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映画感想:2021年に見た映画29作品

 皆様ごきげんよう。かなりお久しぶりでもある。
 継続ってのは大事なもので、Noteから一度離れるとすっかり記事を書くことから離れてしまった。逆噴射小説大賞にはかろうじて参加したけれど。小説とイラストを書くことに時間を費やしていた。

 さて今年の映画のネタバレ一言感想メモだ。箇条書きだったりするのを単にベタッと貼ったりするものだ。去年のはこれ。

 映画メモをつけてから194作品みたことになる。
 今年はリングフィットアドベンチャーをやり始めたのと映画館に行く機会が激減したのが大きかった。リングフィットアドベンチャーしながらアニメ作品を見たりすることはよくあるんだが、運動時間の都合上2時間の作品は非常に相性が悪かった。だから30分枠のアニメなどに重きが偏ったかな。

 さて注釈だ。

 今回も感想メモの都合上◆ネタバレ多重注意◆なので気をつけよう。DVDや劇場やアマゾンプライムで見たのはまちまちなのでそこは自分で調べてね!
 感想の長さはまちまちだ。長い奴はそれだけ語りたかったほど面白いし短かった奴はそれなりの感銘だった、ってことで。

 そして特にオススメの面白かった作品には☆印をつけている。見てください。


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1:ザ・ファブル

漫画から映画化になった作品。凄腕の殺し屋が身を潜めるため、大阪で大人しく1年間過ごす。普通に生きる、殺しをしない。それを条件に過ごすはずだった殺し屋ファブルは「助けられたお礼」にと、とある事件に巻き込まれた女を助けようとする。
良くも悪くも凡庸なアウトロー&ヤクザもの。ファブルである佐藤のキャラクターを活かそうとは頑張っている。原作との差異がどれだけあるか気になるが2時間でほんわりと終わった作品。
星3ってところで今年の映画感想の基準にしておこう。至って標準。

2:1917 命をかけた伝令

第一次世界大戦、1917年の朝。イギリス兵のスコフィールドとブレイクは重要な任務を命じられる。ドイツ軍との最前線の戦場にいる1600人の軍に作戦中止の命令を届けること。ドイツ軍の罠であり、作戦中止しなければ全員が死んでしまう。タイムリミットまでに間に合うのか。
ストーリーは極めて単純で肩透かしでもあったが、2時間の尺をほぼ2カットで撮ってしまうという狂気的な技術を駆使した実験的な作品でもあった。二人の兵士の道中をずっと目を離さず連続的に撮影し続けているために臨場感や緊張感を体感できるのは非常に良い。
ただ同時に1カット撮影という恐ろしい手法を使っている弊害でもあるが、空間が非常に狭く感じてしまったように思う。広大な戦場を駆けてたどり着かなければならない作品であるのに、戦場の空間が狭く短い距離のように思ってしまう。昼から夜への時間経過も「気絶」を用いなければならなかった脚本の苦肉の策もあったように、中々に難しい題材の作品であったと思う。

3:シティーハンター 史上最香の作戦

凄腕のバウンティハンター、冴羽獠。XYZの暗号でどんな仕事をやり遂げる男。嗅げば人をたちまち虜にする「エンジェルの香水」を巡って一騒動が起きる。48時間以内に香水と解毒薬を手に入れよ。
さてどれほどの作品かと思ったが、下ネタがちょっと強すぎて格好良さが足りない印象。ギャグに寄りすぎて退屈な作品。最後のアクションシーンはそれなりにかっこよかったけれど、いちいち話に茶々を入れすぎたりふざけすぎて食傷。
EDの繋げ方だけは完璧。期待していた分だけ損をした気分かもしれない。それとも原作も大概なのかな?

4:シン・エヴァンゲリオン ☆


エヴァンゲリオン最終作。渚カヲルの死を目前にして精神が崩壊したシンジがアスカに連れられて辿り着いた村は第三村。大人になった鈴原トウジ、相田ケンスケ、委員長のヒカリなどがいた。わずかに残されたその村で碇シンジは戦う理由を再び見つけ出す。最後の決戦は旧南極。ネルフによる人類補完計画、フォースインパクトを阻止して碇シンジは願いを叶えることができるのか。
良くも悪くも庵野秀明の癖が出まくった怪作。シン・ゴジラのほうがまだエンターテイメント。それでもエヴァを終わらせたのは意味がある。90年代以降のアニメーションに絶大な影響を与えた作品が、これほど対比構造を活かした綺麗な終わり方を迎えるとは思わなかった。

4:フォーリナー:復讐者

 ​舞台は現代ロンドン。娘を突然の爆弾事故で殺された中国人の男クワンは、犯人を探すためにアイルランド副首相であり「UDI党員」だったリアムを脅す。事件を起こした犯人を突き止めろというクワンの要求を無下にするリアムに対し爆弾攻撃を行う。クアンはアメリカ陸軍特殊部隊元隊員でベトナム戦争参加者で、戦闘のスペシャリストだった。彼の執拗な復讐劇が始まる。二度目の爆破事件が起き、裏切り者の正体も判明する。事件が佳境へ向かう中、クワンも犯人一味の名前を知る。クワンは単独で犯人一味を殺害し復讐を果たす。
複雑な構造ながらも「悪人」が因果応報を受ける様が楽しめる王道の復讐劇の要素も含まれている。主演のクワンがジャッキー・チェンでよりダークな役柄を演じているのも面白い。

5:チョコレートドーナツ

1970年代アメリカのニューヨーク、ゲイの男性カップルが育児放棄された障害児マルコを育てるが、司法や世間から奇異と偏見の目で見られ、マルコと引き離されてしまう物語。
実話を元にした物語であり、その結末は悲惨。主人公らの無償の愛とは対立的に、実情を解さず偏見で判断する周囲や法律の無情さに苛立たしさも覚える。こういう作品の意義とは、より多くの人が見て偏見を少なくすることにあるか。

6:ザ・ドア

マッツ・ミケルセン主演のドイツ映画。娘を事故でなくして意気消沈する父親。5年の月日が経った雪の日、彼は洞窟とドアを見つける。扉をくぐった先は5年前の世界で、本来死ぬはずだった娘を救った。しかしその直後不慮の事故により5年前の世界の自分を殺してしまう。彼は5年前の自分を庭に埋めて自分に成りすます。SFとサイコホラーの融合。マッツ・ミケルセンが好きなら楽しめるかな

7:透明人間

女主人公は人格に問題のある天才発明家の弟と喧嘩別れをした。ある日届いた遺書には遺産の相続が記されていて、彼女は突然大金持ちに。しかし同時に彼女の回りで異常な出来事が起きる。まるで透明人間がいるような現象であるが、彼女の恐怖は誰にも信じてもらえなかった。次第に追い詰められていく彼女に、不可解な現象はさらに彼女を襲い出す。
 透明人間もののホラーやサスペンスは多々あれどこちらは若干違う方向から描いた作品でもあったか。ただ肩透かしというか染み入る何かもたりなかった。

8:アクアマン ☆


灯台守の父とアトランティスの王女の母との間に生まれたアーサー、アクアマン。水中の呼吸、屈強な肉体を持つ彼は心優しくも逞しい漢へと成長する。海底のアトランティスからの総攻撃を止めるべく、彼は王位継承権の争いに巻き込まれる。
映像美、脚本のスマートさ、王道のストーリーを両立。水中描写と戦闘も最高。ファンタジーのような伝説とアトランティスのSF描写、大冒険!!
劇場で見たかったかも知れない。

9:AI崩壊


舞台は現代日本。2030年、日本は超高度な人工学習AI「のぞみ」によって個人の健康状態を完全に統括しより発展した医療制度を実現できていた。開発者とその娘が日本への帰国を果たすと、AI「のぞみ」は暴走を起こす。そして主人公である開発者がテロの首謀者へと仕立て上げられてしまう。娘は極寒のAI中枢ルームに閉じ込められ、全国民の生命がAIによって牛耳られている。果たして真犯人は誰なのか、この危機を乗り越えられるのか。
実にツッコミどころ満載の「撮りたいシーンのために整合性を犠牲にした作品」であった。医療AIが暴走してるのに警察は早速導入スタートした監視AIで主人公を探そうとするわ、AIに頼らないアナログ刑事が頑張って活躍するわ、監視AIを逆ハックすることで警察をだまくらかすわ、最後の犯人の正体暴きも「全世界に放送した」の典型的パターンだわ。
あらゆることが想定できてしまうつまらない作品。

10:ランペイジ 巨獣大乱闘


宇宙ステーションでの実験が事件の発端。DNAの書き換えで最強の生物を作り出そうとした結果凶暴化し、宇宙ステーションは爆発。ステーションから持ち出されたウイルスは大気圏を突き抜けて地球へ落下し、狼、ゴリラ、ワニに感染。それぞれの生物が超巨大化し人類を脅かす。白いゴリラジョージを保護し育てている男は彼を救うために決死の大乱闘に飛び込むことになる。
わかりやすいハリウッド映画の巨大生物パニックB級映画。娯楽映画として見るならその役割は十二分に果たせると思うが、あまりにも典型的なハリウッド映画であるためオチもすんなり予想できてしまうので、意外性はゼロ。

11:閃光のハサウェイ ☆


宇宙暦105年、逆襲のシャアから10年後。地球連邦は腐敗して宇宙との分断はさらに進んでいた。そんな中でテロ組織マフティー・ナビーユ・エリンが反旗を翻す。そしてマフティー・ナビーユ・エリンの正体は、あのブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアであった。
ダバオを舞台に繰り広げられるマフティーのテロ、それを決起するハサウェイの苦悩を描いた作品。ハリウッド版ガンダムと言っても良いくらいに渋い作り。いい。
後日の記述だがアマゾンプライムにも来てしまった。これは必見の作品。作品レビューを書こうとしているがしばらく滞らせてしまっている。いずれお見せできればいいんだけれど。

12:光のお父さん


仕事一筋だった父親が突然会社をやめて自宅でテレビを見ている。息子はそんな父の本音を知りたいと、FF14に誘う。自分の素性を隠して父を一人前の冒険者になるまで共に戦う計画が始まる。
 星印はつけていないものの感慨深いものを感じる映画だった。ゲーム世界と現実世界との奇妙な繋がりや人間の絆などが密接に関わってくる描写はとても興味深かった。この作品が実話だというのも面白い

 が、この映画を見始めたキッカケが「主人公でもある作者が父親より先に死去してしまった」というのが実に……惜しまれる。

13:シン・エヴァンゲリオン ☆

名作。
なんとアマゾンプライムでも来てしまったので見た衝動で1作カウントにしてしまった。見ろ。絶対見ろ。

14:IT THE END

デリーには呪いが住まう。少年少女たちはペニーワイズを退けて、再び27年が経過した。大人になった彼らルーザーズは一堂に会するが、仲間の一人スタンリーは自殺していた。それ、との戦いが再び始まる。スティーブン・キング特有の怪物の概念、宇宙からの飛来物が呪いとして定着する。人々の恐怖を汲み取る化け物というアイディアは非常に面白い。
が、作品としては若干イマイチなところもあるかな。2時間40分という非常に長い映画でありながら、子供の頃の恐怖を思い返すシーンは前作の使いまわし。ホラー映画はパニック映画に転じてしまったような期待ハズレの感覚。
1作目は劇場に見に行ったが、この内容だったら見に行かなくてもよかったかもしれないな。

15:デジャブ

ニューオーリンズのミシシッピ川のフェリーが爆弾テロによって爆破され543名が死亡した。それと同時にクレアという女性の水死体が発見される。奇妙なことにダグは赤の他人であるはずのクレアからメッセージと電話番号を受け取っていた。
ダグは有能さを認められ新しい捜査チームへの強力を求められる。スノウホワイトというハイテクシステムで4日前の映像を見て、犯人への手がかりを探すというのであった。スノウホワイトは過去の光景をリアルタイムに見ることができるタイムマシンだった。
失ったものを取り戻そうと過去への干渉を試みる、SFとサスペンスものの融合。本来死ぬはずだったクレアが死ななかった時点で未来が大きく変化するのでは? 序盤の伏線が終盤に一気に回収されるのは爽快。

16:アド・アストラ

宇宙時代。ある日海王星からの超広範囲電磁波爆発、サージによって太陽系に電波障害が引き起こされる。主人公ロイもそのサージに巻き込まれ宇宙ステーションから地表に落下するハプニングに見舞われるも生き残った。サージの原因は極秘裏に海王星に向かったロイの父親が引き起こしたかもしれない。ロイは太陽系および人類を救うため父親を説得しにいく。月から火星、火星から海王星への旅路が始まる。
2001年宇宙の旅みたいな荘厳なSFを作りたかったのだろうけれど、その試みは尽く失敗している作品。幼い頃に家族を捨てて宇宙へ旅立った父親への確執に主人公ロイが旅路の中で向き合っていくのだが、それを荘厳な宇宙SF世界でやる必要は全く無かった。というよりも比重を大きくしすぎて宇宙世界観を台無しにしてしまった。

17:ギルティ ☆

舞台はロシア。ある事件のせいで現場から下ろされ電話番をさせられることになった主人公アスガーは現場復帰を決める裁判の前日に、一つの通報を受ける。男に誘拐された女からの救助要請だった。
舞台はたったの2室、オフィスルームと個室の二つだけで展開させられる物語の組み立て方が見事。電話のオペレータを務める男の顔、オフィスルームの背景と電話からの音声だけで物語が淡々とけれど感情移入させる構成で展開させられていく。「聞こえる情報」だけでアスガーは状況を想像していくも、実際の現場や見えている状況は違う。そのせいで彼は回避しようのない重大な過ちを犯していくことになる。だけど物語をアスガーと共に追っている視聴者からもその判断は極めて合理的なものであったと考えてしまうし、それ故に「仕方なかった」と彼に否応がなしに感情移入していく。
たった90分、しかも2つの個室と音声だけを舞台にこれほど物語を想起させていくのは紛れもなくストーリーテーリングの見事な手腕としか言いようがない。
良い映画だった。

18:ヴェノム

マーベル映画。ジャーナリストだったエディ・ブロックは疑惑渦巻くライフ財団の悪事を暴こうとして、圧力によってすべてを奪われてしまう。ライフ財団は宇宙から寄生生物を持ち込み新人類を作り出そうと人体実験を繰り返していた。ライフ財団に忍び込んだエディも寄生生物に取り憑かれ、超人的な力を持つ。その生物の名前はヴェノム。
映像が良い。ダークヒーローのあり方もシンプルでありながら、わかりやすく気に食わない奴を倒していく新鮮さ。奇妙なバディダークヒーローものとして大当たりだ。

19:ミッドサマー

大学生のダニーとクリス、その仲間の一人であるペレの故郷スウェーデンで夏至(ミッドサマー)に行われる祝祭に誘われる。9日間の浄化の儀式が行われ、様々な出し物が催される。ヘルシングランド地方の森深く、ボルカ村で起こる出来事は徐々に不穏さと狂気を現し始める。
なるほど興味深い作品ではあった。狭く閉ざされた共同体の中で生きる人間たちの民族学的な要素がおぞましいほどに描かれていた。飛び降りに失敗した仲間に全員で泣け叫ぶのも痛みの共有であり、苦しみを終わらせるために頭を叩くのもそれだ。

20:たまこラブストーリー

京都アニメーション作品。たまこマーケットという作品の劇場版。商店街で道向かいに並ぶ2つの餅屋の子である少年少女とのラブストーリー。
演出がすごい、と言われて気になっていた作品ではあったものの肩透かしであったかな。確かにアニメでこれだけ露骨かつ意図的に演出を散りばめた作品はあまり目にしないけれど、ただ演出だけ拘ってもとどのつまりは平凡な少年少女の甘酸っぱい青春ラブストーリーの領域を超えなかった。アニメは作画しなければそこに存在しないわけで、偶然に発生することがない。だから全てを自然かつ意図的に演出するのは優れた計略に見えなくもないが、そこまで根堀り葉掘りするほど作品に入れ込んだ身でなかったのであまり心に響かなかったかな。

21:レゴ2

前作から5年後。朗らかだった街は宇宙人により侵略されてしまった。荒廃した世界で宇宙人に誘拐された仲間を助けに行く。レゴに加えて別のおもちゃの世界まで混じって面白い映像表現に。
ストーリーも面白いな。FGO2部6章アヴァロン・ル・フェを思い出す。異郷の人々との出会いと戦い、そして世界の崩壊。
敵の設定、リアル世界との繋がりも種を解き明かせば単純だけども、非常にシンプルにまとまった。

22:ヴォイド

主人公の警察官はある夜、血だらけで倒れる若者を移転作業中の救急病院に連れ込む。かつて別れた元妻もいるその病院で異常事態が発生する。白装束を着た集団、得体のしれない怪物、武装したサイコパス。妊娠間際の妊婦もいて脱出経路も塞がれている。彼らは無事逃げ出すことができるのか。
悪魔を降霊して人体と合体させて死の恐怖から逃れる実験? 

23:レゴ1

マニュアル通りに生きる平凡な作業員、エメット。彼は地下深くで伝説のパーツを見つけ、予言の選ばれし者になる。秘密兵器「スパボン」で世界を支配せんとする「お仕事大王」の企みを止められるか。
劇中劇の構造を取っている本作は終盤の展開が特に見応えがある。これは他のところでも長くレビューしたさはあるが、私が語らずともよその記事を見ればOKという部分もあるか……
それぐらいにシンプルな構造をしているのに一定の物語の深みを演出する巧みな技術が使われている。あと私自身が2から先にみたという点もあってか、ラストに感じる部分も違っていただろうな。

24:ゴブリンスレイヤー ゴブリンクラウン

ゴブリンスレイヤーの1時間劇場版。剣と魔法の世界、過去にゴブリンに故郷を滅ぼされた少年は成長し、全てのゴブリンを殺し尽くすゴブリンスレイヤーとなった。舞台は冬の山中。剣の乙女からの依頼によりある女性の冒険者を探して欲しいとの依頼を受ける。その道中でゴブリンスレイヤーとその仲間たちは巨大な砦を攻略することになる。
ゴブリンスレイヤーは好きな作品ではあるものの、ゴブリンスレイヤーの魅力である「サイコロの目に頼らない情け容赦のない戦い方」の要素がかなり薄まっていて惜しい作品。ヒロインの陵辱シーンはなるほど拘っていたが。

25:シドニアの騎士 あいつむぐほし

シドニアの騎士最終章。未知の生命体ガウナに地球を破壊され、かろうじて生き残った人類は巨大な宇宙船「シドニア」で旅を続けていたが、100年ぶりにガウナが現れる。エースパイロット谷風長道と人とガウナの融合兵器つむぎの活躍によりガウナを撃退。そして10年の年月を経てからついに最終決戦が始まる。
少々駆け足であったものの、容赦ない絶望に立ち向かうSFとラブストーリーの両立に成功した傑作だった。

26:アタゴオルは猫の森


自然豊かな国アタゴオル。森の名物猫にしてトラブルメイカーのヒデヨシは沼の底に封印されていた花の女王を目覚めさせてしまう。花の女王は秩序の名の元に世界中を支配しようと、人間の命を花にして養分にしてしまう。しかしマイペースなヒデヨシはただ欲望のままに動き、テンプラや月見姫と共に花の女王打倒のために動く。
漫画のネタを忠実に再現しつつ、新しいアタゴオルの物語を描いているのがいい。特に3Dの完成度が高くてヒデヨシのコミカルな動きを映像で見ることができたのがとても楽しかった。

27:イノセンス

ゴースト・イン・ザ・シェルの続編。舞台は近未来。電脳技術が発展し社会に強く根付いた世界、続発するテロ事件を取り締まる政府直属の捜査機関、公安九課の刑事バトーが主人公。素子が消息を断った後、少女型の愛玩用ロボットの暴走事件が起きる。
2004年にはハイクオリティだったCG技術やアニメ作画も、さすがに2021年に見ると見劣りしてしまうともいうか。漫画版の攻殻機動隊を見た後だとよくわかるが原作のストーリーの焼き直しの領域を超えていない感覚もある。
そして更に原案というか元ネタでもあるブレードランナーの暗澹たる空気感や煙たさをより強調して描いている。元ネタを知れば知るほどなるほど面白いのかもしれないが、あくまでそのなぞりでしかないなぁというのが正直な感想。CGのクオリティも現代から見たら古く未熟なものであるし、時代を乗り越えて語り継がれる名作とまではいかないか……

28:キャスト・アウェイ ☆

クリスマスに家族と見るならこの映画。FedEXで配達員を勤める男チャックは恋人との結婚を控える身であったが、乗っていた飛行機が不時着してしまう。海中に落ちた飛行機は爆発四散。運良く生き延びたチャックは辛くも小さな無人島に漂流する。たった一人の無人島生活は4年以上続くのであった。彼は脱出できるのか。
無人島サバイバル映画として非常に面白い作品。漂着してきた配達物を開いてサバイバルの武器に転用したり、偶然できた血の手形のボールを「ウィルソン」と呼んで友達にすることで孤独を紛らわせる描写など見事。序盤のあのペースでサバイバルして体力が続くとは思えないとか違和感はあるものの、一人の男が創意工夫で生き残り目的を果たそうとする姿は胸を打たれる。名作。

29:AKIRA ☆

ひとつ書き忘れていたのであとから追加。
大友克洋原作マンガ「AKIRA」のアニメ映画版。1982年に東京で起きた謎の爆発が引き金となり第三次世界大戦が勃発。そしてその数十年後、2019年のネオ東京が物語の舞台。2020年の東京オリンピックを前に反政府デモ隊と警察が衝突するのが日常となっている荒んだ世界。
超健康不良少年である金田と、その友である鉄雄はバイクチームを率いてクラウンと呼ばれる別のバイクチームと抗争を繰り返している。しかしある夜の抗争で鉄雄は不気味な白髪の少年と出会い事故を起こして負傷してしまい、突然に現れた軍部によって鉄雄は連れ去られてしまう。金田は鉄雄を探す中で反政府ゲリラの少女ケイと出会い、軍部との抗争に巻き込まれていく。一方で鉄雄は謎の力に目覚めていく……
 先に漫画版を読んでいたのでお話の内容は知っていたのだが、なるほど2時間枠でよく収めた。狂気的なまでに動くアニメ映像美もさることながら、大判マンガ6冊の内容を2時間で描くにはどうするかというストーリーの改変には眼を見張るものがある。タイトルにもなっている今作の最重要人物「アキラ」の扱い方には感服した。
 映画の内容としては70年代にあった学生運動や反政府デモの動きを大いに取り入れているのだが、やはり私の世代からすると荒唐無稽というか違う世界の話しのような相容れなさのようなものを感じてしまう部分もある。あのような動きというのは今現在も世界のどこかで起きているのかもしれないが、だからこそ「あの時代」を高尚ぶって語りたがる上の世代の価値観にはしっくりこないともいうか。そんなにいいもんじゃないでしょアレって。というか。

そんなこんなで荒みきった未来世界で起きるポストアポカリプス的なSF。古典として十二分に見応えのある良い作品だったと思う。


では、良いお年を。

私は金の力で動く。