島は「しま」?「とう」?

先日、徳島県出身の私の母がテレビを見て怒っておりました。というのも、「淡路島」を【あわじしま】ではなく、【あわじとう】と言っていたからだと言うのです。
徳島と淡路島は近いこともあり、地元という感覚。怒るのも当然かもしれません。みなさんも生まれ故郷の地名を間違えられたら、いい気持ちにはなりませんよね。

と、ここで疑問に思いました。「しま」と「とう」というのは、どういう使い分けをしているのか?

【しま、トウの読みの違いとは】

新漢語林より
【島】音読み→トウ 訓読み→しま
※(進研ゼミ小学講座より)
音読み→昔の中国の発音をもとに読むこと
訓読み→漢字の意味を表す日本語の読み

つまり「トウ」は昔の中国発音の読み、「しま」は日本語読みということです。

【その使い分けとは】

TBSラジオ・全国こども電話相談室(懐かしい!)で、同様の質問がありました。
まとめると、以下のようになります。

「文字」という文化が入ってくる前の日本に、そもそも「しま」という言葉があった。そこに漢字「島」とその読み「トウ」が入ってきて、その意味を表す日本語「とう」を合わせた。
古くから日本で認知されていた島は「〇〇しま」と呼ばれた。
新たに認知された島(北海道などの開拓によって発見された島)は「〇〇トウ」と呼ばれた。

確かに、明治時代以降に開拓された北海道の島は、「〇〇トウ」と呼びますよね。(例:礼文島(れぶんとう) 奥尻島(おくしりとう)など)

ただし、上記の説明にも例外はあります。
有名な例としては、東京都小笠原村の「硫黄島」があります。あの映画「硫黄島からの手紙」の、硫黄島です。
この作品タイトルも「いおうじま」という読み方でしたが、10年ほど前に国土地理院発行された地形図からは「いおうとう」の読みに統一されました。(http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/ioutou-index.html
もともと「いおうとう」と地元で呼んでいたということで、要望があったそうです。(https://www.excite.co.jp/news/article/00091182338489/

ちなみに鹿児島にあるのは、薩摩硫黄島(さつま・いおうじま)と読みます。

【山の読み方は】
さて、ここまでは「島」の読み方についてでしたが、似たようなものに「山」の読み方もあります。「サン(ザン)」なのか「やま」なのか?いや、それどころか「セン」や「ゼン」もある。大変です。

新漢語林より
【山】音読み→サン(ザン・セン) 訓読み→やま

おっと、音読みがサンで、訓読みがやま…。”富士山”って、どうなの?

そもそも「富士」と名前がついたのも、定説はないようで(https://www.fujisan-net.jp/data/article/1051.html
ただ、ここに記されている”神仙思想”という箇所。ここから想像するに、古代中国の思想に当てはめるために、いわゆる「音読み」となったのではないか…?(山岳信仰のある山は”サン”と音読みになるという雑学をどこかで聞いたこともあります)

しかし、山の場合も例外が多い。その地域の風習、慣れ親しんだものもあるのでしょうか?

さらにここまで来て疑問が湧きます。川は「〇〇かわ(がわ)」と訓読みばかりで、音読み「〇〇セン」と読むものはない?
謎を解こうとしてさらに深まる。言葉の迷宮に入ってしまったようだ。

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