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青になる

泡になる、というのは思いのほか穏やかなものだった。
ゆるりゆらり海の底へ沈みながら端々から少しずつ海になっていく。
ぼやけていく意識の波間、鈍く光る貝と目があった。
誰かの瞳に似た深い青色だ。
ああ、本当はもう一度その色が見たかった。
ありがとう、と吐いた息はこぽりと海をのぼって消えた。


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土曜日の電球『#声』。
彼女がいなくなっても、小さな深い青は彼女を忘れない。

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