タングステン

タングステンの放射線を遮る性能は鉛に匹敵する。中性子線を遮蔽する性能はホウ素に準じるという。3.11原発事故の際、上空から大量の海水を原子炉に投下する作戦に使われたヘリコプターの床には、乗員を放射線から守るためが床に敷かれた。 鉛は費用対効果が最大なのでよくガンマ線の遮蔽に使われるが、柔軟性に乏しく応用の難しさがネックである。そこで開発されたのがタングステン粉末にエラストマー樹脂を混合して折り曲げや裁断が容易なシート状素材である。医療・空港の検査に使うX線検査装置に装着している。またタングステンマットはガラスクロスにこのシートを封入して配管に巻き付けたり、エプロンにしたりと用途が広がっている。
ガンマ線がなぜ密度の高い材料だと遮蔽されやすいのか?については、ガンマ線が物質中に入射したときに失うエネルギーは物質の密度と原子量に影響を受けて減衰の仕方が異なる。3種類あって、光電効果、コンプトン散乱、電子対生成だそうだ。簡単な? 説明を読んでみると:

ガンマ線はもちろん電子と原子核両方に遮蔽されるが、ガンマ線は物質中で光電効果コンプトン散乱電子対生成を繰り返しながらエネルギーを失っていき最終的に遮蔽(エネルギーを失う)される。電子の数が多いとコンプトン散乱や光電効果が起こりやすくなるし、原子核の原子番号が大きいと有効核電価が大きくなるのでガンマ線が電子対生成反応で生成した電子と陽電子が電気相互作用によって曲げられることによりエネルギーを失いやすくなる。電子がガンマ線を遮蔽するが、原子核も別のメカニズムで遮蔽に寄与しているといったところである。
となっているが、「もっと知りたければ、放射化学の教科書や原子核の教科書を読まれることをお勧めします」と導かれて停止した。パチンコの球が釘に当たって勢いを失うようなものかと見当をつけてみたが、鉛やタングステンは釘の数が多い物質ということなのか?(まったく参考にならないようで申し訳ないが、要は扱いやすい素材にしたことを紹介したい)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?