esportsチームが人気の土台を作るためのポジショニング戦略

何でもいいので、好きなタイトルで最も強いチームや選手を思い浮かべてみてほしい。実はこれは案外難しくて、いくつか候補が浮かびつつも確信を持って断言できないことが多い。

なぜかと言うと、どんなタイトルにおいてもトッププレイヤー間のプレイスキルは高いレベルで平準化していき、時と場合によって誰が大会で優勝するかが変わるからだ。そのため、誰がその時点で最も強いのかを特定するのが難しい。

なので、圧倒的な強さを保ち続けられるチームや選手以外がesportsで食べていこうとするなら、強さ以外の何かで人気を獲得しなければならないことになる(「強さはプロゲーマーにとって最大の魅力、でも強さだけで食べていけないならどうすれば?」を参考)。

過去に人気を獲得するための戦略と施策については詳述したので、今回はどうやって人気を獲得する土台を作ればいいのかを、マーケティングにおける基本的な分析手法であるポジショニングの視点で議論していく。

後半でいま人気のあるチームや選手がなぜ人気なのかを分析するので、これから人気を獲得していきたいチームや選手、あるいは新しくチームを作ろうと考えている人の参考になれば幸いである。

なお、プロチームにとって人気獲得は売上を得るための手段であることをお忘れなく。

【目次】
人気とは相対的な好意度の高さ
1番のポジションを狙う
チームの実例
 DetonatioN Gaming
 SCARZ
 CYCLOPS athlete gaming
 Sengoku Gaming
選手の実例
 ウメハラ
 うゅりる(Crazy Raccoon)
 フチ(PONOS Sports)
 岸大河、eyes
単純な解決策――強い早い高い

※特にただし書きがないときは「チーム」という言葉に個人で活動している選手も含める。また、「チーム」は総合ゲーミングチームという意味で、タイトルごとのチームは部門と呼ぶ。

人気とは相対的な好意度の高さ

そもそも人気である状態とはどういう状態なのか。これは、多くの人によって「○○といえば」といった条件で最初の候補に選ばれている状態である。言いかえると、ほかのチームに比べて相対的に高い好意度を獲得できている状態だ。

※相対的な好意度のことをプリファレンスという。プリファレンスの重要性については『確率思考の戦略論』(2016年、角川書店)で解説されているので、チーム関係者には一読をお勧めする。ちなみにこういう文脈では同書が頻出する。

例えば、いま僕が「CoD WWII プロ対抗戦に出場しているチームといえば?」と訊かれたら、「Rush Gaming、DetonatioN Gaming、SCARZ、あとは……」となる。少し考えて、やっとSunsister、CYCLOPS athlete gaming、Libalent Vertexが出てくる。

しかし、「『スプラトゥーン2』のチームといえば?」と訊かれたら、「Libalent Calamari、GG BOYZ、それから……」という順番になる。また、「『Overwatch』のチームといえば?」と訊かれたら、「CYCLOPS athlete gamingしかない」と答えるだろう。

これらは実際のプレイスキルやリーグのランキング、大会の成績と完全に比例しているわけではなく、僕がそれぞれのチームにどれくらいのプリファレンスを持っているかの表れだ(だから人によって思い浮かべる順番は違うし、同じゲーミングチームに所属していても部門によってプリファレンスは異なる)。

当然、プレイスキルがプリファレンスに与えている影響も大きい。そもそもesportsにおいては、プレイスキルが低いチームには関心が寄せられない可能性が高いだろう。

プリファレンスが1番高いチームが出場している試合は観たいと思うし、グッズを買ってもいいかなと思う。2番のチームは、試合の結果は気になる。3番ともなるとわざわざ試合を観たいとは思わないし、結果もそんなに興味がない。

残酷なようだが、これが現実。だからこそ、売上を伸ばしたいチームはまだ好意を抱いてくれていない人たちのプリファレンスを獲得しなければならない。その結果としてファンが増え、売上が増える。

そして、プリファレンスの獲得で重要なのが、誰にどういう存在として想起してもらうかを決定づけるポジショニングだ。

※ちなみに、最初に想起してもらえる確率を高める活動をブランディングと呼ぶ。なぜ人気やファンが必要なのかは「Rush Gamingに学ぶ、チームや選手のファン作りに役立つ戦略と指標【分析編】」を参考に。上掲書でも、プリファレンスを高めることが売上を高める最も有効な手段と書かれてある。

1番のポジションを狙う

「友達同士が集まってできたチーム」と「大阪府で最も強いチーム」、どちらのほうがプリファレンスを獲得していけるだろうか。その答えがポジショニングにある。

明らかなように、前者のチームはどんな質問に対しても想起する理由が何もないが、後者は「大阪府のチームといえば?」という質問においてかなり高い割合で最初の回答として挙げられるだろう。これは「大阪府」で「最も強い」というポジションを取れているからだ。

このように、高いプリファレンスを獲得するにはどの領域でもいいので1番のポジションを取る必要がある。もちろん、狙うべきはチームがファンにしたい人たちがいる、または興味を持っている領域でないといけない。『Clash Royale』のチームなのに、『Rainbow Six: Siege』が好きな人をターゲットにするのはあまり効果がないだろう(『Shadowverse』プレイヤーを狙うのは、モバイルという共通点から効果がありそうだ)。

では、具体的にどのようにポジショニングすればいいのだろうか。まずは自分とライバルの強みと弱みを知り、自分の魅力を見つけるところからだ(時に弱みが魅力になることもある)。それが分かれば、ライバルたちが弱い部分を見つけ、そこに自分の強さを押しつける。あるいは、まだ誰も手をつけていない領域にいち早く手を出す。

1番手になるためのポジショニングは、原則として「自分の強みをライバルより効果的に活かせる既存の領域を見つける」か、「自分の強みが活きる領域を新しく作る」かの2通りしかない。領域は単一に限らず、複数の領域を組み合わせてもいい。

ゲーム内のあるキャラクターやアイテムを最もうまく使えるプレイヤーというポジションもありうるし(○○全一のような)、いつも最速で新パッチの更新情報を動画で出しているといったポジションもありうる。「最も○○なプレイヤー、チーム」という領域はけっこう見つけやすいが、常にそうであることが大事だ(大規模大会を除けば、1回優勝したことがあるだけではまったく足りない)。

あるいは、意外性も武器になる。例えば、新興のオーガナイザーであるENLIFEがあっという間に目の離せない存在になれたのは、代表の小笠原が『Dota 2』好きの漁師という類稀な領域を占拠できたからだ。漁師から派生し、農家や畜産家との連携も行なわれた。食べ物が嫌いなゲーマーはいないのだから、ターゲティングも完璧だ。こんなオーガナイザーはほかにいない。実家で農業を営んでいるプロゲーマーがいると聞いたことがあるが、それを活かさない手はないだろう。

いまesportsシーンで人気のあるチームは、プレイスキルは当然トップレベルだが、それ以外にもさまざまな領域で1番手になっている。逆に、トップレベルのプレイスキルがありながら、ほかの領域で魅力を作れておらずいまいち人気を獲得できていないチームもある。

ということで、ここからは具体的に1番のポジションを取ってきたチームと選手を見ていこう。

チームの事例

全面展開のDetonatioN Gaming

いまや日本のesportsシーンにおいて強烈な存在感を放つDNG。特に『LoL』部門はライバルに比べて人気が高い。その強さが最たる理由であるのは間違いないが、国内で最初期にプロチームとして確立されたことも大きいだろう。

しかし一方で、他部門ではそこまで大勢のファンがいるわけではない。プレイスキルにしても、『LoL』部門ほど飛び抜けてはいないのだ。それどころか、『Clash Royale』部門はクラロワリーグ アジアのシーズン1で8位(国内最下位)となった。

にもかかわらず、auなど大企業のスポンサードを次々と獲得できているのはなぜか。それはなにより、DNGが国内でesports展開されているタイトルの多くで部門を持っているからにほかならない。『LoL』、『Clash Royale』、『CoD: WWII』、『Shadowverse』という限られた数のチームしか所属できないプロリーグに、ことごとく部門を持っている。さらに、最近では『Rainbow Six: Siege』にも手を広げた。

個々の部門の成績がそこまで振るわなくとも(とはいえどの部門も強いが)、これほど広範囲にタイトルを押さえていれば、それだけDNGの露出機会が多くなる。スポンサー企業にとって大きな魅力だ。

DNGは「日本のesportsシーンで最も多くの部門を有しているチーム」という領域で1番なのだ。これは代表の梅崎伸幸の目標そのものであり、ほかのチームが簡単に真似できることではない。ただ、DNGが最初に注力したのは『LoL』部門であり、この領域での一点突破があったからこそいまの全面展開が可能になっている。

これを後追いしようとしたのがSCARZだが、悲しいかな、部門数もプレイスキルもDNGにも及ばなかったため、いつも2番手となり印象は薄いままだった。

一点突破のSCARZ

しかし、そんなSCARZもいまではとある部門で圧倒的なポジションを獲得できている。『CS:GO』部門のAbsoluteだ。

『CS:GO』の国内シーンは、海外シーンとは真逆に2016年頃から一挙に衰退し、大会が開催されなくなるとともにプロチームもどんどん解散していった。まさにesportsシーンの消滅と言ってもいい状態になったが、そのとき最後の砦として残ったのがAbsoluteだった(もとはRascal Jesterに所属していたが、2017年初頭に部門ごと移籍)。

esportsシーンがなくなったにもかかわらず活動していきたいという精鋭たちがAbsoluteに集結したことで、そこから1年半近く国内では無敗を誇った(久々の大規模大会、GALLERIA GAMEMASTER CUP 2018でついに土がついた)。それどころか、海外大会でも異例の好成績を収め、ファンやプレイヤー、メディアの高い関心を惹きつけたのだ。

Absoluteは紛れもなく国内の『CS:GO』シーンを生き長らえさせ、それどころか新たなる展開の礎を作った。Absoluteがいなければ、GALLERIA GAMEMASTER CUP 2018で『CS:GO』は採用されなかっただろう。

国内のシーンが死んだときに、リスクを取りながら最後の砦となった。このポジショニングがAbsoluteの人気の土台になっている。SCARZとしては、Absoluteのポジショニングをチーム全体にどう波及させるかが課題だろう。

※2018年9月10日:指摘があったので『CoD』でも古豪と呼ばれるほどのチームであることを追記。二点突破ということで。とはいえプリファレンスの観点からはAbsoluteのストーリーは印象的なので活用してもらいたい。

大阪で随一のCYCLOPS athlete gaming

同様に、あるタイトルの最後の砦となったチームがある。CAGの『Overwatch』部門だ。

『Overwatch』はFPSタイトルとしては国内で相当に盛り上がり、『CS:GO』のシーン消滅と相まって2016年のリリース当初から2017年にかけて有象無象のプロチームが誕生していった。大会やイベントは無数に開催され、国内でPS4版のパブリッシャーを務めるスクウェア・エニックスもプロモーションに力を注いだ。TGS 2016ではSIE vs スクウェア・エニックスという企業対抗戦が開催されたほどだ。

ところが、プロリーグであるOverwatch Leagueの構想が発表されて以降、国内のシーンは急速に沈んでいった。日本からチームや選手は出場できず、出場するために数億円という規模の資金が必要という事実が関係者の気持ちを萎えさせていったのだ。世界に繋がる道筋がないのだから、高みを目指すプレイヤーとしてもやりがいがない。特にDeToNatorの国内部門解散は衝撃的だった。

だが、CAGは解散せず、強豪プレイヤーを吸収しながら海外大会に出場し続けた(公式トーナメントのOverwatch Contendersなど。もちろん優勝しても先があるわけではない)。だが、Overwatch World Cupだけは日本の出場枠が認められていた。2018年大会に出場したメンバーは、チームとは関係なく選出されるが、実質的にCAGであった。そしていま、Contendersでも破竹の勢いである。『Overwatch』プレイヤーが、ほとんど唯一と言っていいプロチームのCAGを応援しない理由はない。

もう一つ、CAGを特徴づけるのが大阪に本拠地を持つチームだということ。サイクロプス大阪とも呼ばれていたが、最近はCAGと言えば通じる。日本eスポーツリーグが立ち上がった際に地域チームとして結成され、2017年末に同リーグに参戦していたインフィニティ大阪と合併した。

ビットキャッシュが後ろ盾で、どぐらやGO1など大阪出身の強豪格闘ゲームプレイヤーを獲得。大阪で大会やイベントを開催したり、ゲーミングスペースを設けてファンやプレイヤーに開放したり(oreRevoとの共催大会など)、大阪のチームとして不動のポジションを獲得するに至った。

地域×esportsの流れは加速気味で、つい最近富山県ではTSURUGI TOYAMAが発足した。愛知県にはかねてRAGE Shadowverse Pro Leagueに出場している名古屋OJAがいる。

地域不定や東京中心のプロチームは数多いが、このように「特定の地域」で「1番早い、強い」という領域でポジションを取るのは、いまのesportsシーンでは比較的容易だろう(いきなりの福島県でプロサッカーチームを立ち上げることはできないが、プロゲーミングチームは可能だ)。

実店舗を構えたSengoku Gaming

地域チームといえば、SGも挙げておきたい。僕も以前はあまり関心がなかったのだが、6月から福岡県紫野市にチーム直営のゲーミングカフェ兼ゲーミングハウス、SG.LANをオープンしたということで注目するようになった。

まず、いま福岡県でesportsが熱くなり始めていることを紹介しておきたい。来年のEVO Japanはまさに福岡県で開催されるし、行政が誘致に積極的だし、esports系のスタートアップも立ち上がりつつある。

そんな地域に拠点を置き、直営のゲーミングカフェを経営してファンと交流するなんて! まさに1番のポジションを取りに行っている。「地域」と「実店舗」の領域でポジショニングできているチームはほかになさそうだ(僕の「福岡県のチームといえば」の回答はSGが筆頭である)。

実店舗に関しては、東京都のe-sports cafeがプロチームを結成したことがあるが、うまく運営できず諦めた事例がある。また、ガレリア(サードウェーブ)が東京都秋葉原のGALLERIA Loungeで、スポンサードしているRascal Jesterのメンバーに来店客向けのアドバイザーの仕事をしてもらっていたようだが、これもうまくポジショニングできたわけではない。プロゲーマーにPC購入のアドバイスをしてもらいたいとき、Racal Jesterは想起されないだろう。

プリファレンスの獲得は、ポジションを取るだけでなく認知してもらうことも大切だ。ポジションを取れればメディアやSNSで話題になるので、そこに至るまでに露出機会を増やしてアプローチし続けることが欠かせない。

プレイヤーの事例

ウメハラ

何をか言わんや、である。ウメハラはもともと日本最強の名をほしいままにしたプレイヤーであり、『スト4』での本格的な復帰とEVOでの2連覇、そこから格闘ゲームプレイヤーとして初のプロになるなど、強さと早さで1番のポジションを獲得し続けてきた存在だ。

プレイスキルがライバルたちと比べてやや劣ってきたタイミングで、それまで一切の関心を持っていなかったと思われるストリーミングに乗り出し、軽快なトークでファンを拡大したのはさすがとしか言いようがない(その後、一時期の不調が嘘のように大会で好成績を残すようになった)。esportsシーンにおいて「レジェンド」になるのは、最も強力なポジショニングである。

うゅりる(Crazy Raccoon)

プレイヤーの実例は数多いので誰を取り上げるかは難しいが、これから国内でもesportsシーンが加熱していきそうな『Fortnite』から、うゅりるに注目してみよう。

うゅりるはCrazy Raccoonというチームに所属するプレイヤーで、PS4版『Fortnite』(つまりパッド)で世界一のプレイヤーである。先日1000勝を達成するなど、ちょっと信じがたいプレイスキルを有している。

YouTubeでの生放送はいつも2000~3000人以上が視聴しているし、登録者数も10万人を超えている(Twitterも28000人以上)。『Fortnite』を主軸とするプロゲーマーとしてはトップクラスの人気を誇っているが、早期からこのゲームをやり込んだ結果であろう。

加えて、まだ名前が知られているとは言えないCrazy Raccoonが国内シーンができ上がる前にうゅりるを獲得したのは、ポジショニングとしてはかなりすばらしい一手だったと言える。

フチ(PONOS Sports)

次に紹介するのが、PONOS Sportsに所属するフチ。『Clash Royale』では無課金で日本一決定戦を勝ち上がるなど、プレイスキルは申し分ない。無課金でプロゲーマーになったのはフチだけで、ほかの無課金プレイヤーとっては憧れの存在だ。

しかし、フチが人気の理由はそれ以外の点でもインパクトが強かったからだ。1つは、世界一決定戦で満を持して投入したガーゴイルの群れを相手のファルチェに一掃され、敗北してしまったこと。これにより、本人もネタにするようにファルチェが苦手というキャラになり、チャットや実況で事あるごとにいじられている。

また、クラロワリーグ アジアではなかなか勝利できず辛酸を舐めたのだが、チームメンバーのプレイ中に後ろの席で表情豊かに一喜一憂する姿が画面に映し出されていたことが話題になった。本人は狙っていなかったと思うが、いわば顔芸がおおいに受けたのだ(あと、名前がカタカナのままの理由が「"Fuchi"が"Fuck"を連想させるから」というのは笑った)。

それだけでなく、クラロワリーグ アジア シーズン1で勝利できなかったにもかかわらず、優勝を決める1戦で見事勝利した。劇的としか言いようのない展開に、視聴者も大騒ぎだった。

こうしたほかにないポジションを得られているのだが、どうもそこまでプリファレンスを獲得できてなさそうなのがもったいない。それは同じチームにクラロワの申し子にして神であるみかん坊やがいるからかもしれないが……。

みかん坊やの人気は圧倒的で、それまで5000人ほどの視聴者数だったのに、彼の試合だけ8000人になったという伝説的な一幕もあった。クラロワ界のウメハラ的存在である。

しかし、フチはみかん坊やとは明らかに異なるポジショニングを獲得できている。それをどう活かしていくかは、本人またチームの戦略が重要だ。

岸大河、eyes

最後に、プレイヤーではなくキャスターの2人を紹介しよう。マルチタイトルで活躍する岸大河と、ほぼ『LoL』1本でキャリアを積んできたeyesである。

2人のキャスターとしての歩みはまさに両極端。岸ほど多くのタイトルで実況ができるキャスターはいない。一方で、eyes以上に『LoL』を知り尽くしているキャスターもいない。お互いがお互いのポジションを奪うのはもはや不可能だろう。

岸のポジショニングは、とにかく圧倒的に幅広いタイトルで、深くゲームを理解した実況ができること(国内でけでなく海外のシーンすら追っている)。単一タイトル専門のキャスターでも、なかなか岸に匹敵できる人は少ない。彼はこれから日本で流行りそうなゲームを見出して、先行して知識を得ておくのが得意だ。ゲーム会社としては初めてイベントや番組を行なう際、MCや実況のできる人を探す。そのとき、すでにゲームをプレイしている岸がいるという構図になる。

以前は「困ったときのStanSmith」と言われもしたが、いまや「最初の候補としての岸大河」になっているのだ。ちなみに、同じようなポジショニングで活躍しているOooDaがいるが、彼と岸は以外とタイトルが重なっていない。2人で申し合わせをしているか、お互いに察してかぶらないタイトルを選んでいるのではないだろうか。

eyesはぽつぽつとほかのタイトルでキャスターを務めることはあっても、基本的には『LoL』の人である。その専門性は極めて高く、「『LoL』のキャスターといえば?」という質問には十中八九、eyesという答えが聞かれるだろう。これほど強力なポジショニングもない。

岸の場合は特定のタイトルのキャスターとして名前が挙がることは少ない。ただ、eyesほどに『LoL』だけでポジショニングしすぎると、『LoL』の仕事がなくなったときに困ると思うが……。それはまた別の話だ。

単純な解決策――強い早い高い

さて、ここまでポジショニングの実例を見てきた。皆さんが目指したいポジションは見えてきただろうか。ほかにも人気のあるチームや選手は多いので、どんなポジショニングをしているのか分析してみるのもいいと思う(もちろん、自分自身についても)。

esportsシーンにおいて重要なことは、プレイスキルの高さ――強さが飛び抜けていれば、それだけでポジショニングできるということだ。それと、まだまだ市場・業界が未成熟なので、一番手として取り組める領域が数多く残っている(たぶんまだ40くらいの都道府県で地域チームを作れる)。また、(選手に高額の給与を支払う、実店舗を持つなど)資金を投入することでも領域を確保しやすいので、これも選択肢に入れておいてほしい。

もし単純な解決策を望むなら、これら「強い早い高い」で取り組めばいい。それ以外でポジショニングするとしたら、しっかり環境分析をしてターゲティングを行ない、自身の強みを作りながら認知拡大を図るという地道な活動が不可欠だ(SWOT分析とかSTP分析とか)。

それでうまくいっているチームもある。だが、ふわっとした理由でチームを結成し、方針もなくゆるっとした活動をしているだけでは、いくら戦略を練って施策を行なっても意味はない。戦略も施策も手段でしかない。

だからこそ、自分たちはどういう存在になるのかというポジショニングを明確にしなければならない。ポジショニングができて初めて、そこから戦略や施策を練ることができる。

この記事の内容は当然esportsに限らず何にでも応用できるので、よければ役立ててもらいたい。結局のところ、ニッチでも1番を取らないと、その名前は誰の頭にも浮かびはしないのだ。一貫性と独自性を追求しよう。

※ポジショニングができたあとの具体的な戦略と施策は以下の記事を参考にどうぞ。
あるプレイヤーがesportsチームのRush Gamingファンになるまで【体験編】
商品としてのプロゲーマーをより魅力的にするための戦略と施策
Rush Gamingに学ぶ、チームや選手のファン作りに役立つ戦略と指標【分析編】

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謎部えむ

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コメント3件

DNGのファンが多いのはBF最盛期にbycm取れたのも大きいと思うなー。
SCARZは日本CoD界の先駆者だし、今ならFIFAとウイイレもかなり実績あるから言うほど一点突破って感じでもないかなぁ。
SCARZのCoDはたしかにそうですね、書き忘れてました(あと簡略化しすぎてるのもありますね)。
茨城では国体でウイイレが採用されるなどありますけど、今後茨城で地域×esportsの流れが来るのかドキドキします
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