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浅いと思われない記事を書くのに必要なことは「なぜ」の深掘り

別に特定の記事を指して浅いと言うつもりはないが、タイトルで興味を惹かれてせっかく読んだのに「何だこれ」と肩透かしを喰らうような記事はけっこう多い。

もちろん、この言い分はブーメランとなって僕を突き刺す場合もある。なので、今回は自戒を込めた一般論として「なぜ記事の内容を浅いと感じるのか」を考察し、深い内容を書くための方法を考えてみよう。

深い記事は読み手により大きな利益をもたらす

そもそもなぜ浅い記事がダメで、深い記事のほうがいいのか。

もし自分の満足のためだけに記事を書くなら、内容はどうあってもいい。しかし、読み手に利益をもたらしたいなら、読み手に満足感(読んでよかった、得した感)を得てもらわなければならない。その満足感は、記事内容の深さに相関していると考えられる。

ここで言う深さとは、主題を語るべき理由が十全に説明されていて、言及すべき事柄に充分に触れていて、丁寧に段階を追った論理が展開されており、納得できる妥当な結論が導かれている状態を指す。浅さはその逆である。

ということで、読み手により大きな利益をもたらして満足してもらうためには、深い記事を書かないといけないことになる。なので、一般論としては浅い記事より深い記事のほうがいいわけだ。僕もできれば自分のためになる深い記事を読みたい。

※浅い記事のほうが満足感の大きい読み手はいるのだろうか?(当然、記事の浅深は文章量の多少とは関係ない)

浅い記事には「なぜ」が足りない

浅い記事と深い記事の違いを明らかにしたことで、浅い記事に何が足りないのかを明示することができる。足りないのは「なぜ」だ。

第一に、浅い記事はその存在意義をきちんと与えられていない。

どんな記事を書くときでも、「なぜその記事を書くべきか」という問いが発生する。世の中に不足している情報を補うためか、あるいは世に出回る間違った情報を正すためか。

いずれにせよ、記事を書こうと思い立った段階で「なぜ書くべきなのか」を考えておかないと、記事の存在意義が曖昧になる。そうなると、読み手は自分がその記事を読むべき理由を見つけられない。

たとえ好奇心が先行して読んでくれたとしても、自分にとってどんな読むべき理由があるのか分からなかったら、満足感は小さいだろう。

第二に、浅い記事は主題に対する「なぜ」をしっかり追求できていない。以前僕が書いた「キッズが暴れまくる大会番組のチャット欄、どうやったら成熟させていけるのか」という記事を例に、「なぜ」を追求してみよう。

テーマ:大会番組のチャット欄が荒れないようにしたい

Q1.なぜ荒れないようにしたいのか?
A1.新規視聴者やスポンサーからの評判が悪くなるから。

Q2.なぜチャット欄が荒れると評判が悪くなるのか?
A2.新規視聴者にとって居心地が悪く、スポンサーのイメージを毀損するから。

Q3.なぜ新規視聴者やスポンサーが必要なのか?
A3.継続的に大会を開催し大会番組を放送するため。

Q4.なぜ継続的な大会や大会番組が必要なのか?
A4.プレイヤーの増加や定着、満足度向上のため。

Q5.なぜプレイヤーの増加や定着、満足度向上が必要なのか?
A5.ゲームの売上を高めるため。

ここまで深掘りするのはなかなかしんどいが、「大会番組のチャット欄を成熟させるべき理由」は理解してもらえたと思う。

以上のように、浅い記事には「なぜ」が足りていないのである。前提がおかしかったり根拠が不充分だったり論理がめちゃくちゃだったりすることもあるが、それらは「なぜ」を深掘りしておくことで避けられる(気づける)問題だ。

「なぜ」を5回繰り返す「5 Whys」

さて、それでは「なぜ」不足を解消し、深い記事を書くためのフレームワークを紹介する。

1つ目は、すでに上記で実践したように「なぜ」を5回繰り返す手法、「5 Whys」だ。記事の主題や設定した問題について深く考えられるフレームワークで、noteのCXOである深津貴之さんも紹介している

浅瀬でちゃぷちゃぷしている記事はたいてい1度も「なぜ」を尋ねていなかったり、1回しか掘っていなかったりする場合が多い。どんな記事を書く場合でも、ぜひ「5 Whys」を習得して「なぜ」を問う習慣をつけたい。

※特にインタビューでは浅さが顕著に表れる。インタビュイーの回答を深掘りしない記事がどれほど多いことか。というかそもそも、浅いインタビュー記事はインタビュアーの熟慮が足りない。質問を考えるときも「5 Whys」を使ってほしい。

正しい回答を得るための「4種類のなぜ」

2つ目は「5 Whys」を利用する際、正しい回答を得るために必要なフレームワークで、「4種類のなぜ」という(さっき僕が作った)。一口に「なぜ」と言っても、それがどんなことを尋ねているのかは定かでない。だから、「4種類のなぜ」を理解して正しい質問をしなくてはいけない。

もしかしたらほかに適した分類方法があるかもしれないが、ひとまず「なぜ」の意味には損得、相関、構造、習慣という4種類がある。以下で例を示す。

「損得のなぜ」は利益や損失の有無を問う。
例Q.なぜ早起きして読書をするのか?
   =早起きして読書をするとどんないいことがあるのか?
例A.時間を有効活用することで、仕事やキャリアに役立つ知識を得られる。

「相関のなぜ」は因果を含む関係性を問う。
例Q.なぜ暑い日はビールが売れるのか?
   =暑い日とビールが売れることにはどういう関係があるのか?
例A.ビールはキンキンに冷やすとおいしいから、体感温度の上がる暑い日に売れる。

「構造のなぜ」は仕組みや論理を問う。
例Q.なぜ太陽は東から昇るのか?
   =太陽が東から昇るのはどんな仕組みなのか?
例A.静止している太陽に対して地球が西から東に自転しているので、東から明るくなる。だから太陽が東から昇っているように見える。

「習慣のなぜ」は伝統性や歴史性を問う(かつて存在した損得、相関、構造の意味が何らかの理由で薄まったにもかかわらず残っている物事に対して)。
例Q.なぜ現代のキーボードはQWERTY配列が多いのか?
   =現代のキーボードがQWERTY配列になったのはどんな歴史的背景があるのか?
例A.長いのでこの記事を見てほしい

※「習慣のなぜ」は損得、相関、構造で当てはまらないときに使ってみるといいと思う。

どの例Qにしても、「4種類のなぜ」をすべて問うことはできる。しかし、「太陽が東から昇ることにどんないいことがあるのか?」と問うのは無意味だ。自分がどんな意味の「なぜ」を問おうとしているのかを理解しておくことは、正しい回答を得るために不可欠である。

上述の「テーマ:大会番組のチャット欄が荒れないようにしたい」の例でも各Qを「なぜ」を使わずに言いかえられるので、試してみてほしい。

深い意味がありそうな気がする記事に注意

本記事では深さを簡単に説明したが、「なんだか深い意味がありそうな気がする記事」には気をつけたい。そういう記事ではたいてい根拠薄弱かつ論理が抜き去られており、「AならばB、BならばC、よってAならばC」という論理を表に出さず、読み手にいきなり「AならばP」と言って深さを錯覚させようとしている。

本当にAとPを繋ぐ論理があるならまだましだが、たいていは何もない。なんだか深い意味がありそうな気がするだけだ(いつ何時も忠実に論理を辿らないといけないわけではない。僕の記事がいつも回りくどいのはただの書き癖だし、僕はこういう記事を読みたい)。

書き始める前、取材やインタビューをする前に「なぜ」を掘り下げれば、記事はおのずと深みを増す。あっさり深みとこってり深み、どちらにするかは書き手や読み手の好み次第だが、次に記事を書くときはいつもより深く考えてみてはいかがだろうか。

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