三流編集者は、なぜ赤入れが多いのか。

三流編集者は、赤字をたくさん入れることを好みます。そして、「いいライターがいないんだよね〜」と嘆きます。

なぜでしょうか。

三流編集者には3つの共通点があります。 

① 指示なし

② 返事なし

③ 意見なし

今回はこの「三なし」三流編集者に遭遇したときの、対処法をお伝えします。

① 指示なし

先日、ある編集者とお仕事をする機会がありました。「いま頼んでいる編プロがイマイチなので」というのが、私に発注してくれた理由でした。何がイマイチなのか理由を聞いたのですが、「なんか微妙なんですよね〜」と明確な説明がなかったので、私は不安になりました。自分も同じ目に遭いそうだなあ…と。

この手の編集者は必ずといっていいほど最初にきちんとディレクションをしません。このときにいただいたお題は「働く女性の美と健康を応援する商品」。私は会って直接話したときに「メディアのコンセプト」については確認することができたのですが、それ以上の指示はまったくありませんでした。「記事の方向性」「扱う商品」「トンマナ(過去の参考記事)「文字数」「締め切り」などについては「のちほど改めて」と言われ、最後まで教えてもらえませんでした。

こんなテキトーな編集者がいるなんて信じられない!という方もいるかもしれませんが、遭遇することは意外と多くあります。

「指示なし」編集者は「お任せします」が口ぐせです。そして、お任せしてくれることはまずありません。得意技は後出しジャンケン。指示しない、ということは自分で出来上がりのイメージを想定できていないからです。だから、原稿が出来上がってからあれこれ注文を出してきます。赤入れ(書き直し)が多いほど、編集者として仕事をした気になっているのでしょう。三流編集者は間違いなく、この赤入れが大好きなのです。仮に明確にディレクションしたにも関わらず、赤字だらけになっていたら、それはライターのキャスティングがすでに失敗しているともいえます。狙いと主旨に合ったライターをきちんとキャスティングできていないわけです。

明確な方向性や構成などの指示を自分でクリアにしていないため、上がりを見てから「これ違うな〜」「あれ〜なんか思ってた内容じゃないなあ〜」となります。

当たり前です。

具体的な指示がないので、ライターは想像と忖度で書くしかないのですから。

では、こういう「指示なし」三流編集者に遭遇したときは、どのように対処すればよいでしょうか。

下記のような「要件定義」を確認できるまで書けないと伝えます。

それを面倒くさがる編集者なら、つき合っても苦労してストレスがたまるだけで、コストも割が合わないので、その仕事を断ってもよいでしょう。たとえ最初に赤入れで修正対応できても、次回の参考にはなりません。なぜなら三流編集者は出来上がってから考えるので、求める方向性や記事内容が毎回変わる可能性があるからです。

要件定義で確認する内容は、たとえば

■ターゲット(想定読者)

■ターゲットニーズ(読者の課題、欲求、不安)

■ターゲットに気づいてもらいたいこと

■想定される構成要素

■トンマナ(過去の参考記事など)

■文字数

■締め切り

■原稿料

■表記統一の有無

といったことです。

長いつき合いで「あ・うん」の呼吸でお互いの求めることが理解し合える編集者とライターであれば問題ありません。しかし、初めての仕事でも、編集者が考えていることを勝手に「ふつう、それわかるでしょ〜」という編集者がいます。長年連れ添った恋人同士だって言葉にしなければ理解し合えないというのに。

② 返事なし

雑誌は発行日が決まっているので、返事をしない編集者はあまりいませんが、それでも忙しさを理由に自分で寝かしておいて、あとでライターにしわ寄せがくる場合もあります。

Webメディアになると公開日が担当編集者の裁量に委ねられる場合もあるので、寝かせられることが本当に多くあります。寝業師には憧れますが、「寝かせ師」は百害あって一利なし、軽蔑の対象でしかありません。

私自身、ひどいときは、締め切り日に原稿を納品したものの、返事があったのは45日後ということもありました。しかも、赤字が入って修正を翌日の正午までに戻せ、との指示。45日寝かせた理由も説明せず、戻しまでの猶予が半日しかない理由の説明もなし。

先述の「指示なし」三流編集者は、1月中に公開すると言っていたものの、締切日を指定しないので、私のほうで勝手に逆算して1月15日に納品しました。結局2月に入っても返事がないままでした。フィードバックはまだですか?と連絡をしたところ、「いろいろ直したいところがあるから時間がかかっている」との返事がありました。

ここでも三流編集者特有の「赤入れマニア」ぶりが顔を出しています。

スケジュールが決まっていない、ということは原稿料の支払日もわからない、ということです。サボっていても給料が自動的にもらえるサラリーマン体質の三流編集者にとっては、フリーランスへの支払いがいつになるかなど知ったことではないのです。

では、こういう「返事なし」三流編集者に遭遇したときは、どのように対処すればよいでしょうか。

もちろん一緒に仕事をしないで済めば、それが理想ですが、そういうわけにいかないこともあります。その三流編集者と仕事をしたくなくても、その会社や編集部とはおつき合いを続けていきたいこともあるでしょう。

まず、毎日根気よくメールや電話で連絡をし続けること。しかもけっして怒った態度を示してはいけません。三流編集者がタチが悪いのは、自分が三流だとは思っていない点です。だから、あなたが感情を露わにして訴えると、ただ「面倒くさいヤツ」くらいにしか思いません。丁寧かつ温和な姿勢で返事をしてほしい旨、伝え続けます。三流編集者も、困っていることをライターに切実に訴え続けられたら無視するわけにはいきません。

三流編集者が三流たり得るのは、仕事の優先順位を整理できないため、すべてが滞ってしまうからです。だから、せめてあなたの仕事を最優先にやらなければ、と思わせればいいのです。

それでもダメなときは、三流編集者の上司に直訴しましょう。これもけっして感情的に訴えてはいけません。それまでの経緯を時系列で淡々と記し、問題点を報告しましょう。運がよければ担当者を代えてくれることもあります。もし上司にもスルーされたら、あなた自身がさほど必要とされていないということですので、きっぱり諦めめるべきでしょう。

③ 意見なし

ライターを育てることも編集者の大きな仕事のひとつです。同時に編集者もライターに育てられます。なのでお互いが次のステップに進んで成長するためにも、原稿に対しての意見交換はとても重要です。

まともな編集者なら、原稿が上がったら、まず原稿の良かった点を褒めて、それから修正点があれば、なぜ修正しなければいけないのか、根拠と理由を明確に説明します。

編集者が最初に明確なディレクションをしていれば、修正点もたいていは「なるほど!」とライターに新たな気づきを与えてくれることも多いので、成長の手助けになります。

これができない三流編集者は、最初に明確なディレクションをしていないので、赤入れ指示もたいてい「それ、書く前に言ってよ!」となりがちです。また、枝葉末節な表現にこだわるあまり、「え?こだわるの、そこ?」と不信感を抱かせることも多々あります。

あるいは原稿が上がったら、お礼の返事のみで、ライターに感想も言わなければ、赤入れのフィードバックすらもせずに勝手に修正して校了・公開してしまう編集者もいます。三流編集者は、ライターが書いた原稿を“素材”としか思っていません。自分が書かなきゃまともな文章にならないと考え、長い時間をかけて書き直すことにやり甲斐を覚え、それが自分の仕事だと思っているのです。こういう三流編集者にとってライターは使い捨ての駒でしかありません。

では、こういう「意見なし」三流編集者に遭遇したときは、どのように対処すればよいでしょうか。

原稿が上がったら、編集者に送るときに自分なりに書いて思った所感(「この箇所がまだ十分伝えきれていない気がするのですが、どう思いますか?」など)を添えるとよいでしょう。意見を求められて無視する編集者はまずいません。もしそんな編集者がいたら、職務放棄ですから、縁を切ったほうが賢明でしょう。

以上、指示なし、返事なし、意見なしの「三なし」三流編集者に遭遇したときの対処法について書きましたが、「三なし」三流編集者と仕事をしても、いいコンテンツは生まれません。

一流編集者が一流のライターを育てるように、三流編集者を一流編集者に変えるのも、ライターだと私は信じています。

20世紀初頭にアメリカの大手出版社に「原稿を読むのも遅く、文法もリライトのスキルもロクに知らない」と言われていた編集者がいました。しかし、彼は「本はあくまでも作家のものだ」と作家と真摯に向き合っていました。

彼の名前はマックス・パーキンズ。“編集者失格”だったはずのパーキンズは、「本はあくまでも作家のものだ」という信念を貫いて、のちにヘミングウェイやフィッツジェラルド、トーマス・ウルフなどの文豪たちを生み出したのです。

ということでライターさん、絶賛募集中です!

ご連絡はこちらへ

narita.yukihisa@gmail.com

イラスト:タナカケンイチ


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