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The Life in Sagada #2

2015.11.01

【洞窟にもぐる、つるされた棺たち】

サガダにはいくつか洞窟があり、中には大きくて深い、鍾乳洞が広がっています。その中のひとつ、スマギン洞窟に挑戦します!サガダの観光案内所に行くと、ガイドさんが一人ついてくれて、洞窟に行って出るまでサポートしてくれます。ということでガイドのラピンさん。

私、マニラであったタクシーのおじさんの言葉で、自分はフィリピン人ぽいと思ってましたが、ぜんぜん違うそうです。今は良く韓国人に間違われます。ラピンさんも最初「コリアン?」と聞いてきました。日本人だよーと教えると、なんと日本人の友達がいるとのこと。「もしもし」とか知っている日本語を披露してくれました。笑 下の写真は洞窟に向かう途中で撮った風景。どこか日本の東北にあるような風景。わーほのぼの!

スマギン洞窟の内部に入る前に、ラピンさんが見せてくださったのが山のように積み上げられた棺です。昔のサガダの村人は棺に身体を折りたたむように亡骸をいれて、洞窟に運び込み、死者を弔ったといいます。古いもので100年以上前のものがたくさんあります。1990年の大地震のときにいくつか崩れて棺が壊れたり、中身がゆれて崩れたりしてて、内部の骨が見えました。静かでひんやりとした空間。不思議な空気が漂っています。DAISUKEさんが「こんなふうに観光客に見られて死者は嫌じゃないのか」とたずねると「そんなことはない、むしろ喜んでいる」との回答。しかもラピンさんもできたらこのように弔ってほしいと言ってました。とりあえず、悪いことしているわけではないんだな、と安心です。

さて、いよいよ洞窟の内部に潜入です。サガダの洞窟のすごいところ。それはまったく観光用に整備されていないこと。なので中に電気もないし、足場もありません。すべて頼れるのはガイドのラピンさんだけ!ラピンさんがランタンを持ち、中に連れて行ってくれます。

太陽の光が入らないところまで行くと、「キーキー、ギーギー」という甲高く細い泣き声が。コウモリがたくさんいて、あたりはコウモリの糞だらけ。でもほぼ泥と一緒なので、全く気になりません。

うわーと思いながらこんな急なところも下がっていきます!ほかのグループ藻増えてきて、光の数が増え、洞窟の全体像が浮かび上がってきます。わーこんなに天井が高い!そして下が深い!

そうこう思いながら頑張ってラピンさんについていくと、途中から岩肌が変わります。泥と滑りそうなごろごろの岩肌でしたが、すべすべ滑らかな岩肌が目の前に現れました。その上を水が流れています。途絶えることなく、水が流れて落ちています。でも足を乗せるとつるっと滑るわけでもなく、表面の細かいざらざらで足がピッと止まるんです。なのでとても歩きやすい!そして水が冷たくて気持ち良い!

もっと写真。

ラピンさんがスポットで写真とってくれました。下の写真の私の後ろにあるのは宮殿のカーテンに例えられています。洞窟の中には野菜を運ぶ2体の象とか、皇女のおっぱいとかバジャイナとか、王様のペニスとかいろいろなシンボルに見立てられてました。ラピンさんがガイドしながらクイズ形式で「これは何に見える?」と質問してくるのですが、ことごとくハズレました。答えを聞いた時にラピンさんめっちゃ笑ってましたが、私は足場の確保に必死で笑うどころじゃありませんでした。

ここまで来た地点でもぐってから1時間経ってました。私は最短の2時間コースを希望したのですが、泳げる格好や洞窟探索の万全な準備をしてきている人たちは4時間のコースでさらに奥まで行きます。そうすると水心20mくらいある泉がたくさんあり、そこでばしゃばしゃ泳げるとか。すごいー!素敵だけど、今回はここで引き返すことに。途中までの足場が悪く、落ちて頭打ったら死ぬ!という緊張感でここまできていたのでけっこうへとへとでした。最初は戸惑いましたが足場がない感じも、この洞窟を魅力的にしているひとつだなーと思います。日本の観光用の鍾乳洞は過保護な感じです。

ということで、来た道を戻り、地上に出ました。ラピンさんに別れを告げ次の場所へ向かいます。その先は、村の墓地。この日はAll Saints Dayということで、先祖たちが帰ってくる日なのだそうです。日本で言うお盆みたいな門だそうです。墓地に行ったら、お墓の周りで村人たちがピクニックしてました。これは、青森県で今でも行われている風習と一緒!(お墓に食べ物飲み物を持って行き、親戚と飲み食いする)と思いながら感動してみてました。キリスト教でもこういうことやるんですね。

 この墓地の近くにまたまた有名なスポット、ハンギングコフィンがあります。棺が吊るされているんです。サガダでは観光スポットそれぞれに現地人のガイドさんを配置していて村の雇用を増やしています。ということで今度はちょっとわかめのガイドさんでした。山を下ったりあがったりしてその場所に案内してくれます。よくビーチサンダルでそんなにひょいひょいと進んでいくねーと関心です。彼の写真を撮りたいと言ったらシャイなのでだめ、ということでした。ふふ。

ここに吊るされている棺のなかには、村の長老たち、つまり慕われている年長のかたがたが眠っているのだそうです。新しいもので30年前のものなどもあるそうです。サガダにはこのように聳え立つ岩がたくさんあります。こんなふうに露になっていない棺がまだどこかにきっとあるのだろうなぁ。あ、これを見て山形の山寺を思い出しました。聳える岩を彫ったり卒塔婆を立てたりしていたなー。人間って似たようなことをやるんだな。

そうこうしているうちにミサの時間です。村人が教会にぞろぞろ集まってきます。キリストは木彫でした。

ミサは英語で歌い、タガログ語で説教がありました。地元のテレビ局に珍しがられたぶん何枚か写真をとられた気がします。私は洞窟とアップダウンの激しい山登りで疲れきりほぼ寝ていました。ごめんなさい。

夜になると村人は墓地で盛大に火を灯します。ミサで清めた松に火をつけて先祖を迎えるんです。地元のお盆の香りがします。異国の地でちょっと故郷が恋しくなった。そんな1日でした。下の写真は夜の墓地の様子。


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