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相手にとって有益な意見を言ったほうがロマンティック

自分の考えや分析を記事に書くと、いろんな意見に見舞われることがある。その意見が自説や記事内容にとって有益であることは悲しいかな、あまり多くない。クソリプというやつだ。

僕としては、せっかく意見をもらえるなら自分にとって有益なもの、つまり議論をよりよい方向に向かわせるものであってほしいと思う。もちろん感想も嬉しい。

また、記事を読んで意見を言う側にしても、自分の意見によって相手が提示した議論をよい方向に訂正・補強できることは、なかなかロマンティックな体験で、嬉しいことではないだろうか。

では、目の前にある議論に対して有益な意見を言うには、僕たちはどうしたらいいのか。ありがちなダメ意見の仕方と、有益な意見の仕方を簡単に整理してみよう。これらを押さえるだけでも充分だと思う。

もちろん単なる感想であれば、特に気にせず伝えたほうがいいだろう。

✕考え方や個人への攻撃

意見を言う際に、相手の議論ではなく人格を対象にしてしまうと、その時点で有益さには繋がらない。それどころか相手を傷つけることになる。

つい書いている人自身や発言している人自身について物申したくなってしまうことがあるかもしれないが、まず書かれてあることに対してだけ考えるようにしなければならない。そのうえで、相手の立場や主義主張を織り込んでいくのはいいことだ。

ただし、「○○という立場だからダメ」というのは人格攻撃と同じだ。そうではなく議論を発展させるために意見を言おう。

✕私はこう思う

記事を読んでいて自分と違う考え方に出会うと、つい「私はこう思う」と言いたくなることがある。しかし、相手にとっては「貴重なご意見ありがとうございます」と返すしかないので、議論にとって有益な意見とは言えない。

感想として伝えるなら害はないし、喜んでもらえることが多い。そのときわざわざ喧嘩腰になる必要はない。

✕私はこう思うので、あなたの考えは間違っている

「私はこう思う」の発展版。つい自分の考えこそ正しいと思い込んでしまいがちだが、相手の意見もこちらの意見と同等の価値を持っているので、間違っていると断じることはできない。そして相手はこう言われたところでどうしようもない。

上記2つのダメ意見に特徴的なのは、持論を主張するために相手の議論を利用していることだ。それを言われた相手はいったいどう返せばいいのか? 持論を主張したいなら、同じテーマでnoteに書こう。

くれぐれも気に入らない相手や議論を打ち負かそうと思って意見を言ってはいけない。議論を発展させよう。

×これを書いてないからダメだ

議論されているテーマにおいて、自分が思い入れのある、よく知っていることが書かれていないとそれだけでダメだと決めつけてしまいがちだ。

でも、全体の主張において重要かどうかで言うべきかを判断してほしい。相手は分かっているうえであえて言及していないのかもしれない。

相手の知識や調査の不足が原因である可能性もあるが、なぜ書かれていないのか、落ち着いて考えてみよう。そして指摘するときも、さり気なく訊いてみるのが大事だ。喧嘩腰に言う必要はない。

○こうも考えられるが、あなたはどう考えるか

議論の筋道は1つではないことがあり、提示された結論とは別の考えに至れる可能性もあるだろう。それを相手に指摘するのは有益で、それについてどう考えるかと問題提起するのは議論の発展におおいに役立つ。

ただし、言葉の定義や前提の内容が自分と相手で異なる場合、そこに立脚して言う意見は有益にはなりづらい。先に書いたように、まずは相手の俎上に立って議論を検討することが大事だ。

○事実やデータが間違っている

当然、前提や言葉の定義が明らかに妥当でなかったり、議論の柱になっている事実やデータが間違っていたりすれば、遠慮なく指摘するべきだ。

ここで気をつけたいのは、「私はこう思う」という個人的な印象や疑問によって書かれてある事実やデータを疑い、指摘すること。意見を言う側にそれなりに確固とした論拠がなければ、指摘しないほうが無難だろう。まがいなりにも提示されているデータに対して肌感覚でぶつかるのは自殺行為だ。

もし相手がデータやソースを必要する事柄に言及しながらそれを示さず、また「経験談や体感」といったような注釈をつけていなかったら、そこを指摘するのも有益な意見になる。

○論理的におかしい

事実やデータが正しくても、議論の筋道や結論がおかしいこともある。例えば、「ゲームを長時間プレイすることは脳に悪影響がある、脳は健康に保つほうがいい、だからゲームを規制しよう」という結論は妥当ではない。こういうときは、どこがどうおかしいのかを伝えよう。

論理的におかしい場合は結論ありきで書いていることが多いので、本人もどこがおかしいのか検証しきれていないのだろう。

まとめ:打ち負かそうとしたらダメ

こんなの当たり前すぎる——そう思った人もいると思う。そのとおり。でも、できていない人が多いんだなこれが。いい議論の仕方は探せばほかにもいっぱい出てくるので、気になる人は調べよう。意見のぶつかり合いは傷つけ合うよりロマンティックなほうがいい。

総じて言えるのは、相手を打ち負かそうとしたらダメだということ。そうではなく、まな板の鯉のごとく、相手が用意した俎上に乗って冷静に議論を検証し、発展させられる有益な意見を伝えよう。結果として議論が撤回される場合もあるだろう。

そしてなにより、相手の考えを尊重すること。尊重できない考えもあるかもしれないが、それでも相手がなぜその考えに至ったのかを分析することはできる。どんな意見や議論に対しても、まずは相手の考え方やポジションに立って検証することをお勧めする。

言うまでもなく、最初から考えを変える気のない人もいる。そんなのは相手にするだけ無駄だが、書いている側としてもまっとうな批判とクソリプや中傷を区別し、議論に対しての意見が個人や人格への攻撃でないことを理解しておかないといけない。

わりと多くの人が冷静に受け入れてくれる……と信じている。

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