○日以内に戻してください」と言われる。「スケジュールを組んでほしい」と何度お願いしても、「スケジュール通り出せるとは限らないので決められない」との返事。

【例3】

納品してから一切返事なし。掲載日も支払日も教えてくれない。とりあえず納品した月末に請求書を送るが、支払いがあったのは3カ月後。あとでわかったのだが、掲載日は納品してから1カ月後。支払いは納品月締めではなく掲載後から60日後とのこと。いつ掲載されたかも教えてもらわなければ、支払いがいつになるかもわからない。下手したら半年後だってありえるのだ。

これらはすべて現実に起きたことです。こういう三流編集者が世の中にウヨウヨ蠢いているのです。 

「任せます」と言う編集者に限って任せてはくれない 

お題だけ与えて「あとはお任せします」と言う編集者には要注意です。そんな編集者に限って、お任せにしてくれません。

「任せます」が口癖の三流編集者は、出来上がってからあれこれ指示を出すのを得意とします。最初から自分で「何がしたい、読者に何を訴求したい」という考えを持っていないため、出来上がりを見てから、コンテンツの好き嫌いを判断したがるのです。

「任せます」という編集者の100%がディレクションをしない(できない)編集者です。そして、決まって「あのライターは使えない」と言います。

自分で的確なディレクションができないため的外れの原稿が上がってくるのです。編集者は出来上がった原稿を見てから自分の「好き嫌い」で原稿の良し悪しを判断します。

ディレクションができるかできないかは、主体性があるかないかで決まります。自身で主体的にディレクションをする人は、その後の結果に責任を負います。ディレクションをしない、あるいは曖昧な人は責任をとるのを恐れている、もしくは自分で何をしたいのか、明確なビジョンがないのです。

たとえば、以前ある編集者と仕事する機会がありました。ライターとしてではなく編集者としての仕事でした。ライターの手配とディレクション、原稿整理、入稿までの作業です。

初めて仕事する相手だったので、私はライターに発注する前にまず自分でテーマ案を出して、それから原稿を2本書きました。私が自分で書いたのは、「こんな感じの原稿で方向性は間違いないか」という感触をつかみたかったからです。それで問題なく進んだので、ライターを手配して改めてテーマ案を10案出しました。

その前にサンプル原稿も1本渡しました。そして、編集者から10本すべてのテーマにオッケーが出ました。私はライターに原稿依頼をしました。1カ月で10本という依頼だったので、まず1本書いてもらうつもりで発注したのですが、ライターが勘違いをして一気にまとめて10本書き上げてきたのでちょっと焦りました。しかし、原稿の内容は特に問題なく、私が想定していたレベルのものだったので、編集者に入稿しました。

しかし、2週間ほど経ってもその編集者から返事がありません。進捗状況を聞こうと連絡をしたら「すべてボツにしたい」との返事。テーマ案は300字くらいでかなり詳細を記したものでした。なぜボツなのか理由を聞くと「なんか違うんですよね〜」。そそもそもこういうテーマでは採用できないと言うのです。では、なぜテーマ案を出した時点でオッケーを出したのか。多分ちゃんと目を通してすらいなかったのでしょう。

「任せます」と言う編集者の多くは、こういうトラブルを招きます。そして、上がってきた原稿が自分のイメージと違うと、「あのライターは使えない」と言うのです。

曖昧かつ適当なディレクションは、このようなトラブルの源です。制作トラブルのほとんどは曖昧なディレクションが原因で起こります。少しでも疑問点や不明点があった場合は、どんなに些細なことで必ず確認するようにしましょう。質問に対して「まあ、それは見てみないとわからない」とか「とりあえず進めてみて」と言う三流編集者には徹底的に詰めておきましょう。

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