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椎名林檎グッズの赤十字マークヘルプマーク酷似問題の整理と感想

本件に必要な法律や商標、政府の考え方について上掲記事でまとめてます。

ここでは本件の問題の整理と表で騒がれていることについて、その主張の当否の検討について、戦前の赤十字標章に関する勅令などの追加的な情報も含めて個人的な見解を書いていきます。

※10月10日未明時点でのもので、仮にその後にオフィシャルな対応・見解提示があったとしてもそれは反映していません。赤十字社の許可を取っていないという前提で論じています。

椎名林檎グッズの赤十字マークヘルプマーク酷似問題の整理

大きく①赤十字マークと②ヘルプマークとの関係で分けられます。

①赤十字マークとの関係⇒マスクケースのみが問題
(1)使用制限に関する刑事法違反になるのか
(2)反しないとしても赤十字マークの実効性維持にとって、当該グッズの存在によって懸念が生じてしまい、不適切ではないか

②ヘルプマークとの関係⇒アクリルケースのみが問題
(1)東京都の商標侵害となるのか
(2)ヘルプマークの実効性維持にとって、当該グッズの存在によって懸念が生じてしまい、不適切ではないか
(3)そもそも最初から既存のデザインに寄せに行っているのであり、それ自体が便乗的であってみっともないのではないか

SNSを見る限り、法律等に違反するかはともかく、同様のデザインが一般に流通するという状況は、少なくともあまり好ましくない、というあたりが大勢のようです。

個人的には、そのように解するための理屈には注意が必要だと感じます。

椎名林檎CD附属のグッズのデザイン担当者は意図的にやってる

まず、「ちゃんとチェックしたのか?」みたいな反応がありますが、あれは関係ルールをチェックした上でやってると思います。

なぜなら、ヘルプマークに酷似するグッズ(「プラスチックケース」と販売ページでは書かれている)は、まさにヘルプマークを下敷きに「リンゴマークの中に太陰太極図がある」という部分以外はデザインは同じと言ってよいものなので。巾着袋も2種類ありますが、そのうちの一つは白地に白の十字と、やはり規制法令を意識したものが見られます。

椎名林檎の音楽の作風として「攻めてる」世界観というか、歌詞の文言なども「ある一定のラインのギリギリ」を攻めてる感があります。
※「太陰太極図」もその字面から普段の彼女の作風が反映されていると思われる

なので「今回も法的・倫理的なギリギリを攻めた」と、現時点ではそういう印象を個人的には持っています。

ただ、それが許されるラインを超えたのではないか、そういう「チャレンジ」の対象として触れるには不適切な領域だったのではないか?というところが問題視されているんだろうと思います。

なので、「アーティストとしての表現の自由の一環だ」「あのキャラづくりなら当然でロックだ」みたい捉え方には賛同しません。

①(1)赤十字マークの使用制限に反する犯罪か?「みだりに用いる」とは?

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