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整形してもセリちゃんが好き

※トップページにも書いてますが、私の記事に出てくる人物名は基本的にすべて仮名かめいです。
また、特定を防ぐ目的で時期や年齢をあえてズラして書く場合があります。
ご了承ください。

私には妹がいる。
名前は「セリ」。

昔から友達のように仲が良く、セリちゃんは私を「凛ちゃん」と呼ぶ。
妹から「お姉ちゃん」と呼ばれたことは一度もない。

今回は愛すべきセリちゃんの覚悟について語りたい。



姉に比べられる妹

私は母に溺愛されていた。
それについては以前にも記事に書いた通り。

その裏で、妹は割を食っていた
末っ子は甘やかされ長子は割を食うのが世のことわりなのに、セリちゃんは私から見ても分かるほどないがしろにされていたのだ。

母が教育に力を入れていたこともあり、私は小学校のテストで100点しか取ったことが無かった。

対して妹は保育園生の時に母が死んでしまい、あまり勉強にうるさく言われる機会がなかった。
学校では普通の成績。

これだけならまだ良かったのだが。



一重と二重

私の父親は「小林旭の若い頃にそっくりだね!」と言われる程度にはハンサムだった。
そして母親は一重のクール美人であったことが遺影からも読み取れる。

私は父親の顔を受け継いだ、いわゆるパッチリ二重として生まれ。
妹は母親の顔を受け継いだ、クール一重として生まれた。

私は七五三などの行事で写真撮影に行く度に「お写真を店頭に飾っても良いですか?」と写真館に言われたが、妹は一度も言われなかったのだ。

成長するにつれ、セリちゃんにとって私は目の上のたんこぶになっていったのだろう。

一緒に原宿を歩くと姉だけがスカウトされる。
男性の店員さんが姉にばかり話しかける。

知らず知らずの内に、私はセリちゃんの心を傷付けていたのかもしれない。
そうしてある時、彼女は決断をした。



二重整形手術

彼女が希望の高校に合格した春。
「二重にしたい」と言って整形手術をした。

傲慢かもしれないが、私の存在によってセリちゃんに無用なプレッシャーを与えたのではないか、という憂慮があったのは事実だ。
「人は容姿が全てではない」と言い切れない程の享受を私はすでに受けていたので。

術後、抜糸を済ませた彼女はとんでもなく綺麗になった

姉馬鹿かもしれないが、こんなに素敵な女の子がこの世にいるのかと思うぐらい、美しい妹がそこにいた。

それまでのセリちゃんは控えめで、あまり自己主張しないタイプだった。
「私なんて」という言葉をよく使っていた。
しかし整形をしてから、セリちゃんは生まれ変わったように性格も明るくなったのだ。

自身の整形体験を経て、彼女は「美しさを極めること」に自身のアイデンティティを見出し、美容専門学校へ通うことになる。

自分が変われたことをキッカケに、「変わりたい人のお手伝いをしたい」という気持ちが高まったそうだ。
将来はメイクアップアーティストか、化粧品会社の美容部員になりたい、と。

こんなにも自分の目標を持っている妹がいて、私は幸せだと思った。
何よりも、セリちゃんが私に対して不平不満を漏らしたり当たり散らしたことが一度も無かったことに、涙が出そうな思いだったのだ。



整形も努力

昨今「反ルッキズム」が騒々しい。
人を外見で判断するな、というのは勿論正しい意見だ。
しかし美しさを求めるのは本能なのではないか。

外見を飾るのは、言わば料理の盛り付けと一緒だ。
いくら美味しい料理でも、不味そうな見た目だったら食欲が湧かない。

だから努力して工夫する。
整形だって努力の一部だ。

未成年なら親にお金を出してもらうことになるが、成人なら自身でお金を貯めることになる。
何十万、何百万という金額を稼ぎ出すのに一体どれだけの努力が必要か。

そして自分の顔にメスを入れることを恐れない人間など居るわけが無い
たくさん悩んで考えて、医院を調べて予約しカウンセリングに向かうことに、一体どれだけの勇気が必要か。



「美しくなりたい」という意欲を奪わないでほしい

セリちゃんは「埋没法」という手術だったので、数年して一重に戻った。
が、美容学校でメイクスキルを学んだことにより、彼女は今も美しい。

その後結婚し、レンという男の子とアミという女の子を授かった。
アミはセリちゃんの小さな頃にそっくりだ。

もしも将来アミが「整形したい」と言ったら、きっとセリちゃんは賛成するだろう。
それと同時に自身の経験を話し、メイクアップスキルを授けるはずだ。

「親からもらった顔に傷をつけるなんて」
「生まれた子供と顔が違うなんて恥ずかしい」

未だにそうした意見が根強くあるのも知っている。
だが、自分に自信を持って生きていくこと以外に必要なことなんてこの世にあるのだろうか

「美しくなりたい」という願望は、決して浅ましい物では無い。
セリちゃんが今も幸せそうに子育てしている姿を見て、そう実感するのだ。


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