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『イノベーションのジレンマ』を読んで、ゲーム業界のこれからに思いを馳せてみる

こんばんは。なるぴーです。
ついにゴールデンウィークも後、2日と少し。
ここから本気出す方もいるかもしれません。私もその一人です。

さて、本日は久しぶりに『イノベーションのジレンマ』を流し読みしました。
長期休暇は過去の自分と振り返るよい機会となりますね。
先日も昔住んでいた家までお散歩をしてきたところ、
変わらない風景への懐かしみ、変わってしまった風景への寂しさを感じ得ました。では、本日のテーマです。

本日のテーマ

ゲーム業界のイノベーションのジレンマはなぜ起きたのか?

オススメの読者

ソシャゲバブルのときに何が起きていたのかを知りたい方
これからこうなる、を一緒に考えたい方

イノベーションのジレンマとは

本書で扱われている理論は「破壊的技術によるイノベーション」という理論です。
超略すると「破壊的技術」という製品性能を引き上げるとは限らない技術がすぐれた大手企業を失敗に導いてしまう、という話しです。

どういうことか?のイメージを湧きやすくするために、具体的にゲーム業界に当てはめてみます。

ゲーム業界に起きていたイノベーションのジレンマ

2011年頃ソシャゲバブルと言われていた時代。
当初、覇権を握っていたのは『GREE』『mobage』だったと言えるでしょう。
任天堂は2011年は営業赤字200億円を出していたときでした。

当初のソシャゲは基本ポチポチゲー。
デバイスの制約もあり、プレイヤーが介入するようなインタラクティブなゲームデザインはほぼありませんでした。

おそらく大手企業ではそんなソシャゲをみて「あんなの売れるはずがない」「そもそもゲームではない」と言われていたでしょう。
でも、老舗のゲーム会社に負けないくらい新興企業が勢いづいていた時期でした。
ガチャで利益をあげた企業が何社も上場したときでした。

では、なぜプラットフォーマーである任天堂やSONYからGREEやmobageが生まれなかったのか。
それが本書では下記のように述べられていました。

■破壊的技術に投資ができない理由
なぜ「破壊的技術」に投資ができないのか?
①「破壊的技術」を使用した製品の方が低価格でシンプルなため
②「破壊的技術」が最初に商品化されるのは、一般には新興市場であるため
③「破壊的技術」を使用した商品は大手企業にとって優先すべき顧客でないため

任天堂の場合はざっくりで下記が当てはまりました。
・本体ハード機を普及させるために本体を原価以下でも販売する必要があった
・ビジネスモデルが自社のソフトの売上と、ソフトメーカーからの「ロイヤリティ」収益である
 ※よって、本来のビジネスモデルと反する他社ハードにソフトウェアを極めて提供しづらい
・当初の岩田社長の経営理念と反する(短期的な売上の上昇にはつながるだろうが、顧客との関係性向上にはつながらない)

売上が一兆円クラスの任天堂がやるにはソシャゲは「割りに合わない」ものでした。
なので、一時的には少なくとも「新興企業に覇権を持っていかれた」状態になりました。
※結果論として、任天堂はSwitchで盛り返していますが。

あれから数年。
2011年頃と比較して、スマホゲームは随分とリッチな表現、ゲーム性になりました。
開発費用もン億円クラスになって、利益率も随分低くなりました。

デバイスの進化に伴いゲームもリッチ路線になるので、投資できるヒト、モノ、カネを持つ経営体力のある企業が残るでしょう。
ただ、これはやはり茨の道な気がします。大変なのは嫌だ!となるかもしれません。

次の破壊的技術は?

そうなると、次の「破壊的技術」が何なのか。ということになります。
界隈で流行り始めている「メッセンジャーゲーム」かもしれないし、ドリコムの「enza」のようなHTML5ゲームのプラットフォームかもしれない。まだない「HTML6」かもしれない。「VRメガネ」のようなウェアラブルデバイスかもしれない。

ゲームづくりで目先のクオリティを引き上げる、企画力やディレクション力といったミクロな視点とともに、動向を読むマクロな視点も必要、そんなことを思う土曜の夜でした。


ここまで読んで下さり、ありがとうございました! サポート頂いた分は、新しい記事を作成時の参考書籍や、 勉強代に充てさせてもらう予定です。