つかみながら測る

ロボットハンドで重量を計る場合は、まず「つかむ」次に「はかりに載せる」もう一度持ち上げて「所定の位置に置く」という3つの動作になる。

京都のイシダはこれを掴んだ瞬間に重量計測をやってしまうシステムを開発した。つかんで運びながら所定の位置に置くので一連の動作は1工程に短縮される。ロボットアームなどの搬送装置や多軸ロボット、シリンダー、スライダーに取り付けて使うが、ワークを持ち上げた際の慣性力と加速度から質量を算出するしくみである。  

このニュースを見て航空会社で働いていた友人の話を思い出した。実習のプログラムの中に、乗客の手荷物を分類して機内に積み込む作業があった。友人は言ったものだった。「自社の乗客の荷物は一つずつ重量を確かめて機体の左右バランスがとれるように振り分けるが、外国機の委託業務になると、重量など計っていられないから、右に5個積んだら左に5個という調子で、適当にやる。出発間際の秒を争う仕事だから、仕方がない」。  

偏心した荷物の扱いにくさは曰く言い難い。

トラックで妙な積み方をしてハンドルを取られる経験をした人なら、その微妙な苦痛と危険性は分かるだろう。いつの間にか道路の脇へ脇へとずって行くのを、負けないように必死で戻しながら運転するのである。飛行機も同じことだと思うが、手荷物などの積み込みがロボット化されるとしたら、この瞬間測定システムは極めて有効だろう。

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