海岸

あの枝に海が触れたら帰るから

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詩にならない人などいない海岸を通り雨いま横切っている

一輪を購うことのうぬぼれに多分あなたもお気づきでしょう

どうでもいいことほど遺る記憶には打ち棄てられたスペースシャトル

思い出す後ろ姿がきみじゃなくバスのそれとは笑えもしない

アスファルト這うビニールの立てる音おおきくなっていくんだ不安

渚にもかつて巨竜が暮らしてて/やだな、失意はきみだけのもの

窓台とベッドの高さがおなじこと人は規則を愛するけもの

生きていてあと十回はこの季節 落下速度は綿も小犬も

届かないものを哀しむエイプリルフールは寝ているうちに終わった

離れれば抽象してくだれもかも僕も忘れるほどの遠泳


(4月、まだ足は着く)

「蝉時雨」みたいな言葉を発明するまで続けるよ。