対戦ゲームはいかにプレイヤーをチヤホヤしているか――プレイスキル評価のための方法と思想と限界

僕たちはいつでも無限にチヤホヤされたい。それは対戦ゲームをプレイしているときでも同じだ。勝ったら楽しいし、負けてもチヤホヤされたらそんなに悔しくない。

最近のあらゆるゲーム(特に運用型のゲーム)では、プレイヤーをとにかくチヤホヤして「俺すげー」な気分にさせ、長期間遊び続けてもらうためのPDCAがハンドスピナーのごとく超高速回転しており、そのノウハウの成熟具合は年間何千何百何十億円という売上として表れている。

僕たちの祖先が原始の森と草原でなんとか生き延びながら進化させてきた遺伝子が、ゲーム会社によって弄ばれているのだ。

しかしながら、僕たちだってそのチヤホヤを楽しんでいる。報酬(快感)を得られるのは楽しいのだ。なにより、挑戦と学習に対して報酬を得られ(さらに挑戦と学習をしようとす)る仕組みは、ゲームが持つ面白さの本質である。

対戦ゲーム――esportsにおいても、もちろんこの仕組みを適切にデザインすることがゲームにハマらせるために不可欠だろう。勝利の、あるいはチヤホヤの快感が得られないなら、その対戦ゲームをプレイする人はいない。

それゆえに、プレイヤーの実力(プレイスキル)と頑張りを適切に評価し提示することは、対戦ゲームを長期にわたってプレイしてもらうために絶対に欠かせない条件である。

ただ、対戦ゲームの評価システムをデザインするのは言うまでもなく難しい。ゲームがソロ戦の場合であれチーム戦の場合であれ、評価基準は非常に多く(チーム戦の場合は特にそうだ)、アマチュアシーンでは自慢できてもプロシーンではあまり役に立たない評価基準もあれば、数値化・可視化が難しい評価基準が重要な場合すらある。

評価指標としては、ほかのプレイヤーとの相対的なプレイスキルの高さによって決定される「ランク」、勝敗によって増減する「ポイント」、あるいは単純にどれくらい勝利しているかを示す「勝率」などが一般的だろう。プレイスキルを使用キャラクターやゲームモードを問わずに一元化して評価するゲームもあるし、使用できるキャラクターごとに評価するゲームもある。

対戦ゲームの評価システムは多様で、それゆえにゲーム会社の思想を見出すこともできる。では、どのゲームにどんな方法と思想があり、現状の評価システムにはどんな限界があるのか。

まったく個人的な印象だが、Supercellの『クラロワ』と『ブロスタ』は比較して考察するのに適しているのではないかと思う。ということで、折々でほかのゲームにも触れつつ、それぞれの評価システムとそこに見られる思想と限界について考えてみよう。この考察は対戦ゲームの開発だけでなく、おそらく大会設計においても役立てられるだろう。

【用語説明】
評価基準:プレイスキルを評価する対象となる要素
(どれくらい勝っているか、どれくらいプレイしているか、チームワークの優劣など)

評価指標:評価基準の状態を示す目印
(ランク、ポイント、勝率、K/D=Kill per Deathなど)

評価点:評価指標を計測するための点数や記号
(○点、優良可など)

今回はゲーム内で提示・表示されるデータだけを議論の対象とする。ゲームによっては外部サイトでさまざまな戦績(Stats)を見られたり、公式側からたまに「ゲーム内では公開されていないデータ」が公開されたりすることもあるが、そういうものはゲーム会社が「意図して」ゲーム内で公開していないと考える。その意図を読み取るのがこの記事の趣旨だ。

クラロワのゲームルールと評価システム

『クラロワ』はソロ戦のRTSで、8枚のカード(ユニット、施設、呪文)でデッキを組んで試合に臨む。試合が始まると、フィールドに設置された相手のプリンセスタワーとキングタワーの破壊を目指し、ユニットや呪文を展開する。

カードには固有の能力があり、組み合わせによってさまざまな特性を持つデッキが存在する。例えば、相手に呪文を使わせてこちらのユニットの対処を難しくさせる枯渇デッキ、体力が多く後衛ユニットの盾となるゴーレムを主体とするゴーレムデッキ、ユニットは無視してタワーにだけ攻撃するホグライダーを主軸としたホグデッキなどだ(これらのデッキにも多くのバリエーションがある)。

プレイヤーによって好きなカードや得意なデッキは当然異なるし、アップデートによって効果的なカードが変わるのでそれを取り入れた環境対応デッキも流行する。ゆえに、ゴーレムデッキが得意だからといってあらゆるタイプのゴーレムデッキが得意なわけではなく、特定のカードの組み合わせのゴーレムデッキが得意で、別のカードの組み合わせのゴーレムデッキはうまく扱えない、という人も多い。

上:YouTubeのドズルがよく使用するゴーレムデッキ
下:元プロでYouTuberのkooが紹介したゴーレムデッキ

こうしたいろいろなカードやデッキがあるが、このゲームの評価基準はどんなカードやどんなデッキを使用したとしても、1対1対戦(マルチと呼ばれる)の勝敗しかない。そして、その勝敗で増減するポイント(トロフィー)のみが評価指標となっており、勝率は提示されない(勝利数は提示されるが、あまり意味がない。得意カードや得意デッキごとのトロフィーや勝率も提示されない)。つまり、『クラロワ』のプレイスキルはカードやデッキの種類を問わず、一元化したトロフィーによって測られる。

※なお、特定のトロフィー帯にランク(アリーナ)が設定されているものの、これはトロフィーと連動しているので特に重要な評価指標ではない。ただし、トロフィー6400以上のアリーナを天界といい、ここに到達したプレイヤーは最上位層のプレイスキルを持つということで、敬意を込めて天界プレイヤーと呼ばれる。

※シーズンが終了したとき4000以上のトロフィーがあると、4000を超えている分の50%を失う。

また、もう1つの評価基準として、グランドチャレンジと20勝チャレンジというゲームモードでの勝敗がある。グランドチャレンジは3敗するまでに12勝しなければならず、20勝チャレンジも同様に3敗するまでに20勝しなければならない。いずれも難易度が高いため、これらのゲームモードでの勝利数が評価指標になっている。

クラロワの評価システム
評価基準:1対1対戦およびチャレンジの勝敗(デッキやカードは考慮されない)
評価指標:一元化されたトロフィー、チャレンジ勝利数

2対2のゲームモードもあるが、評価基準も評価指標も存在しない。

この評価システムが意図するのは、『クラロワ』は特定のデッキを使用し続けてトロフィーを獲得することと、多様なデッキを使用してトロフィーを獲得することを同列に評価するということだ。現に、プロゲーマーのみかん坊やはどんなデッキでも巧みに使いこなして高トロフィーを維持しており、HANE×HANEというプレイヤーは得意なデッキ1種類のみを使用してトロフィー7000に到達している。

※『クラロワ』に限らず勝率や敗北数を提示しない対戦ゲームがいくつもある。プレイヤーは負けた回数を知ってもいい気分にならないのだから、その意図は分かりやすい。例えば、『Overwatch』では試合数と勝利数が提示されているが、あえて敗北数は提示していない。

ここで疑問が生じる。みかん坊やとHANE×HANEはともに高いトロフィーを有するが、真に同等のプレイスキルを持つプレイヤーだと言えるだろうか? 1000試合やれば500-500の戦績に近似するだろうか? 僕はそう思わないし、皆さんもそうだろう。おそらく、みかん坊やが圧倒するのではないか。なぜなら、どんなデッキでも自由に使えるということは、対戦相手が得意とするデッキに対して対策が可能だということだからだ。

実際、みかん坊やが出場しているプロリーグのクラロワリーグでは誰が出場するか事前に分かるので、得意デッキが少なければ少ないほど対策を練られやすく、敗北を喫する可能性が高くなってしまう。クラロワリーグでは多様なデッキを使いこなさなければ、勝利することは難しい。

しかしながら、ゲーム内の1対1対戦とチャレンジでは相手が不特定で、対峙するデッキもさまざまである。そうした未知の環境に対して得意な1種類のデッキで挑み続けるのは、直接的に対策される可能性が極めて低いため非常に理に適っている。

この状況は、『クラロワ』が多様なデッキを使いこなせるプレイヤーと1種類のデッキを極めているプレイヤーのプレイスキルを、ゲーム内では正しく評価できていないということを表している。

これはゲームデザイン上、仕方ないことではある。デッキの種類はカード1枚が違えば異なるため、それぞれを評価するのはあまりにも雑多になってしまう。さらに、プレイヤーは次々に新しいタイプのデッキ――ゲーム会社が想定していないようなデッキさえをも構築する。だから、枯渇デッキが得意なプレイヤーを枯渇デッキの熟達度で、ゴーレムが得意なプレイヤーをゴーレムの熟達度という評価基準で可視化できないのだ。

そのため、みかん坊やのプレイスキルは口伝されるしかなかった。「みかん坊やはいろんなデッキを使いこなしてすごい」というわけだ。ただ、クラロワリーグができたので、出場しているプレイヤーに限ってはその勝率によっていろんなデッキを使いこなせることを評価し可視化できるようになった。

とはいえ、『クラロワ』がスペシャリストとジェネラリストを区別して評価すべきかどうかは何とも言えない(デザインが難しいが、僕としては区別してもいいのではと思う)。ただ、少なくとも現状、『クラロワ』ではゲーム内で評価基準を区別をしていないのだから、それが答えだと言っていいだろう。得意なデッキを極めるもよし、いろんなデッキを使いこなすのもよし。『クラロワ』はそういう評価システムを採用しているということだ。クラロワリーグはまた別の環境である。

ちなみに、似たようなゲームとして『ぷよぷよ』がある。プレイヤーごとに得意な組み方や戦術は異なるが、それらは勝敗という一元化された評価基準のもとに、レートという評価指標で可視化されている。GTRが得意、速攻が得意、といった評価は口伝でしかなしえない。

※『クラロワ』は内部では各カードの勝率が計測されており(そのカードが入ってるデッキの勝率)、それにもとづいて能力値の変更・修正がなされるようだ。

ブロスタのゲームルールと評価システム

次に『ブロスタ』を見ていこう。『ブロスタ』はMOBAで、3人対3人のゲームモードがほとんどだが、バトルロイヤルのみソロかデュオで試合を行なう。20体以上のキャラクターから好きな1体を選べて、ソロならチームメイトが自動でマッチングされ、事前にフレンドとチームを組むこともできる。

通常ゲームモードは5つあり、いずれもルールが異なる。僕が一番好きなエメラルドハントは、一定時間ごとに出現するエメラルドを3人で合計10個取得し、その状態を15秒維持したほうが勝利となる。プレイヤーが倒されるとエメラルドを落とすため、1発逆転もありうるのが面白い。

そのほか、先述したバトルロイヤル、タワーが攻撃してくるタワーディフェンスの制圧、攻撃してこないタワーディフェンスの強奪(タワーの代わりに金庫)、サッカーのブロストライカー、制限時間内にできるだけ敵を多く倒す賞金稼ぎといったゲームモードがあり、シュターゲームで採用されるようなゲームモードをすべて実装している。

加えて、イベントバトルとして1人が巨大化して5人と戦うビッグバトル、NPCのロボットを撃破するボスファイト、NPCのロボットから金庫を守り続けるロボットファイトがある。

操作できるキャラクターには固有の通常攻撃と必殺技があり、キャラクター同士でシナジーを発揮できる組み合わせも多い。試合ではマップ上を自由に動き回れるが、基本的にはマップ中央で戦うミッドと、その両側に陣取るサイド(ライトとレフトという呼び方は定着していない)に分けられており、ミッドで戦いやすいキャラクターやサイドで立ち回るほうが有効なキャラクターがいる。

このゲームの評価基準は通常ゲームモードでは勝敗のみで、評価指標は勝敗によって増減するトロフィーだ(いちおう勝利数などもStatsとして提示されているが、あまり参考にされることがない)。『クラロワ』と異なるのは、これがキャラクターごとに評価されるということ。そして、各キャラクターのトロフィーを合計したトロフィーが(『クラロワ』と同じく)そのプレイヤーの総合的なプレイスキルと見なされる(シーズンが終了すると、キャラクタートロフィーが500より上の場合は超えている分の50%を失う)。

ただし、合計トロフィーが同じ6000のプレイヤーでも、同等の実力を持つとは限らない。トロフィー300のキャラクターが20人いるプレイヤーと、トロフィー1000のキャラクターが6人いるプレイヤーとでは、(BAN制度がなければ)明らかに後者のほうがプレイスキルが高いと言えるだろう。

『ブロスタ』ではこのようにスペシャリストの評価を可視化できており、『クラロワ』よりも個々のプレイヤーのプレイスキルを適切に評価できている。これはプレイヤーが各試合で1体のキャラクターしか使用しないため、その熟達度を可視化することがプレイ体験において重要だからという理由だろう。合計/キャラクタートロフィーによるランキング(グローバル、ローカル)も提示されていて、合計トロフィーはいまいちでもシェリーというキャラクターは世界一、ということがありうる。

『クラロワ』よりも進んだ評価システムに思える。一方で、チーム戦ということでチームワークが重要なゲームでありながら、チームワークの評価基準はなく、すべて合計/キャラクタートロフィーに集約されてしまっている。だから、ミッドやサイドという役割での活躍は評価されないし、どれくらいチームに貢献したかも分からない。もしかすると内部ではエメラルドを確保した数や時間が計測されているかもしれないが、その評価指標は妥当ではない。なぜなら、サイドだとそもそもエメラルドを取得しないからだ。

対戦ゲームにはチーム戦のものが非常に多いが、チームへの貢献を可視化するのはかなり難しい。一見何もしていないように見えることがチームへの貢献になる場合もあるし(例えばそこにいるだけで敵へのプレッシャーになっているなど)、敵の気を引いてわざと倒されることがチームへの貢献になる場合もある(例えば自分が倒されている間に味方がより大きな収穫を得るなど)。

『ブロスタ』ではそこに焦点を当てた評価基準がなく、すべて勝敗という結果に一元化されてしまう。これでは「敗北したがチームには貢献した」というケースが評価されない。

これを解決しようとしている対戦ゲームはないのかというと、実はけっこうある。その代表格がeスポーツとして先陣を切っている『LoL』だろう。試合終了後にチームメイトを評価する名誉システムがあり、冷静だったかどうか(メンタルマスター)、リーダー的な活躍をしたかどうか(ショットコーラー)、ムードメーカーになっていたかどう(ムードメイカー)、という評価基準で評価できる。また、評価を受けると名誉レベルが上がり、さまざまな特典を得られる(評価を受けなくても少しずつ上がっていくが)。ゲーム側での評価ではないので、今後は機械学習で自動化されていく可能性はある。

ちなみに、日本サーバーではまだ実装されていないが、各ポジション(トップ、ジャングル、ミッド、ボット、サポート)でのプレイスキルを評価するポジションランクもプレビューが行なわれている。『LoL』は5人のプレイヤーが各試合で固定的なポジションについて戦うので、トップが得意でサポートはいまいち、というプレイヤーが当たり前に存在する。しかし、これまでのランクシステムではどのポジションで挑もうと、勝敗という一元化された評価基準しかなく、ランクも当然一元化されていた。

これには「いろんなチャンピオンでいろんなポジションをプレイしてほしい」という意図を込めていたのかもしれないが、実際としてこのゲームは1体のチャンピオン、1つの ポジションですら複雑で覚えることが多く、もはやその意図はプレイヤーには届いていなかった(プロゲーマーでさえ1つか2つのポジションしかこなせない……というか、役割が分かれているチーム戦ではジェネラリストはスペシャリストに勝てない)。

そこで、ポジションを指定して試合に臨めるシステムが作られた。だが、対戦ゲームでは評価指標にもとづいてマッチングが決まるため、もし評価基準が一元化されていると、例えばトップが得意なプレイヤーがたまたまミッドでプレイすることになったとき、トップの評価指標でマッチングした相手と試合をすることになる。相当に不利な戦いを強いられるだろう。

となると、やはりポジションごとに評価する必要があり……ということでRiot Gamesがその点を改めようとしていたのは以前から知られていたが、ようやく実態に即した評価システムを世界的に実装する目処が立ったのだ。が、プレイヤーからは不評で中止された。

ミクロな評価システムも大事

『クラロワ』と『ブロスタ』を比較したことで、わりと広範に評価システムの方法と思想と限界について見ることができただろう。本当は『LoL』をもっと考察するといいのだが、上述したように評価システムが複雑なので、それは読者への宿題ということで。

さて、ここまでは試合が終わったときの評価、要するにマクロな評価システムについて見てきた。対戦ゲームではプレイヤーのプレイスキルを適切に評価しなければならないが、それは必ずしも数値化して可視化する必要があるというだけではない。そこで、最後により細かいミクロな評価システムについて簡単に眺めてみよう。

その端的な例は音ゲーだ。多くの音ゲーはプレイヤーに向かってくるノーツをタイミングよく叩くことで評価点を得られるが、そのタイミングによって評価点が異なる。『SOUND VOLTEX』の場合だと、ベストなタイミングはCRITICAL、そこから少し外れるとNEAR(LATEとEARLYがある)、完全に外すとERRORとなる。

プレイヤーはすべてのノーツでCRITICALを目指すため、CRITICALが多いほうが嬉しく、NEARが視界にちらつくと首を傾げる。だから、楽曲をプレイし終わったときのスコアだけでなく、ノーツを押すごとにも評価が発生していると言える。このように、主としてプレイ中に適用される評価システムをミクロな評価システムと名付けておこう(『ドラクエ』の会心の一撃のサウンドもそうだ)。

ミクロな評価システムが適用されるのはプレイ中なので、プレイヤーが数字をいちいち確認しなくていいように光ったり音が鳴ったりすることで評価がなされる(まさにゲーマー好み)。『SOUND VOLTEX』はCRITICALが多いほどスコアが高くなるが、プレイ中はスコアは意識されず、いい感じで光ったことに快感を覚える。

かつてウメハラが「格ゲーのコンボは音ゲーのようにベストなタイミングならキャラクターが光ってほしい」というツイートをしていた。ベターならタイミングなら別の色で光ればよく、そうすることでベストなタイミングでコンボができていることを評価できる(自分も相手も観戦者も)。あるいは格ゲーでコンボのヒット数がわざわざ画面に表示されるのは、それをミクロな評価システムとして機能させているからだ。

また、誰かが「『Overwatch』でファラのミサイルが敵に直撃したらいい感じの音が鳴ってほしい」と言っていた気がする(直撃させるのは簡単ではないので)。シューターゲームで敵に弾が当たるのは大事だが難しく、だからこそそれを瞬時に評価するのはプレイヤーをチヤホヤすることにほかならない(Webサイトのボタンを押したときにボタンが凹んだり光ったりするのも同じ狙いがある。それだけで快感を感じる我が遺伝子よ……)。

これらもまさにミクロな評価システムで、刹那的にプレイスキルを評価するうえではかなりいいアイデアだと思う。『クラロワ』ではこのミクロな評価システムがあまり採用されていないというか控えめで、攻城バーバリアンの「ガイ〜ン!」など突進系ユニットがタワーに突撃したときの音くらいではないだろうか(これが気持ちいい。それと、スパーキーがタワーを折ると地面が震える)。例えば、タワーを破壊したときにもう少しいい感じの音が鳴ればよさそうな気がする。

『ブロスタ』も同様に、弾が敵に当たっても相手がちょっと光るのとかすかなヒット音しかないので味気ない。キャラクターによっては画面外で弾を当てられるのだが、分かりやすい効果音がないと当たったかどうかが分からないことも多い(自分の必殺技メーターが貯まるので分からなくはないが。あと、ペニーは弾が当たったときに比べて弾が消えたときの「チャリン」が大きすぎる)。

試合が終わってメニュー画面に移ったとき、勝利したときはトロフィーの数字が増えるのが見え、負けたときはすでに減っている数字が表示されているのは面白い。

対戦ゲームで無限チヤホヤ

冒頭で書いたように、対戦ゲームを長く気持ちよくプレイしてもらうにあたって、プレイヤーがすごいことをやってのけたことをいかに適切に評価するかが非常に大切だ。マクロな評価システムとミクロな評価システム、どちらもがそれに寄与している。

対戦ゲームには「全員が全勝できない」というどうしようもない宿命を背負っている。つまり、マクロな評価システムだけでプレイヤーをチヤホヤすることはできないのだ。そこで、マクロな評価システムによってネガティブな感情を過度に抱かせないように、些細な評価基準を設けたり、ミクロな評価システムを設計する必要がある。

負けても面白い対戦ゲームには、充実したミクロな評価システムが備わっていることが多い……かもしれない(仮説)。例えば『動物タワーバトル』では「どうあがいても絶望」なポジションに動物を置けたとき、とても快感が大きい。だから、それを成し遂げて負けるとそこまで大きな不快感はないのではないだろうか。

チーム戦にしても、身内で遊ぶと負けても楽しいときが多いが、それはミクロな評価システムがマクロな評価システムを上回ることがありうることを示している。いかにチヤホヤさせるか、あるいはプレイヤー同士でチヤホヤさせ合うか。このUXをデザインするのはけっこう面白いはず。

ともあれ、僕が言いたいのは、対戦ゲームにもっとチヤホヤされたいということだ。ゲーム会社の皆さま、チート対策にお忙しいかと存じますが、どうぞよろしくお願いします。

本編は以上です。このあとの有料パートで、評価システムを大会設計の際に活かせるかを簡単に検討します。

【テーマ】
大会設計で参加者をチヤホヤするには

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対戦ゲームはいかにプレイヤーをチヤホヤしているか――プレイスキル評価のための方法と思想と限界

謎部えむ

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