暗視

静岡大電子工学科の川人教授らは、平均ノイズレベル0.27と世界最高レベルの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーを開発した。暗い所で、ごく微量の光を検知できるという。性能は、星明り程度の1ミリルクスの照度でも、ノイズなく画像が見れるそうだ。1ミリルクスとはどれほどのものかというと、月夜の明るさの数百分の1で、自分の手さえ見えない深い闇である。

(ルクスとは、光源から発した光が、照射対象の床や壁に当たった明るさを数値化したもの。ルーメンとは、光源から発する光を数値化したもの)

300~500ルクスの明るさを確保するには、家庭のキッチン流し元ならば、FL20w (1,200ルーメン)の蛍光灯が1つあれば可能なるので、ミリルクスは台所の5桁

小さい光。兵器の暗視装置を世界で初めて実用化したのがドイツである。映画ではいきなり眩しい光源を見ると目がくらむ場面があったが、これは、黎明期に開発された旧式の物の特徴であり、現在使用されている物は一定値以上の増幅を遮断する保護回路が取り付けられている。

この種の暗視装置は、第二次世界大戦中にドイツ軍が開発し、1,500mの距離で目標を視認することが可能であった。今は第3世代に入りMCP型光電子増倍管による可視光増幅方式を採用して、光増幅率は30,000-50,000倍に向上し、有効視認距離も25%増加したとされている。また、通常の可視光増幅方式に加え、パッシブ遠赤外線方式を併用する機種も出現している。

 光でなく、熱を使うものとしては、「あらゆる物体はそれ自身の温度によった遠赤外線を出している(黒体放射)ため、熱線映像装置は、光源が無い場所でも目標を視認することが可能となる」という原理を応用している。例えば兵士や対空砲台が森に隠されていれば、その微妙な温度差による赤外線の強さを画面に表示して見分けられる。平和利用ではレクサスの暗視装置HUD(自動車の暗視装置・システム)は、赤外線カメラでとらえた映像をディスプレイに表示し、夜間の視界を拡大することで安全走行に寄与する夜間運転支援システムである。

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