耳を澄ますこと


Sixpence None The Richer を聴きながら描いた絵。

中学1年生の頃、3年生の先輩が学校祭で「Kiss Me」という曲をカバーして歌っていたのをきっかけに知ったバンド。当時それがあまりにも印象に残って、バンド名と曲名を頼りにCDショップへ探しに行きました。買ってきたCDを部屋で流し、私の中で新しい世界が広がったのを覚えています。

時間が経つと、以前好きだった曲がなんとなくしっくりこなくなったり、ほとんど聴かなくなってしまったりすることがあります。でもその時に買った Sixpence None The Richer のCDはずっと聴いています。事あるごとに、思い出したように。私の中で美しい思い出ということなのかな。お気に入りの音源はデジタルで持っていたとしても、CDを時々ケースから出し、コンポで聴き、ジャケットを眺めたり歌詞をまた読んでみたりします。

CDジャケットを眺めるという行為は音楽を聴くのには程よい視覚刺激だと私は感じます。ミュージックビデオというのはもちろん面白いのだけれど、動きがある分少し刺激としては強くなります。視覚処理がかなり多くなされていることでしょう。あくまでも音楽は聴覚刺激が中心、それに集中するには本当は目を閉じるのが一番良いと思います。目の見えない方が音によく反応するのを私は知っています。聞いた話ではなく、医療現場にいた頃にたくさん経験したことです。

私が音に集中するのはもちろん音楽の時間だけでなく、自然の音、家での生活音、静かな時の些細な音、自分や人の呼吸の音、外で人々が動いている証しの音…どれを聞くのも面白い。大きな音で音楽を聞く時間も、とても静かな時間もどちらも好きです。

もしも急に耳が聞こえなくなったら。

バンドを始めてから耳を酷使することが増え、少なからず耳への影響を感じています。だからこそ聞こえなくなったら、をふと考えることがあります。耳が聴こえないミュージシャンも存在します。でもそれってとても特別。私もその特別にその時なれるのだろうか。全然想像ができないけれど、とにかく耳を守れる時は守っていくしかないのだろうな。

耳を澄ます時間、これを読んでいる間、人は何の音を聞いているのだろうか。

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