ゲーミングチームがGAを使ってスポンサーを獲得する最も基本的な方法

eスポーツシーンで活躍する、あるいはこれから活躍していきたいゲーミングチームの皆さん、こんにちは!

この記事では、チーム活動を継続していくうえで欠かせないスポンサーの獲得に繋がる最も基本的なマーケティング方法を紹介します。非常に低コストで必要なツールも少なく、いますぐできるのでぜひ実践してみてください。

※下記はSaaSやメディアなどtoBの事業ではだいたい有効で、基本的手法の1つです。

スポンサー獲得の要点は?

ゲーミングチームにとって、スポンサーとは主に金銭的な投資をしてくれる大切な存在です。スポンサーは基本的には企業なので、チームはtoBの営業活動をする必要があります。つまり、対企業(スポンサー)のビジネスということです。

ですから、スポンサー獲得のために活かすべきはBtoBマーケティングの知見です。これが要点。今回はそのBtoBマーケティングの考え方とともに、Google Analyticsを利用した基本的な手法について解説していきます。

※チームのファン獲得はtoCの範疇になるので、(本質な考え方は共通しますが)戦略や施策が異なります。例えば、この記事など参照してください。

用意するもの

まず、用意するものを確認しましょう。サイトもしくはブログ(以下サイト)と、Google Analytics(以下GA)です。

チーム運営者の方には両方とも当たり前のものだと思いますが、もしまだ用意していないのでしたらぜひとも用意しましょう。スポンサー獲得のためには絶対に必要です。

GAの導入方法については適宜調べてください。

GAを使ったBtoBマーケティングとは

ここで説明する方法を簡単に説明します。

サイトに訪問してくれた人の行動履歴をGAで調べることで所属する企業を特定し、その企業(のeスポーツ担当者?)がどのページに関心を持っているのか、言いかえるとチームの何に関心があるのかを知ることがベースとなります。

その後、企業がどんな課題を抱えているのかを調べ、自分たちのチームがどのようにしてその課題を解決できるのか、あるいはお手伝いできるのかを検討するという順序を踏みます。

自分たちにまったく関心がない企業にアタックするのと、少しは関心を持ってくれている企業にアタックするのと、どちらのほうが成功確率が高いかを考えてみてください。

その関心度を推し量るために、GAという強力な武器を少しでも有用に使えるようになってもらえれば幸いです。

GAでサイト訪問者のことを調べる

それではさっそくGAを開き、やっていきましょう。

まずは左のメニューから「集客」を選び、「チャネル」のページを開きます。そうしたら右側のグラフのすぐ下のメニュー左端にある「その他」を開いて、「ネットワーク ドメイン」を選択しましょう。

すると、ネットワーク ドメイン別の訪問者数などのデータが一覧されます(下図)。

この画面の表ではネットワーク ドメインの欄に「ne.jp」が多いですが、これはプロバイダーを経由してサイトにアクセスしている人が多いからです。個人や専用のドメイン名を持っていない企業からアクセスしていると、「ne.jp」で分類されます。

「ne.jp」の利用者を具体的に知ることはできないので諦めましょう。しかし、国内企業の大半は「企業名.co.jp」を利用していることが大半なので、「co.jp」に絞れば「企業名」を知ることができます。たまたまサイトを訪れただけでそんなに関心は持っていない人かもしれませんが、少なくとも一度はサイトを訪問してくれた人がいる企業は特定できます。

下図のように、右下表のすぐ上にある検索窓に「.co.jp」と入力して検索してください。頭の「.」はあってもなくてもいいです。ちなみに「go.jp」は政府機関、「lg.jp」は地方自治体、「ac.jp」「ed.jp」は教育機関、「or.jp」は非営利法人です。

これで「企業名.co.jp」で絞り込めました(下図)。すでに心湧き立つ状況かもしれませんが落ち着いて。

表の左端に見えているように、どうやらさまざまな企業の人が皆さんのサイトを訪れているようです。知っている企業、お付き合いのある企業、初めて知った企業、競合のチーム(企業)などの名前があるでしょう。

こうした企業の人はどのページを見てくれたのでしょうか。気になりますね。企業が自分たちのどんなところに関心を持ってくれているのかを知るのはとても重要です。

では、この中から気になる企業を選びましょう。つまり、アプローチ先を決めるということです。スポンサーになってもらいたいのか、頭の中にその企業の情報を蓄えたいのか、理由はそれぞれ。

ちなみに、この企業リストはExcelなどでまとめておくといいかもしれません。何かあったとき役立つ……可能性も。

詳しく知りたい企業を決めたら、先ほどの検索窓に入れて検索します。すると、そのドメイン名だけが絞り込まれるので、表の上部にあるメニューから「セカンダリ ディメンション」を選び、「ページ タイトル」を選択します。

さて、念願の情報がぞろぞろと現れてきました。

表の左から2番目の列が、いま調べている企業の人が見てくれたページのタイトルです。これで、どんなことに関心を持ってくれているかが推測できます。右側には行動の履歴がありますが、どのように見ればいいかはそんなに難しくないと思います。

「ユーザー」と「平均セッション時間(滞在時間)」だけでも充分です。GAの右上にある分析対象期間を調整すると、いつ頃から関心を持ってくれていて、いつ頃から訪問数が増えているのか、といった情報も取得できます。チームにとって大きな出来事があった日に訪問してくれたかどうかも分かるでしょう。

もし選手紹介のページを長時間見てくれているなら、スポンサードの意向が高まっている証拠かもしれませんね。企業に訪問する際に選手を連れていくという選択も浮かびます。

でも、ここですぐに「じゃあこの企業にアポを取ろう! メールを送ろう!」と先走ってはいけません。まだ企業の関心事を知っただけ、こちらの武器は揃っていないからです。

とはいえ、GAを使うのはひとまずこれでおしまいです。基本的な使い方ですが、Twitterなどではなかなか分からないことを知れる、非常に強力なツールであることは知ってもらえたのではないでしょうか。

GAは万能ではない

閑話休題。

先にお伝えしたように、この方法は万能ではありません。あくまで、この方法で特定できる企業が自分たちのサイトのどのページをどれくらい見てくれているのかを知れるだけ、と捉えておいてください。訪問してくれた人も、そこまで関心がない可能性があります。

ただ、一切興味を持たれていない企業よりも、わざわざサイトに訪れてくれる企業のほうが話を通しやすそうだとは容易に想像できますよね。

チームとサイトにとっての課題も見えてくると思います。例えば、サイトにはチームの情報が充分に掲載されているでしょうか。情報が多ければ多いほど、関心を持ってくれている企業はいろんなページを長く見てくれます。

チームの理念や歴史、実績、選手情報、企業にとって分かりやすいデータ、あるいはブログなどでニュースや選手の紹介――こうしたページが充実していると、企業の人の関心事をより深掘りして知ることができます

サイトへのアクセスを増やすのも大事です。チームや選手のSNSアカウントから飛べるようになっているかどうか、いま一度確認してみてください。

そうそう、これらの作業を自動化し、どの企業がどれくらいの関心を持っていて、直前の行動でどの程度関心度が変わったのかをリアルタイムでスコア化して教えてくれるマーケティングオートメーションという仕組みがあり、そのためのツールが各社から提供されています。

SATORIやMarketoなどいくつかありますが、見込み顧客が数百以上はないと価格の分を有効活用できません。見込み顧客が数社程度であればGAでもそれなりのことができると思います。

※Marketoのサイトを訪問してコンテンツをじっくり読み込み、資料などをダウンロードしたりメルマガを購読したりすると、そのうちツール導入を案内するメールや電話があるでしょう。上記で説明したのと同じ原理を実践しているわけですが、体験すると面白いと思います。

企業がどんな課題を抱えているかを知る

さあ、より深く知りたい企業が特定できたので、次はその企業がいまどんな課題を抱えているのかを調べましょう。その課題を自分たちがどのように解決できるのかを示すことが、スポンサー獲得の重要な道筋です。

企業の情報を知るには、当然公式サイトを見ます。隅から隅まで見ましょう。企業の理念とチームの理念はどれくらい合致しているでしょうか。

上場している企業であれば、IR情報が充実しているはずです。決算資料は宝の山! 課題が直接的に書かれていることも多いので、じっくりと精読します(決算書の読み方も勉強すると面白いです)。

その企業がオウンドメディアやブログを開設しているなら、直近の記事を読み込みましょう。中の人がウェブメディアでインタビューされているかもしれないので、「企業名+インタビュー」で検索して記事を見つけるのも有用です。

もちろん、企業や社長・社員のSNSアカウントがあればそれもチェック。普段のツイートからも、その企業の課題がうっすらと見えてくることがあります(新商品の告知をしていれば、訴求したい度合いや訴求したい人たちを推測できます)。

メルマガを発行しているなら必ず購読します。メルマガに掲載される情報は企業が購読者に知ってほしいことばかり。企業が何をしたがっているかを想像するわけです。メルマガの一番上に載っている情報が最推し情報です。

それと、ECや実店舗を持っているなら、ぜひ品揃えやキャンペーンをチェックしましょう。企業として推したい商品が分かるかもしれませんし、売れ筋の商品と自分たちのシナジーを検証できるかもしれません。

とりあえず、企業について調べるときの情報源をまとめます(ほかにもありますし、いろいろなツールを使えばもっと情報は充実します)。

企業サイト
決算資料
オウンドメディア、ブログ
インタビュー記事
SNS
メルマガ
EC、実店舗

このようにして企業の課題に関する情報を収集し、分析できれば、いよいよアタックを仕掛けるための武器が揃ってきたと言えます。

自分たちはその課題をどう解決できるか

そしてなにより、自分たちがその課題をいかに解決できるかを検討することが重要です。大なり小なり、企業は何かしらの課題を抱えています。それを解決するために、自分たちのチームはどのように貢献できるのでしょうか

チームとしてのフォロワーが大勢いるから、その人たちに訴求できる。
YouTubeでファンに商品の使い方を直接見せられる。
大会に出場すれば自分たちのファン以外にもブランドをアピールできる。

このほか、チームによって長所を活かしたソリューションを提供できると思います。当然、自分たちの強みが何かをしっかり分析して理解しておくことが肝要です。できるだけ数字で整理しておきましょう。

チームや選手のSNSアカウントを合わせたら、どれくらいのフォロワーがいるのか?
YouTubeやTwitchの生放送でスーパーチャットやサブスクをしてくれるファンがどれくらいいるのか?
優勝を目指している大会はどれくらいの人に見られるのか? 活躍するとどんな反響を得られるのか?

いまはすぐに貢献できなくても、自分たちのポテンシャルを示すことで興味を持ってもらえるかもしれません。

どのようにお近づきになればいいか

ということで、企業の課題を解決策が出揃いました。けれども、ここで焦ってはいけません。いきなり営業メールを送るよりも、自分たちで商品やサービスを利用するところから始めましょう。だって、スポンサーの商品を好きじゃないと他人におすすめなんてできないですからね。

もし商品が合わないと感じたら、無理にアプローチしてはいけません。その状態で契約が結べたとしても悲しみしか生まれませんから。相手企業が興味を持ってくれていて、自分たちもその企業の理念に共感し、さらに商品に興味がある。その状態でこそアプローチすべきです。

最初はメールで連絡するのが妥当でしょう。自分たちの強みがいかに相手企業の課題を解決しうるか、どんな成果をもたらしうるか、丁寧に説明します。興味を持ってくれたら、自分たちに関するデータも提供しましょう。

そうすると、対面で話す機会をもらえるかもしれません。そこで注意することは、相手はまだ全然契約しようとは思っていないということ。相手を口説くテクニックはいろいろあるので試してみてください。

プレゼン方法や資料の作成方法まで説明すると長くなりすぎるので、それはまた別の機会に。ただ一言言うならば、データを揃えて愛を語れ

ユーグレナの決算資料を読む

最後に企業の課題を知る例として、PUBG JAPAN SERIESに協賛したユーグレナの決算資料を簡単に読んでみましょう。5月14日に公開されたものです。

実は「2019年9月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」と「2019年9月期第2四半期決算説明」に、なぜユーグレナがPJSに「SPURT」ブランドで協賛したのかを推測できることが書かれています。

当第2四半期連結累計期間は、広告宣伝効率の見直しを図りながら定期顧客拡大に努め(以下略)
2019年9月期につきましては、ヘルスケア事業においては、主に直販事業において広告投資の効率性を重視する方針を維持(以下略)
2019年9月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」より

2019年9月期第2四半期決算説明」より

詳しい分析・推測はお任せしますが、繰り返すように決算資料は宝の山なのです。

藪から棒に企業が当惑するようなメールを送りつけてしまわないよう、BtoBマーケティングの基本を押さえておきましょう。そのほうが、スポンサーを獲得できる可能性が高まります。

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謎部えむ

eスポーツスリンガーとして日本のeスポーツ業界にまつわるあれこれを取材・分析しています。マガジン「happy esports」の詳細と連絡先は↓のプロフィールをどうぞ。「焚き火を囲って」はジャンル不定で唐突です。「happy game note」はおすすめゲーム系記事まとめです。

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