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「自分らしく生きる」を目指してほしい

丸の内も、釧路川も同じだな

今井 がってんさんと辻さんは今は別々の場所で、それぞれの仕事をされていますが、本格的な対談は3年ぶりということですね。この機会ですので、がってんさんから辻さんに、今だから聞いてみたいことはありますか。

がってん 亮多は38になったんだっけ?

辻 39になります。

がってん ちょうど体力が変わり始めるころかなと思うんだけど、今までどおり行かず、修正が出る頃だと思うんだけど、何か対応してる?

辻 まだ違和感のままにいますね。そう言えばがってんが40歳くらいの時に、肩痛そうにしてたなとか、そういうことが今ちょっとずつ体にきてる感じはするんですけども・・・

村上  具体的にはどんなことが起きているんですか?

辻 今までは体に負荷をかければかけるほど体が強くなっていた気がするんですけど、負荷をいっぱいかけるとちょっと壊れるところが出てきたなという気がします。

がってん 爺だのう・・・笑

村上 がってんさんは30代後半にどういう変化があって、どう修正したんですか?

がってん (ガイドの)回数を減らすことはなかったですけど、少し漕ぎ方を変えたかなーって思い出しました。パドリング回数を減らすとか。
あとそのくらいの年齢からだんだんしゃべることを覚えてきたんです。それまではカヌーの角度を結構シビアに、ゲストの目線を殺さないカヌーの位置ということを意識し、「あ、こっちに行かなければいけないんだ」ということをゲストが自然に感じる事で川を動いていくようにやっていたんですけど、そこに一声かけるようになっていきました。そういう「しゃべる」ことを少し覚えた頃だったです。

村上 辻さんからがってんに、この際聞いてみたい質問ありますか。

辻 何年も会ってないんですけど、どうしてるのかなー、ああしてるのかなって何となく感じているような気がするので、質問があるようでないようなんですけども、今治ではやりたいように、どかーんとやれていますでしょうか。

がってん ガイド業って直接人と人とのリアリティのある関係性でしょ。でも今はいろんなパターンを展開しているんだけど、例えば企業的な横文字で言うと B to C でやれていたガイド業も、BtoB から BtoC へ行くような業務が今たくさんある。ガイドをしている時に、そういう企業に勤めている方々が羽を休めに来てくれたり、自分の自然観や自分のアイデンティティをふり返りに来てくれてた人たちと、今はその企業の中にいる状況で対応するんです。そうすると、彼らと休みの日に自然の中で会うとこうするだろうなっていうのと、その人が背負ってる業務や背景の中で話すと、なんか新しいジャングルを見てる感じがするんです。ぼくもたまに丸の内とかに行って打ち合わせするんですが、これもまたジャングルだなーと思う。何が言いたいかというと、宇宙の上から見たらきっと、砂漠も東京のオフィス街も天塩川も瀬戸内の島も一緒なんだなーって最近思うようになってきた。好きにやれてないことの楽しさがもう一つ増えた感じかな。いい経験をしています。

辻 なるほど。すごく安心したっていうところが正直なところです。なんかそうなっていくだろうなって思ってました。がってんはガイド業をやっていた時から、自分の中に強いミッションみたいなのを持っていました。それはゲストに対してはもちろんなんですけども、社会に対してとか、地球上のいろんな人に対してのミッションをいつも持ってるスタンスだったんですね。それは全然変わってないなと思いますし、より本質的に自分のミッションに向き合ってるんだなって感じます。その中でいろいろやれることと、やれないことがあって、それも楽しんでるのはさすがだなと思います。

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常に進化して行こうとしてる姿

村上 これまで4回に渡ってお話を伺って来ましたが、それぞれに質問させていただきたいです。がってんさんには、例えば亮多みたいに後を継いでくれる存在がどういったものなのか。辻さんにとっては先を行く存在とはどういうものか、お願いできますか。

がってん 僕自身で言えば嬉しいことですね。前回私が話させてもらった時に「守破離」という話をしましたが、ガイド業は「守」で型を学び、「破」でまた壊し、「離」 で自分で新しい挑戦をする。日々これの繰り返しです。そこで今回も「ガイドは表現者だ」という話をさせていただいたように、自分の舞台に立ってる姿それこそがあなたそのものだし、その道を信じたんだったらそれでいいと思うし、またその道をやめても全然それでいいと思うし、とにかく一人でも多く「自分らしく」というところにたどり着いたり、もしくはたどり着こうとしてる人が増えていることは、僕にとっては一番嬉しいことです。僕もまだまだ自分の表現を通じて人をたくさん幸せにしてみたい。そういうことにドキドキしていきたいと思います。

村上 辻さんにとって先を行く先人はどう思ってらっしゃいますか。

辻 常に進化して行こうとしてる姿が見えるってすごく刺激的です。がってんは昔から簡単にやってきたことを壊せるし、何でも手放せちゃうところが、すごいところだなと思います。 ちょっとステージは今違うところで活躍してるんだと思うんですけども、まだまだ第一線でいつまでもやってほしいなと思います。

村上 先人から見られてると思うんです。離れていても何かしら気にかけているというか。こういうところを見せたいなという部分ありますか。

辻 やっぱりカヌーガイドという型を受け続いたんですけども、それを今新しい土地で、自分なりの形で展開をしているつもりなんですけど、新しい土地でその土地なりのことを自分でアレンジはしていくんですけども、それは進化していくアレンジでありたいなと思います。妥協して劣化してその型を劣化させていくような仕事はしたくない。それは見られたくないなとは思ってやってます。

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村上 辻さんからして先人はガッテンだけじゃないと思うんです。ガイド業だけじゃなくて、両親だったり いろんな先人がいると思うんですけど、そのなかでがってんという先人はどんな方といえますか。

辻 自分で自分の道を行くことになったタイミングで常識を壊してくれて先を進む姿を見せてくれたいい先輩だったなと思います。

村上 ガッテンの門戸を叩いたガイドさんはたくさんいらっしゃると伺いましたが、その中で辻さんはどう思われましたか。

がってん 良かったです。何が良かったかというと、今はインターネットで離れていても彼が「雪を今日、滑って来たよ」とかすごくよく見られるし、それが僕の力になります。同じ空間の中でいろんな表現をしながらガイド業としてやってくれてることを見ていると、まだまだ僕もできるなと反対に思うこともありますし、彼らが活躍してるところを見ることによって、もう一踏ん張りしようという気が出てきます。

(文 ネイティブ編集長・今井尚、写真提供 辻亮多)

次回のおしらせ

ご飯にかけるだけで食の楽しみが一気に広がる「ふりかけ」。もともと、カルシウム不足を補うために熊本の薬剤師によって考案されたものでした。以来、100年以上にわたり「元祖ふりかけ」の味を守るフタバ代表取締役の安部直也さんに、「変えないために代わり続ける挑戦」について伺います。お楽しみに。

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