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就職はしなくてもいいけど、就活はした方がいい

はじめに

最近は学生でも企業やスタートアップで働くことは珍しくありません。私も受託会社で働いたり、スタートアップ企業の創業メンバーとして働いたり、メガベンチャーで長期のインターンを経験しました。
そんな就業経験がある学生に就活の話題をすると「就活ですか?今、関わっている企業に就職しようと考えているのでまだ真剣に考えてないですね...。」と返答されることが割とあります。(体感3割以上?)そんな学生に毎回伝えている私の経験を今回この記事にまとめることにしました。
先に一言で伝えると「就職はしなくてもいいけど、就活はした方がいい」です。

※私は学生時代にスタートアップに関わり、新卒ではメガベンチャーに就職しました。経験をそのまま執筆しましたが、多少の偏りがある前提で読んでいただけると幸いです。

主に対象となる人

私の経験を元にした学びなので、学生の時の私に近い属性をの方ほど納得していただけると思います。

学生時代の私の属性
・情報系の学生
・サービス開発経験あり(アイデア、ビジネスモデル、実装、運用など)
・受託開発経験あり
・企業での就業経験あり(バイト、インターンなど)
・スタートアップの創業メンバー(ある程度の裁量と責任を持つ)
・組織の立ち上げ経験あり(採用、仕組みなど)
・技術にも事業にも興味がある(技術という方向から面白く大きい事業を作りたいと思っている)

当時、3年生の11月の私の考え
スタートアップで開発に関しては任せてもらえている。事業も会社も伸びているし人も増えている。私も事業の方向性とまだ伸びる理由に納得している。まだまだ私が発揮できる価値はあると感じているし必要としてくれている。立ち上げた組織も機能し始めている。就活も気にはなっているけど、今ここでやるべきことを進めることの方が大事だ。普通に行けばこのスタートアップに就職すると思う。

なぜ就活したの?
上記の考えを見る限り、就活はしそうにないですが当時の私も就活をする気はありませんでした。しかし、当時私が新しく提案した事業が採用に関連する事業で、既存事業の調査のために多くの採用サービスに登録し、サービスの一連の流れの調査のために就活を始めることになりました。

本題:なぜ就職はしなくてもいいけど、就活はした方がいいのか

本題です。ここでは就活中に得られたこと、感じたことをまとめます。

目次
・多くの会社の人事、エンジニア、役員の人と議論ができる貴重な機会
・採用について勉強になる
・組織について勉強になる
・元〇〇は本質ではないけど取れる手段が広がる
・技術の限界がサービスの限界になる
・いつか君より適切な人がくる、呼ばれる人材になるべき
・何が起きるかわからない、チケットは使わなくても握っておくべき
・就活中に出会う仲間は宝になる

多くの会社の人事、エンジニア、役員の人と議論ができる貴重な機会
開発、採用、事業、組織など、どんな話題についても多くの会社の方と議論できる貴重な機会です。以下が大体の会社に質問していたリストです。

採用について
・御社のエンジニアと聞いた時、市場にどんな印象を持って欲しいですか?
・今年の採用のテーマはなんですか?どんな人に来て欲しいと考えていますか?
リーダーについて
・会社のミッションとビジョンを決めた時の話が聞きたいです。(現場の声をどう集めたかなど)
・過去の組織の失敗と解決策
事業について
・最近の発表でこうなると書いてありましたが、どのように実現するのか聞きたいです。
・自分の考えを話して、純粋に質問
開発について
・純粋に気になる技術に関して質問
・工数管理の仕方
・過去の失敗と解決策
運用について
・テストの話
・モダンな環境をどう維持しているか?
・過去にあった大規模な障害と原因

このような質問が本当に多くの会社の人事、社員、役員の方に遠慮なく無料で質問できる機会はもう2度とないかもしれません。色んな方の思い、考え、経験に触れることは学びが大きいし、純粋に楽しかったです。

採用について勉強になる
いつか採用を設計する側になることも珍しくないと思います。その時に採用される側の体験はあって損はないです。また面接は複数回行われるので意識すればその企業の面接の設計が見えることもあります。以下はその一例です。

1. 天気や気温など共通の話題。
2. 「ああ...忘れていました」と面接官が名前と所属の軽い自己紹介。
3. 学生に自己紹介を促す。
4. 学生の自己紹介にいくつか質問。
5. 面接官が過去の経験や今の業務など本格的な自己紹介。
6. 面接らしい質問。
7. 面接官が本業の分野で学生に質問。
8. 学生の回答と違う意見、考えを出す。(多分、柔軟さ素直さを見ている?)
9. 最後に本業の知識を生かして学びをひとつ学生に与えて終了。

体験だけでなく、採用のテーマの設定の仕方、リーチの仕方などの人事の方への質問も非常に学びが大きかったです。

組織について勉強になる
企業の大きな組織でどうやって現場の声を集めているのか、横のつながりを作る工夫、他部署など遠い関係での知識、情報の共有の仕組みなどは会社の文化によって様々でした。私は特にミッション、ビジョンを決めた時の話を聞くのが企業の色が感じられて好きでした。

元〇〇は本質ではないけど取れる手段が広がる
これは就活中に内定をもらい始めた時に感じたことです。有名な企業に内定をもらい始めると一気に人の繋がりが広がりやすくなりました。学生からの相談も増えました。学校からの評価も変わりました。また、スタートアップの採用においては自分への自信を含め、特に効果が大きかったです。本質ではないですが大きいと思います。

技術の限界がサービスの限界になる
事業が大きくなってくると大規模開発の知識が必要になります。分析もできるようにしないといけないです。オペレーションを改善するために内製ツールも必要になります。新規で作るだけでなく、作れば作るほど運用も増えてきます。ビジネスモデルにもよりますが、どこかで事業、サービスの成長に自分の技術がついていけなくなる時が来ます。技術の限界がサービスの限界になるか、労働集約のモデルに向かっていきます。私は体験してしまいました。
面接ではこのような悩みを質問できました。企業は過去の失敗を元に仕組みで解決しています。人の失敗は学びになり、それが身近となるとより深まりました。落ちなくていい落とし穴を知ることもできます。

いつか君より適切な人がくる、呼ばれる人材になるべき
企業には段階があり、0->1の段階では手が早く実装ができて、小さく検証ができることが優先されます。人数も少ないので個人の強さが組織の強さとなることが多いです。役員も事業を軌道に乗せることを最優先とし現場の作業も行います。事業が軌道に乗り、事業や会社が大きくなり始めると組織としての強さを作ることが優先され役員はミッション、ビジョン、採用を最優先とします。その時にリーダーとして求められるのは、大きな組織で就業の経験があり、その経験を元に組織を作れる人です。先ほどの元〇〇というのも重要になるかもしれません。つまりリーダーとして適切な人は段階で変わります。「最初からコミットしてくれているから。」という理由でなく「あなたがいい。あなたしかいない。」と呼ばれる人材になるべきだと考えています。

何が起きるかわからない、チケットは使わなくても握っておくべき
最近はコロナという世界的な影響がある事象がありましたが、市場、会社、事業に何があるかはわかりません。自分が向かいたいものへ向かえるように複数の選択肢は持っておくべきです。私も入社1ヶ月前に希望部署が別会社との統合により無くなるという予想外を経験しました。
また、「これでも満足している。満足できる。」と言い聞かせた結果と、複数の選択肢から「これを選んだ理由」を明確に持った結果では大きく違うと思います。後者の場合は自分で選んだという覚悟を持てます。実際に「この選択肢を選んで良かったと思えるような未来にする」という覚悟が希望部署が無くなった時の私を支えてくれました。

就活中に出会う仲間は宝になる
面接やイベントやインターンで出会った同世代の仲間は宝になります。就活をすると同じ業界で同世代の知り合いが一気に増えます。情報が手に入りやすくなりますし、知り合いの知り合い...とさらに知り合いが増えます。また、就職後も「他社の同業種同世代の人にした方が良い相談」が発生することがあります。同業だと一緒に仕事する機会が来る可能性も高いです。気の知った友達は多いに越したことはないです。

おまけ:メガベンチャーに就職して良かったこと

おまけです。ここでは実際にメガベンチャーに就職して得られたこと、感じたことをまとめます。

・同期は宝
・文化とは何かが肌で感じられる
・大きな事業に向かうということが理解できる
・様々な方向のエキスパートにすぐに質問できる
・学びの機会が自然とできる。エンジニア以外の立場から事業に向かう経験ができる。
・大規模開発の経験をつめる
・大規模組織の設計が見れる
・情報の取り扱いなど

同期は宝
ある程度の共通点を持って入社し、研修を共にした同期。同期にしか伝わらない自分の弱さ、強さがあり、同期にしか言ってもらえないことがあると私は考えています。また、同期から誘われて学びの機会が増えることも多いです。「新卒同期は一生もの」というのを体験して実感できました。

文化とは何かが肌で感じられる
まだ言語化ができていないのですが、ふとした時に「弊社の人らしさ」みたいなのを感じる瞬間があります。

大きな事業に向かうということが理解できる
事業提案をした際や社員の事業企画に触れたときに感じたことです。実際のフィードバックでは「アイデアは良いが、事業内容、収益モデル、マーケティングどこかで既存のものとは大きく違うものが欲しい。なぜ弊社じゃないとできないかというものがあると更にいい。」といただきました。スタートアップでは、ある程度の合理性があればgo!みたいな感じでした。なので、「toBの事業で早い段階で収益化できるものを!」という思考でしたが、今は「どれだけの幸せと驚きを世界に与えられるか」ということを合わせて考えるようになりました。最近はtoCの軸で事業企画を考えることが多いです。

様々な方向のエキスパートにすぐに質問できる
技術に関しても事業に関してもslackでDMをすればいつでも質問ができる環境です。各技術に関してのチャンネルもあって、そこへ質問することも可能です。慣れない技術に仕事で触れる際には本当に助かります。

学びの機会が自然とできる。エンジニア以外の立場から事業に向かう経験ができる
優秀な同期が多い環境では大会への誘いや輪読会などの誘いがあり学びの機会が自然に増えます。また、社員の方の自主的な勉強会やLT会のようなものも公開されており技術以外の企画などの知識を得る機会もあります。社内で行われる事業提案コンテストではエンジニア以外の立場から事業に向かう機会もありました。フィードバックをいただけるのも学びに繋がるのでありがたかったです。

大規模開発の経験をつめる
学生時代に関わっていた開発では経験してこなかった規模の開発に関われるのもメリットだと思います。複数の組織が関わる開発でどのようなやりとりを行うか、どのような問題が発生してどのように解決をしていくかを見れるのはありがたいです。

大規模組織の設計が見れる
大規模開発において技術的な工夫を見れるのも大きなメリットです。過去の失敗事例や今の実装がどうしてそうなっているのかを議論できるだけで学びが多いです。また、そのような知識や体験があることで設計、負荷分散の知識を得る時に理解をしやすくなるのもありがたいです。

情報の取り扱いなど
大規模開発では情報の管理も重要です。どの情報を共有して良いのかといった管理。組織を跨いだ議論ではどこを同意をとって、どこを断言しないか、断言するにしても前提を正しく伝えられるかというようなことも学べます。このような学びもある程度の規模の組織で事業に関わることで得られるものだと考えています。

まとめ

就活は怖くて面倒なものかもしれません。ただ自分や社会を自由に知れる機会でもあります。人生における数年を決める意思決定、選択肢を広げて「なぜ、この会社に決めるのか」という理由を持っている方が「なぜこの会社にいるのか」「何が得られなくなったら辞めるのか」などがはっきり自覚できて良いと思います。

個人の自由なので、関わっている会社に就職しても良いと思いますし、就職しなくても良いと思います。ただ、就活はぜひ行っていただきたいです。

就活の中で成長ができるように、そして何より楽しめる就活になることを祈っています。

※就活について質問や相談があれば気軽にTwitterからご連絡ください。
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