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伊是名夏子が口を開くたびに事実認識の歪みが出てしまう

「通達が出ている」と伊是名氏が口走り、それを裏どりも無く掲載した弁護士ドットコムと編集部の塚田記者の問題については上掲で書きました。

ここでは記事の他の中身についてちょっとだけ

「乗車できないのは障害者権利条約上の差別だ」という妄想

私が批判を受けているような、「電車に乗る時に車イスなら待たされても仕方ない。事前連絡も当然だ。我慢するべきだ。わきまえたほうがよい」などの考えは、本人が頑張って障害を克服しようという古い考え方(医学モデル)がもとになっています。
しかし、日本が批准している障害者権利条約では、障害は個人ではなく、社会の側にあるという「社会モデル」と言う考え方に基づくものです。整っていない社会を変えていくことで障害を取り除けるという「社会モデル」の考えです。
よって車イスの人が階段しかない駅や無人駅で電車に乗れないことは、条約批准国の日本では差別だと言えます。

障害の定義に関する「社会モデル」の説明と、当該条約上の「差別」はまったく異なるにもかかわらず、それを混同しているのが分かります。

ここは伊是名氏の認識部分なので弁護士ドットコムの紙面上に掲載されるべき正しい条約の理解かどうかは問題視しませんが。

障害者権利条約上の障害の定義と差別

障害者の権利に関する条約
前文
この条約の締約国は、
(e)障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め

この部分が「障害の社会モデル」の部分です。

障害の定義」と「障害に基づく差別」は別だというのは国語力の問題。

第二条 定義
この条約の適用上、
ー中略ー
障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。

この場合の「区別」とは「不合理な別異取り扱い」の意味です。

障害者仕様のトイレなども差別になるのはおかしいでしょ?

合理的配慮の定義と過重な負担

同じ条文内に「合理的配慮」の定義もあります。

合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう

「かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」というのは、日本の障害者差別解消法=障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の8条各号にある「合理的配慮」条項において「その実施に伴う負担が過重でないときは」という「過重な負担」概念において反映されています。

こういう「調整」のための概念と文言が、条約や法律の条文内に明記されているにもかかわらず、片一方の概念だけを持ち出して自己正当化を図るというのは、説得力が無いですし、不誠実な人間という評価を受けても仕方がないでしょう。

他にも歪んだ認識がたくさんありますが、とりあえず今日はこのへんで。

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