旧東京都立大学の自衛官受験拒否問題

旧東京都立大学の自衛官受験拒否問題について簡単にまとめます。

1969年2月、旧東京都立大学B類(夜間)工学部電気科の入試へ、自衛官3名が出願されたところ、学生・教員有志らが反対、それを受けて入試前日である3月2日、大学側は自衛官の受験を認めないことを決定、東京都議会・国会で問題視され、文部省は「自衛官であることを理由に入学の機会を奪うことは教育の機会均等の原則を定めた憲法と教育基本法の趣旨から許されない」とし、「入試実施について配慮を願う」と伝え、防衛庁は法務省人権擁護局長へ人権侵害の疑いありとして通報、それを受けて東京法務局長が「自衛官入学拒否は憲法違反」とする是正勧告、しかし、これを受けても大学は、「教育責任の遂行上最善と考えられる措置をとった」との見解を発表、各学部の教授会もこの見解を支持し、結局3名の自衛官の受験を認めることはありませんでした。

詳細は以下のページがまとまっています。

当時の国会議事録。

第61回国会 衆議院 法務委員会 第15号 昭和44年4月22日
○鍛冶委員 かねて本委員会で問題になっておりました自衛官の都立大学拒否問題についてお伺いしたいわけですが、先日、東京法務局長の名前をもって出されました勧告を拝見いたしました。そこで、この最後の結論を見ますると、「前記自衛官三名の受験を認めない旨の決定を取り消したうえ、可能な限り、これらの者に受験の機会を与えるための措置をとるとともに、憲法および教育基本法の前記各法条に違反する差別的取扱いをすることのないよう配慮されたく、」こう出ております。まことにこれは明瞭だと思うのであります。ところが、この間人権擁護局長の御答弁を聞いておりますると、この勧告は強制力を持たない。
第61回国会 衆議院 文教委員会 第33号 昭和44年7月10日
○岡沢委員 時間がございませんので次に進みます。
 自衛官の入学を大学が拒否した問題につきましては、すでに何回か話題にもなり、論議の対象にもなりました。ただ私は、本年四月十八日に東京法務局が正式に東京都立大学の自衛官入学拒否は憲法違反であるという勧告を出したわけであります。このはっきりした責任ある官庁の公式見解があったにかかわらず、その後なお都立大学の自衛官入学拒否の態度は改められたという報に接しておりません。地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりますと、違法な地方教育機関の行為に対しては文部大臣は措置命令がなし得るわけであります。憲法を守るということは国務大臣にも国会議員にも課せられた憲法上の義務でもあるわけでございます。どうしてこの措置命令の規定を活用されないのか 省略
○坂田国務大臣 いまの問題につきましても考えているわけでございますが、とにかくいままで学長そのものに対しまして、何らかの意思表示があるものというふうに、われわれとしては期待をいたしておるわけでございます。いましばらくお待ちを願いたいというふうに思います。

旧東京都立大学はその後、首都大学東京⇒東京都立大学(2020年4月)となっていますが、旧東京都立大学とその後の大学は組織としては、まったく別ものです。

以上

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