貞操逆転世界の童貞辺境領主騎士

タイトルだけ見たら粗製乱造の転生ハーレムなろうかな?と思いますよね。私も店頭でそういうやつかな?と思って、別にそういうの嫌いではないのでたまたま手に取ったんですが、読んでみたらけっこうハードな騎士道物語でした。

2023/3末現在で2巻まで刊行中ですが、先が気になってカクヨムのWeb掲載版を全部読んでしまいました。

主人公のファウスト・フォン・ポリドロは現代地球から本作品の舞台である謎の?中世風世界に転生した者であり、王国の片隅、戦に強い隣国と接する小さな土地を治める領主騎士。その世界は男女の出生割合が1:9で、それゆえ女が強く、男は守られる存在です。小柄で美しい男がもてはやされ、複数の女に共有されて種を残すだけの役割。そんな世界でファウストはなぜか身長2mを超える筋骨隆々の大男に育ってしまった。しかも幼少からの母の教育で、王国最強といわれるほど強くなってしまった。

そんな異端の男ファウストが、中世的封建社会において己の誉れに従い騎士道を貫く物語。名誉を守るためには命を懸けるし、名誉を汚されたら殺すしかない、そういう世界です。ここで現代からの転生者というのがスパイスとなっていて、現代人の倫理観も併せ持っているので、その世界の人間から見ると信じられないような言動をすることもあるわけですが、それが逆に魅力的に描かれていてカッコイイんです。

物語は神聖ローマ帝国とそれを取り巻く世界情勢をモチーフにした軍記ものとしても読み応えがあります。歴史IF?いや仮想戦記物ってやつですかね。

あと個人的に共感する点としてこの男、オッパイ星人です。でもそういう方面でおいしいことになる展開は残念ながらありません…。物語上はタイトルの通り童貞を貫きます。そのへんも潔くて良い。
そっちの要素は挿絵だけで楽しむレベル。書籍版ではおまけのIFストーリーで少しだけ補完されます。

失礼ながら(1巻を手に取った時点では)有名作家でも有名絵師でもないので「私は好きだけど続きは出ないかもなぁ」と思っていたのですが、「次にくるライトノベル大賞」で2位受賞するなどけっこう評価されているようで、コミカライズ企画も進んでいる模様。続刊に期待です。(続刊してほしいのでこんな記事まで書いてしまいました)


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