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稀勢と力士とSNS

元横綱・稀勢の里の荒磯親方が雑誌のインタビューで語った「SNSを力士がやる意味がわからない」という発言が、相撲ファンのTLで話題になっている。意見の多くは「稀勢の里らしい」とか「生活をさらけ出さないことで格を保てる」など荒磯親方の意見を尊重しているが、一方で「今の時代に見合わない」「ファンサービスの一環としてやるべき」などと、否定的な意見も。

力士に限らず芸能人・文化人でも、果ては一般人であっても、SNSの使い方ついては要考慮案件は多い。承認欲求でアホなことしでかす輩がブーム(?)だが、芸能人が続々ブログを開設しだした10年ほど前から、ファンサービスどころか批判・炎上など逆に失望されるケースも後を絶たない。個人がネットを介して不特定多数に意見や情報を発信するので、それを目にするユーザーの中には別意見もあるので反論もされる。たくさんの人に発信している感覚がないのだろう。大抵の場合、冷静になって謝罪したり事務所側が削除したりなどで収拾をつけるが、炎上で印象が悪くなり、守ってきたイメージやブランディングを損なうこともある。
「相撲」という国技、神事に携わる荒磯親方が「何を守りたいのか」を考え、いっそ「やらない」という選択をしたのだろう。

一方でSNSを「やる」という選択もある。今回は荒磯親方の発言きっかけでこの記事を書くことにしたので、力士においてSNSアカウントを持つメリット・デメリットを、あくまで私の主観で考えてみた。

メリット:
・ファンへの報告→勝ち越し・番付など成績の報告など。ファンから返信があることで士気が高まることも。
・自分の情報発信→好きなもの、ハマっているものを呟きを参考にファンは差入れを贈れるし、使用プロテインとかはプロを目指す学生力士など参考になる。どんどん呟け、現役力士アカウント。
・プロモーション→部屋や地元後援会やパーティーへのお誘い。
・他アカウントとの交流→他の競技選手だったり、旧友だったり、交友関係を深められる。

デメリット:
・心無い一言が飛んでくる→長くなるのでのちほど。
・プライベートが色々ばれる→ファンの行動力と特定力怖いよ。守るべきものは守るのだ。

有名人のSNSアカウントで一番懸念せねばいけないのは「心無い一言」だと思う。当たり屋みたいな奴がネットにはいるのだ。これが有名なアイドルであれば事務所が対応してくれるのだが、力士の場合ほぼ自己管理、自己責任でアカウントを開設している。その内容について、協会や相撲部屋が管理しているわけではない。もし批判コメントがあっても、それを無視するも対応するも個人の裁量になるわけだが、相撲ばかり取り組んでた若い力士にその判断力を求めるのはなかなか難しい。今までも、そして最近も、批判に感情的に反論している力士を見てきた。これが当たり屋のような奴からの批判なら、ターゲットになった力士が可哀想だねって話で終わるが、中には批判の方が正論でそれについてキレてることもあった。その力士のファンもフォロワーも減ったw
たぶん多くの力士、というか一般ユーザーも含めて多くのアカウントが、「楽しそうだから」という理由でSNSにアカウントを開設していると思う。ただ、その延長線上に最近起こった牛丼屋やすし屋のバカスタグラマーたちがいるわけで、今一度自分が「見られる立場」で、部屋の看板を背負った「力士」の一人であるという自覚、そして最低限のネットリテラシーを持ってSNSライフを過ごしてほしい。それらを指導するのは、力士を管理している相撲協会ではないかと思う。

力士だけじゃなく、親方衆や協会職員などももう少し緊張感を持ってほしいなと思うのは、SNSは「見えてない部分が多い」ということだ。
鍵アカウントの場合はフォローしないと見えないし、DMは送られたアカウントにしか見えない。すべてのアカウントからDMを受け付ける設定にしている力士も結構いる。そしてtwitterに連携しているサービスで「質問箱」や「マシュマロ」など、アカウント名もなく匿名で質問できるものがある。それは質問箱を設置したユーザーが質問を公表したらtwitterにupされるが、公表しなければ設置ユーザーにしか目に入らない。
私はtwitterのリプライに返信するのもやっとなので、質問系サービスは利用したことはないが、聞いたところによると、名前を名乗らなかったら大胆な行動を行える人間がいるもので、ありえない質問を飛ばしてくるらしい。

ありえない①:誹謗中傷
ありえない②:逆ナンパ

アカウント名を晒してるtwitterでも中傷コメントを見かけるので、まったくの匿名ならそりゃあるだろうなと予想はつくが、リアルに気を付けてほしいのは②の逆ナンである。これがマジ恋なのか髷がついてりゃ誰でも良いのか、その判断、文面だけで若い力士が・・・男だらけの相撲部屋で暮らしてて・・・彼女がいなかったら・・・かわいい画像が添付されてたら・・・ぜってー出来ないわ!わしが年頃の力士だったらアドレスやLINE教えちゃうわ!
いや、これがマジ恋で「彼を支えます!」系の一途な女子なら良い。むしろおめでとうって話だが、たいてい後者の「髷ついてりゃ」系の力士と付き合ったステイタスが欲しい奴の可能性高しなのである。・・・わたしの相撲観戦&SNSヲチ人生でたくさん見てきたよ、ほんと。

見えない部分でどういうやりとりしているかわからない。だからこそ個人個人の自覚が大切。せっかく入門してくれた力士が、もしネットで悪い印象を持たれたら・・・とあえて悪い方へ考え、相撲界まるごとSNSへの向き合い方を考えてほしい。最近も目に余ることがあったので、今回の荒磯親方の発言は、個人的にはとても納得するものがあったし、相撲協会が力士を含む協会員のネットリテラシーを把握する良い機会ではないかと思う。

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