火ぶた

先日、あるナレーションで「熱戦の火蓋が切って落とされた!」という表現を聞きました。よく耳にする表現ですよね。
で、「確か誤用もあるんだよな」と思い出すのですが、どれが正しいのか忘れてしまうのです。

・「火蓋が切って落とされる」
・「火蓋が切られる」
・「火蓋が落とされる」

【NHKさんに聞いてみよう】

そういう時にいつも頼りにするのが、NHK放送文化研究所のQ&Aです。
で、「火蓋〜」の件についても載っておりました。

”A、正しくは「~の火ぶたが切られました」です。「落とす」は不要です。”


【火縄銃とはそもそも…】

画像1

いらすとやさんはなんでも揃ってるなぁ…)
この言葉は「火縄銃」が語源の言葉です。
火縄銃とは、皆さん学生時代に習ったことがあるでしょう、1543年に種子島に伝来したアレです。私なんかは「いごしさん、種子島に鉄砲伝来」と覚えたものです。

と、ここで疑問が。
「そもそも火蓋って、火縄銃のどんなパーツなの?」
おそらくここがイメージできないので、私はいつまでも覚えられないのではないか?

火縄銃の構造を見てみることにします。

【火縄銃の構造】



銃のトリガー(引き金)の先の方にある、まさにフタです。
しかしこのパーツだけを見ても理解し切れないので(私は)発射の仕組みを見てみます。

上記引用ブログから、発射までの流れを整理すると…

① まず,銃口を上にして銃を立て,銃口から火薬を入れます。
② 銃口から弾を入れて,カルカという長い棒で,弾を銃身の奥まで押し込みます。
③ 火皿を覆っている安全装置の火蓋を開きます。
 下の写真の上 2 枚は,まだ火蓋を開いていない状態です。下の左右の 2 枚が火蓋を開いて火皿が現れた状態です。火皿というのは,小さく窪んでいる皿状の部分です。底または側面には小さな穴があいていて,銃身の奥の主火薬を詰めた部分とつながっています。
④ 火皿に少量の火薬を入れます。
⑤ 安全のため,いったん火蓋を閉じます。
⑥ 火のついた火縄を火挟みに取り付けます。
⑦ 指揮官の 「火蓋を切れ」 の号令で,再度,火蓋を開きます。
⑧ ターゲットに狙いを定めます。
⑨ 指揮官の 「撃て」 の号令で引き金を引きます。
⑩ 引き金を引くと,火縄を取り付けた火挟みが火皿に落ちて,火皿の火薬に着火します。
⑪ 火皿の火が,火皿の脇または底の小さな火口から銃身の火薬に引火します。
⑫ 銃身内の火薬が爆発して,弾が発射されます。

行程は複雑ながらも、構造はシンプルだったんですね。
⑤と⑦に「火蓋」の役割が読み取れます。「火皿」のカバーが「火蓋」で、つまるところ「火薬に(誤って)点火しないようにするためのカバー」なのです。
間違って火縄を挟んだ火挟が落ちて、火皿に点火してしまったら大変です。

映像で見ると、火挟が降りて、火皿に点火してから発砲されてますね。動画1分03秒あたりで「火蓋切れ!」という号令で、火蓋を開けている(切っている)様子もわかります。

【つまり】


火蓋とは、現代の銃で言うところの「安全装置(セーフティーロック)」みたいなもののようです。(「安全装置を切れ!」と言ってもしっくりきますものね)


(※ちなみに現代の銃の安全装置はこんな感じです)







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