表題

「世界一幸せな国」フィンランドの障害児支援事情

こんにちは!神戸大学保健学研究科で大学院生&重症心身障害児支援NPOで働いているきゅうじです!

2018年9月1日~9月26日までの約4週間、世界一幸せな国といわれるフィンランドの障害児支援を視察してきました!フィンランドに住む障害を持った子どもと家族には、想像以上に手厚い支援がなされていました。

ツイッターで逐一報告はしてきましたが、支援の実情と日本との相違点をnoteにまとめておこうとおもいます!

ーもくじー

**   1.福祉
    1-1.デイケア(保育園、幼稚園)
    1-2.放課後支援(小学生~高校生)
    1-3.学校卒業後の生活
    1-4.家族支援

    2.医療
    2-1.医療的ケアの対応
    2-2.リハビリテーションについて

    3.施設経営のあれこれ
    4.インフラ整備
    5.さいごに**


1.福祉

1ー1. 保育園

まずは就学前のお子さんが通う保育園を紹介します!

tweetにもあるように、医療的ケアがあるような重い障害を持った子どもも、健常の子どもとほぼ変わらない環境で過ごしていました。

医療的ケアに関しては、2-2.医療的ケアのところで詳しく紹介します。

1ー2.放課後支援

今回は訪問はできませんでしたが、保護者の方からお話が聞けました。

日本でいう放課後デイサービスはすべて無料。預け先がなくて困ることはあまりないそうです。

1-3.学校卒業後

学校を卒業したのち、日本だと就労につく方と生活介護に通う方がいると思います。今回、ヘルシンキ市の紹介で生活介護 兼 就労施設でボランティアをさせていただいたのでご紹介します!

施設には25名ほどの生活介護利用者と、5~6名の就労者がいました。就労が可能な方は、ここの施設でより重度の障害を持った利用者さんの介護をしたり、掃除や洗濯をしたりしていました。

さすがテクノロジーの北欧!と思ったのがコチラ↓

既にヘルシンキ市内ではシステムが統一されているため、他施設から新しく入所した方などの情報はサクッと入手できるそうです。

また、半分は車いす利用者の施設でしたが、スタッフが利用者を抱えて移乗しているところを一度も見かけませんでした。移乗はすべて機械で行っていました。

こういった効率化できる部分はしっかり効率化できているので、ここの施設のスタッフは余裕をもって仕事をしているように感じました。私の知っている日本の介護施設はだいたい忙しなくピリピリしていますが・・笑

リハビリ機器も豊富で、セラピーがない日も、プログラムを組んで運動していました。外出もほぼ毎日ありました。天気のいい日はヘルシンキの中心街までお出かけしたり。必要最低限の支援だけでなくて、しっかり利用者さんのQOLも考えられた支援となっていました。

その証拠に最近ヘルシンキ市が突然買ってくれたというパロ(約45万円!)。利用者さんにかわいがられていました。フィンランドも財政難なんだからここまでしなくても!という気も。笑

就労施設だと他にもこんなところにも行ってきました。

このカフェでは、世間では障害者と呼ばれる顔に特徴を持ったダウン症の方や、行動が独特な発達障害の方がいることで、むしろ「多様性に寛容な近代的なカフェ」という雰囲気すら醸し出していました。チョコレートがおいしかったです~!

1-4.家族支援

日本でもこういった支援はあると思いますが、自分から情報をとらないとなかなか支援にたどり着けないと聞いたことがあります。情報が必要な人に必要な情報が届く社会、すてきですね☺

2.医療

2-1.医療的ケアの対応

基本的には手技を知っている人から簡単なレクチャーを受ければ誰が行ってもOKだそう。もちろん研修は無料です。

日本だと一番ハードルの低い3号研修という医療的ケアの研修でも、9時間の講義+筆記試験+実地研修+受講料が必要というめんどくささ・・。医療的ケア児の受け入れ施設がなかなか増えないのも仕方ないですね。

2-2.リハビリテーションについて

実際、私が見学した保育園、障害者デイにもセラピストが訪問してきていました。リハビリは普段生活する環境で。通院には時間をかける必要なし。さすがだ~~。

3.施設経営のあれこれ

福祉系NPOで働く二人の女性にお話を伺いましたが、あまり寄付を収入源にするというのは聞いたことがないと言っていました。NPOでも多くは市から助成金が出るか、街中においてある宝くじ、パチンコのようなゲームの収益金の助成を受けるそうです。(↓宝くじの助成をうけたことを示すマーク)

4.インフラ整備

街の道路やバリアフリー整備ですが、この点に関しては正直日本の方が整っているなあと思いました。

エレベータも狭かったり、歩道はガタガタだったり。車椅子で歩こうものならいろんなものにぶつかりました。日本の道路ってきれいだったんだなあ

ただ、ここの介護スタッフの方は細かいことはあまり気にしていないようで、ガツガツ進んでいました!

5.さいごに

フィンランドではほとんどのサービスが行政によって運営されていました。そしてどのサービスも想像以上に充実していました。その分税金も高いですが、わたしが出会った人でそのことに不満を言う人はいませんでした。すべての人に教育がいきわたって、子どもや高齢者、社会的に弱い立場にある人は守られる、そんな社会を誇りに思っているようでした。

いつか日本も、国や自治体を心から信頼できて、どんな境遇の人も安心して生活していける、そんなあったかい社会になるといいなあと思いました。

たった4週間の滞在でしたが、ヘルシンキが大好きになって、その辺で見かけるうさぎやリスすら恋しくて、最終日には涙してしまいました、、この心のあったかさを忘れずに次もがんばります(`・ω・´)

次はフィンランドと打って変わって、自己責任の国アメリカの福祉を視察してきます!寄付で成り立つNPOを実情をみてまいります!またツイッターでちょこちょこ発信すると思うので、興味がある方はみてみてください。それでは!

#福祉 #フィンランド #障害児 #障害者 #介護

(↓障害者デイの方が英語(こちらの第一言語はフィンランド語なのに!)で書いてくれた、マッシュポテトのレシピ。わたしがフィンランドのマッシュポテトが好きといったのを覚えてくれていて大号泣!)


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