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いそん?いぞん?

アドラー心理学をはじめ、さまざまな心理学や自己啓発本に登場する「自立と依存」。真の自立とは何か?孤独と孤立を混同してはいないか?まぁその点については、その道の専門の方に委ねたいと思います。
私が着目するのは「依存」の読み方です。

イゾン?イソン?

テレビ番組やネット記事などで度々「間違えやすい日本語」などで特集されますが、たびたびこの言葉も聞きます。

「皆さん、依存をイゾンと読んでいませんか?実はイソンが正しいんですよー!」「ええーー!」という具合に。

しかし、未だにどちらの言い方も聞きます。本当のところはどうなんだろうか?調べてみました。

辞典には…

広辞苑第六版
イソン(イゾンとも)
三省堂大辞林・国語辞典
イソン(イゾンとも)
デジタル大辞泉
イソン(イゾンとも)

ほとんどの辞書で「(どちら)とも」ありますが、表記1個目には「イソン」がきています。

民放アナのコラム

言葉のプロフェッショナルであるアナウンサーの方々はどのような見解なのでしょうか。

※MBS・田丸一男アナウンサーのブログより(2016年12月15日)
私たちMBSは「いそん」の読み方を守っています。
※読売テレビ・道浦俊彦TIMEより(2017年7月21日)
読売テレビでも「イソン」をメーンにしていきたいと思います。

ん?守っていく?メーンにしていきたい?
実はこのような表現になったのには、重要な理由があります。

NHKが打ち出した方針

先ほどのお二方のコラムの前段には実はこのようにあるのです。

※MBS・田丸一男アナウンサーのブログより(2016年12月15日)
今は「いぞん」と濁る発音が一般的になっているそうで、NHKではそれに合わせて、放送での読み方を「いぞん」に統一してしまいました。
※読売テレビ・道浦俊彦TIMEより(2017年7月21日)
「これまでも何回か出た話ですが、去年の『NHKアクセント新辞典』で、
『依存』の読み方が、『イゾン(許容・イソン)』

そうなんです、NHK日本語アクセント新辞典の登場(2016年5月25日発行)により、この依存という言葉の読みが大きく動いたことがあったのです。
開いてみましょう、我が家の”NHK日本語アクセント新辞典”を!

いぞん【依存】イゾン‾‾       []イソン‾‾  ※NHK日本語アクセント新辞典より

おおお!!イソンの方に【許容】という注釈が入っています!

実はこのようになったのには理由があり、明確に解説されています。

「依存」という語の読みは「イソン」が伝統的な読み方であると言われていています〜(中略)〜平成22(2010)年にNHKが行った調査で「薬物に依存する」の読みを聞いたところ、「イゾン」が92%、「イソン」が6%という結果になりました。
20歳代から60歳以上まで、年代差も見られませんでした。こうした実態を踏まえ、NHKの放送では「イゾン」の読みを優先させることにしました。
※NHK放送文化研究所/放送現場の疑問・視聴者の疑問より(2014.05.01)

と、2014年の段階で結論づけられており、そのために2016年発行のアクセント辞典には「イソン→許容」と記載されたのです。

結局はどっちでもいいんでしょ?

…と私は思ってしまうのですけど、実際の現場ではそうもいきません。どちらを使うのが「その現場」ではベターなのか?柔軟に対応することが求められるのではないでしょうか。

ちなみに先に紹介したytvの道浦さんのコラムによれば、放送局によっての判断は下記のようになっているそうです(2017年7月21日時点のものです)

【イソン】MBS、日本テレビ、テレビ朝日、ABC、NHK、フジテレビ、ytv
【イゾン】テレビ東京、関西テレビ、テレビ大阪
※読売テレビ・道浦俊彦TIMEより(2017年7月21日)

古来から読み方「イソン」派の方が若干多いような気もします。んんー、ナレーターとしてはなんとも難しい!!

確かに、NHKとは違う選択をする民放という流れは興味深い…。

※参考資料



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