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ベーコンになるまで…


【現代社会の挿絵】企画展示

はじめに

初めて僕がアブラハム(啓典の民けいてんのたみの始祖)という名前を聞いたとき、世界史だったか倫理政経だったか…この部分の記憶は完全に忘却の彼方へ吹き飛んでしまったのですが、一方で、僕の身体が妙にザワついておかしな反応を示した事は、不思議と今でもはっきりと憶えています。

当初は、胸の辺りがザワつくとばかり思っていたのですが、感覚を研ぎ澄ませて身体の声をゆっくり聞いていくうちに、徐々にそのザワつきの震源地が実際はもう少し下の腹の辺りだとわかってきました。
【アブラハム】…なんと魅惑的な名前でしょう。それを一度ひとたび熱々のご飯の上にのせたならば、塩気と油気の絡まった白米たちが幾らでも喉の奥へいざわれていくような気がしたものです。
嗚呼ああ!油ハム…

そしてこの時の経験と同様に、彼ら、二人のフランシス・ベーコンの名を初めて耳にした時も、僕の腹の辺りは不穏な動きを示したのでした。
【ベーコン】…目玉焼きの下に隠され、カリッカリに仕上げられた二枚のそれは、隠されてはいるものの、プレート上の主役と言っても過言ではないでしょう。もしベーコン達が本気を出して前面に躍り出たならば、玉子の存在感は確実にかき消されてしまうことでしょう。
嗚呼ああ!朝からご飯が止まらなくなってしまいそうで、恐ろしい限りです。

(*´ω`*) 芸術家(画家)フランシス・ベーコンの絵画作品を題材としたコラージュ集(河野デマ太郎のコラ集)です。
いつものように、暇つぶしのアイテムにしていただければ幸いです。

二人のフランシス・ベーコン
左 フランシス・ベーコン Francis Bacon(1561 - 1626)哲学者
右 フランシス・ベーコン Francis Bacon(1909 - 1992)芸術家

ちなみに、実はこの二人、単なる同姓同名の人物と思いきや、20世紀の芸術家ベーコンにとって16‐17世紀の哲学者ベーコンは、なんとご先祖様だったのです。
そしてさらに蛇足なのですが、ホテルでも旅館でも、朝食に出されるカリッカリに仕上げられ目玉焼きの下に敷かれたベーコンの枚数は、真理として二枚…これが僕の経験から帰納的に導き出された普遍の法則です。

ダブルベーコン あるいは 重なり合った二枚のベーコン

それではここからは、自家製ベーコンを手作りしてみようと思います。材料はブタ野郎/デマヤロウ(一匹)、塩とお好みのハーブ(適量)です。

頭部 デマ太郎の習作 ‐001‐

このブタ野郎!ベーコンになるまで叩かれろ!

まずは、味がブタ野郎に染み込みやすくなるように、力いっぱいそして丁寧にぶっ叩きます。このときにフォークを使って、ブタ野郎の表面に穴をまんべんなく、プスプスと開ける方法が一般的であり効果的です。

頭部 デマ太郎の習作 ‐002‐

このブタ野郎!ベーコンになるまで塩漬けにされろ!

つぎに、穴を開けられたブタ野郎の表面へ、塩とハーブをすり込んでいきます。味にムラができるといけませんので、全体へ均一に、そして念入りにすり込んでいくのがコツです。ぐりぐりと揉み込むように、力を込めるといいでしょう。

頭部 デマ太郎の習作 ‐003‐

このブタ野郎!ベーコンになるまで脱水されろ!

塩とハーブをすり込まれたブタ野郎は、表面から水分が出てきますので、それを丁寧に拭き取り脱水します。ブタ野郎をキッチンペーパーなどの給水シートで包み、冷蔵庫に保管します。日に一度程度、包んだ吸水シートを取り替えて、三日ほど寝かせ充分に脱水します。

頭部 デマ太郎の習作 ‐004‐

このブタ野郎!ベーコンになるまで燻されろ!

脱水が完了したブタ野郎の表面についている塩とハーブを流水で洗い流します。表面をきれいに流し終わったら、水気をよく拭き取り、燻製器くんせいきいぶします。
桜の燻製くんせいチップなどで香り付けをし、いぶし上がれば完成です。

おわりに

朝食のプレートに、あるいはスープへ、そしてパスタにも、芳醇な香りと濃厚な味わいを添えるベーコンが完成しました。食えないブタ野郎が手間と時間をかけることで、素晴らしい食材へと生まれ変わったのでした。

-001-から-004-までのコラージュ作品は、僕が2023年05月から08月にかけてツイッター(改めエックス)へ投稿したものたちです。
まさにベーコンの製造過程のように、デマ太郎の画像を叩いたり塩漬けにしたりするよう、Photoshopでコネくりまわして制作しました。
実は自分でも、これはやり過ぎのような気がしていて、イギリスのフランシス・ベーコンの関係者(公式アカウント)に【君、ブタ野郎の顔にすり替えるとは何事だ…失礼だぞ…】と怒られるのではないかと不安に思っていたのですが…
なんと-002-を掲載したときに、件の公式から【いいね】を頂きました。

【いいね】ありがとうございました

さすが一流の芸術家の作品を管理する団体、そのスタッフも間違いなく一流ですなぁ。粋なはからい恐れ入ります。
ただ、やりすぎは、あまり良くないかとも思いますので、このあたりにしておくつもりです。

2023年10月
日本のフランシス・ベーコン愛好者 なるるえる


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