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ユーザーをゲットするためのペルソナ三原則

「恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃだめだよ」by 谷崎潤一郎

あなたにいま、片思いの人がいたとします。その人のことをもっといろいろ知りたいと思うでしょう。そして、自分の思いも伝えたいことでしょう。いつか、その人に振り向いてもらい、自分のことも好きになってもらいたいと思います。

コンテンツマーケティングにおいて最初に考えなければならないのが、この「片思いの人」にアプローチするための「筋」です。「筋」を描くには、まず相手がどんな人かを見極める必要があります。それをペルソナ設定と呼びます。

ペルソナとは一言で表すと「企業にとって最も重要で象徴的な顧客モデル」。年齢・性別・職業・年収・趣味・嗜好・性格、さらにはユーザーの隠れたニーズや行動パターンなど、観察やインタビューで得られた調査データを、ひとりのユーザー視点のストーリーとして凝縮した人物モデルです。

ペルソナを作成する際には、守るべき3つのルールがあります。

1)Everybody is Nobody
「八方美人」という言葉にあるように、誰にでも愛されようとする人は、実は誰からもあまり愛されません。ペルソナとは、顔の見える「ひとり」にフォーカスするための手法です。不特定多数に「みなさん」と呼びかけても人ゴトとなり、メッセージは誰にも届きません。よくメールでBccで展示会やパーティの招待をしたり、宣伝をする人がいますが、Bccにレスをする人がどれくらいいるでしょうか。あれは「不特定多数に声をかけているのであって、あなたに個別にお願いしているわけではありません」と表明しているようなものです。ラブレターを不特定多数にBccで送っていることを想像してみてください。顔の見える「ひとり」にフォーカスするためには、個人の顔が具体的に浮かぶような人格やライフスタイルを設定することが必要不可欠なのです。

2)30%ではなく30倍
ターゲットの母数が減ることを懸念して、ペルソナのターゲットをむやみに広げることは大きな過ちです。ペルソナを作ることは、「その他大多数」を切り捨てることではありません。ペルソナを通してターゲットの典型的な心理を理解することで、よりターゲットに適した企画を考えたり、サービスを考えることが可能になります。ペルソナ設定は、100人に声をかけて、「数打ち当たれば」の思いで30%(30人)の人に興味を持ってもらう手法ではなく、あるペルソナ設定をした確実なひとりに訴求し、そのペルソナに共感する30人を獲得する手法なのです。

3)占い師の如く
ペルソナ設定には、定量調査などで収集されたユーザーのデータに加え、「ひとりの生身の人間」としてのストーリーが欠かせません。重要なのはユーザー自身も気づいていない深層心理にまで踏み込み、「ひとりの生身の人間」を理解することです。正しいペルソナには、サイエンス(適切な設計と手法のもと行われた調査から得られる事実)と、アート(パーソナリティと価値観を誰もがすぐに理解し、記憶できるストーリーとしてアウトプット)の両立が必要不可欠なのです。

占いが現代社会でもこれだけ支持されて人気があるのは、過去の人間の営みを類型化し、その類型化したパーソナリティと価値観をだれもがすぐに理解し、記憶できるストーリーとしてアウトプットしているからにほかなりません。相手の立場になって深層心理に踏む込むことで、人は心を動かされたり、考えさせられたり、安心したりするのです。

以上、3つのルールを踏まえたうえでペルソナ設定を行うと、コンテンツの発信側にとっては下記のような3つのメリットが生まれます。

1)ユーザー視点のストーリーを提供できる
ユーザーの視点になってニーズを探っていくので、ターゲットとなるユーザーの共感を得やすくなります。

2)ターゲットの理解が深まる
ターゲット像が可視化されるため、誰に何をどのようにして伝えるべきかが明確になり、発信すべきコンテンツが作りやすくなります。

3)一貫したユーザー像が共有できる
ひとつのターゲット像を明確にすることで、プロジェクトメンバーだけでなく、部門や立場によって解釈がブレなくなります。

谷崎潤一郎 が「恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃだめだよ」と言ったように、恋愛をするとき、あなたは「恋愛」というステージに立ち、芝居を演じます。相手に関するさまざまな情報をリサーチ・分析し、目指すべきゴールに向けて「筋」を描いているのです。相手の性格、生い立ち、仕事、趣味、好きな食べ物、好きな異性のタイプなどなど……好きな人を構成する要素をプロファイリングし、人物像を詳細に具現化することでしょう。そして、自分の描いた「筋書き」に沿って、その人のニーズや趣向性に対して、自分をどうアピールすれば効果的なのかを考えます。

ペルソナ設定とは、「恋愛」というステージで「筋道」を考えながら、好きな人とお互いのゴールを模索していくために必要な初期設定なのです。

より詳しい内容を知りたい方は、こちらのSlideShareもぜひご覧になってください。

「コンテンツ作りの三原則」

(文・成田幸久)

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コンテンツは埋めるものじゃない。作るものなのだ。

成田幸久/PR誌、商業誌、Webメディアの編集を経て、フリーのコンテンツディレクターとして、コンテンツマーケティング戦略、オウンドメディアの構築を手掛ける。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方』がある。

アート×デザイン=クリエイティブ

アートとは「自己表現を通じて鑑賞者の感情を励起する装置」であり、デザインとは「機能や目的に向けてユーザーの行動をアフォードする装置」である。故に両者の総和たるクリエイティブとは「暗黙知を通じて人々に新しい知見や体験を与えるプロダクトを生む活動」に他ならない。
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