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出発は9:20

「9時には出るから」と言っていた彼女が唸りながらアラームを止めた。
起きなきゃ、の呟きとは裏腹に、寝返りを打ちながら右手で僕の肩を抱く。
真似して彼女の背中に左手を回すと、そのまま猫みたいに擦り寄ってきて二人微睡みの中。
用事より僕を選んでくれるこのひと時、ほくそ笑む僕を君は知らない。

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言葉の行方様企画 『小さな勝利』。

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