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私は誰の何なのだろう。
「みんなで連載小説 PART2 Advent Calendar 2018」何日目かの記事です。誰も書いてくれないので泣きながら書いてます。誰か…
「あなた、誰なの?」
豊さんと会った2日後、知らない女性から電話があった。
「…どちら様ですか?」と尋ねると、電話の主はしばらくの沈黙の後、「豊の元妻よ」と応えた。
よくわからなかった。
豊さんが結婚していたことも知らなかったし、もちろん離婚していたことも知らなかったし、別れたはずの女がなぜ今私に電話してくるのかもわからなかった。
女は堰を切ったように続けた。「豊の子どもがお腹の中にいるのよ。別れてほしいの。豊と復縁したいの。」
私たちは付き合ってることになるのだろうか?あの時うなづいたのだから付き合っているような気もするし、まだ何も始まっていないのだから付き合ってるとは言えないような気もする。
そんな中途半端な私たちだから、ここは私が引くべきなのだろうか。でも豊さんと女はなんらかの原因で心が離れたのだから、私が引くことは何の解決にもならないような気がする。
その時ふと頭をよぎる。4年前のあの時「続きが見えない」と言った豊さんは、この女とは「続きを見ようとした」のだ…。やっと私の感情が動き始めた。私の中を嫉妬のような感情がゆっくりと渦巻いた。
「嫌です。」
気づいたら私は言っていた。
電話を切ると同時に、深刻な様子を察知した祐樹が飼い主を心配する忠実な犬のようにまとわりつきながら「誰から?」と尋ねた。
私は祐樹の声を聞いてホッとして「なんかの勧誘」と答えると祐樹を抱きしめた。
私はあの日から祐樹に嘘ばかりついている…