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レコード珍盤紀行、東芝教材編

躁状態で500万の貯金でレコードを買いあさり、クレジットカードを4枚作った挙句多重債務者となり、鬱状態で会社を休職し実家へ強制送還。26歳で200万円の借金を抱えている私が愛した珍盤(珍しいレコード)とは何か。今回はその第3弾。東芝教材用レコードに焦点を当てたい。

珍盤ナンバー3 東芝教材レコード 交響詩「中央アジアの広原にて」

表面
裏面

この珍盤は、教材用レコードと銘打っているだけあって、付録の紙には指導のねらいや指導の要領が事細かく記載されている。恐らく、教師が授業で使用するために作られたものだろう。その内容をご紹介しようと思う。

指導のねらい
1)民族色豊かなこの音楽の特徴にふれる。
2)後期ロマン(特に国民楽派)の音楽の特徴にふれる。
3)標題音楽に対する興味と理解をいっそう深める。
4)この楽曲の巧みな楽器の扱い方や、構成などから得られる効果の妙にも気づかせる。

東京芝浦電気株式会社

指導の要領
 われわれ日本人には、作曲者自身が述べているほどに「ロシア風」とか「東洋風」とかの区別が明瞭に感じ取れないかもしれない。しかし、作曲者自身の解説や隊商の図版、写真などの視覚教具を活用することによって「中央アジア方面の民族的な感じ」を曲全体から受け取らせることは可能であろう。この場合、二つの主要主題の旋律を口ずさませて、その音楽的特徴を直感的にはあくさせることも効果的である。
 国民楽派と呼ばれる一連の国民主義的な音楽家とその人達の活動、および音楽的の特徴について関心をもたせる。
 楽曲の構成の面白さ、たとえば、二つの主要主題が最後には同時に対位法的に組み合わされいることなどは、「アルルの女」第2組曲の終曲と比較してきかせると容易に理解できるであろう。また強弱の推移(全体としてp<f>pとなっている)が、この曲の構成に重大な役割りを果たしていることについても、たとえば「ボレロ」のp<fの構成と比較させれば、容易に気づかせられるであろう。
 クラリネット、イングリッシュホルン、ホルン、フルートなどが特に効果的に使用されていることに気づかせる。

東京芝浦電気株式会社

学生時代音楽の成績が悪かった私は、指導のねらいは理解できるが、指導要領の内容が頭に入ってこなかった。中学3年生が理解するのはハードルが高く、私が当時学生であったら間違いなく心が折れていたと思う。このスパルタ教育こそが、昭和の高度経済成長を支えていたのかもしれない。

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